六話 遠矢 三人と家に帰り着く
ドラッグストアの駐車場にゾンビは見当たらない。
相変わらず慎重に車を進め駐車場に乗り入れる。
玄関先に車を停め言った。
「よし、俺が店内みてくるからちょっと待っててくれ。」
「「「駄目だ!一人で行くな!(行かないで)」」」
俺はイラっとして低くなった声で反論した。
「いいか?この言い合いしている時間でも化け物が近付いてくるんだ。
偵察に行くのは基本一人、二人以上になると逃げる時間が増えるんだ。
だから家に帰るまでは黙って従ってくれ!
もし勝手について着たり俺の言葉に従えないなら車を降りて何処にでも好きに行ってくれ。」
「そんな…」「トウヤ酷い…」「………」
「俺を心配してくれているのは理解している。それにこの行動は単独行動じゃない。
この話も帰ってから詳しく説明するから、今は黙って従ってくれ。」
俺は言い捨て、車から出る。
アーチェリーに矢をセットして足音を立てない様に慎重に入り口に移動する。
開け放たれた入り口から中を覗き込む。
居た!三体か…まだこっちには気付いてないな。
俺は慎重に車に戻る。
なにか言いたそうに俺を見る三人。
「ふう…見える範囲に三体いた。しかしやるぞ。
先ず俺の右手側にメイが矢を持って補充を頼む。海島さん川田さんは俺達の後ろで背後の警戒を頼む。それと会話は耳元で小声で頼む。これはどんな場合でも徹底してくれ。ラストで車から出たらドアを完全に閉めないで、俺が今やってた様に半閉めで。車の閉める音はかなり響くからね。
「「「分かった(わ)(よ)」」」
「では行くぞ!」
俺は声を掛け車から出る。
周囲を警戒して三人が近寄るまで周りを見回す。
三人が寄って来たのでジェスチャーで店の入り口へ向かう。
「全員、ゾンビを倒すのを見といてくれ。背後の警戒を忘れずに。」
小声で指図してアーチェリーを構える。
店内に入り全員が見ているのを確認して頭に付けているライトを点ける。
照らし出される店内にうろうろしている三体が見える。
俺は一番近い位置に居た正面のゾンビに射掛ける。
命中
和弓なら的中だったかな?
狙い違わず頭に突き刺さり倒れるゾンビ。
倒れた音を聞き残り二体が音源に向かって歩き出す。
俺は慌てずメイに横から差し出された矢をつがえ射る。
命中
側頭部を射貫かれ倒れる物体。
残り一体はまた方向を変え新たな音の方向に移動する。
三射目も普通に頭を射貫き無事、見える範囲は倒し終えた。
「ふう…俺は先に矢を回収するから、もう少し外を見張ってて。」
三人はこくりと頷く。
素早く矢を抜き回収を済ませ入り口に戻る。
「もし奥からゾンビが出てきたら小声で呼んでもいいから。ただし三体以上の場合は声を出さず撤退する事。カートは使わずカゴだけで頼む。」
俺が言うと三人は頷き店内に入って行く。
俺は車の背面扉を開き入り口付近にある品物を詰める。
トイレットペーパーにティッシュペーパー、シャンプーなどを適当に入れる。
あと折りたたんで置いていた段ボールもあるだけ車に入れる。
そうしていると川田さんが両手に一つづつカゴを持って出て来た。
そこに置いてとジェスチャーで示し小声で言う。
「無理しなくて一つでも良いからね。」
「これ位なら大丈夫だ。」
そう言って笑みを浮かべ店内に戻って行く。
入れ違いにメイが出てくる。
メイも二つカゴを持ってきた。
「メイ、次は洗顔や歯磨きとかも頼む。女性用品も忘れずに。」
俺が言うと軽く睨んできて頷きカゴを置いて店内に戻っていく。
次は海島さんが二つカゴをもって現れた。
「海島さん。次は川田さんと海島さんの自分だけの分を入れて来て。
好きな食べ物とか。川田さんと一緒にね。
メイと俺は自分で集めるから。」
「はい。」
海島さんは返事すると店内に戻る。
その後すぐメイが戻って来た。
「メイ、次は自分だけの物を集めて来て。俺の部屋に持ち込むのは、その一カゴづつだからな。川田さんと海島さんにはもう頼んでいるから。」
「トウヤの分は?」
「俺の分は皆が集め終わって余裕があればメイと警戒を代わって貰ってからにする。
だから素早く頼む。」
「ん。分かったすぐ集めてくるね。」
メイは速足で店内に戻った。
少し待ってると川田さんと海島さんが戻って来た。
「ご苦労様。最後の一カゴは俺の部屋に持ち込む分だからそのまま持っていて。」
「それは良いが皇の分は?」
「メイが戻ってきて余裕があれば集めに行かしてもらうよ。」
「ここは良いからもう集めに行けば?」
「いや駄目だ。二人にアーチェリーの使い方を覚えて貰って、ゾンビを倒して貰えば交代できるのだけどな。」
俺は苦笑しながら答える。
「うん。やっぱり皇は信じられるな。さっきは悪かった。」
川田さんがそう言い頭を下げてくる。
その横で海島さんもコクコク頷き一緒に頭を下げる。
「良いから気にしないで。それより周辺をよく見てて。何か違和感があれば、すぐ近くの人と相談して情報共有して対応を考える事。」
俺が色々と教えているとメイが帰って来た。
「トウヤ、交代するわ。」
「頼む。」
俺は交代で店内に入り、家に不足している物資を優先に集めて店から撤収する。
「皆、車に乗って。そして俺が背面扉を閉めると同時にドアを閉めて。」
皆、一斉に頷き素早く車に乗り込む。
俺が指でカウントして拳を握ると同時に背面扉を閉めた。
それと同時に三つのドアが閉まる。俺は素早く運転席に乗り込み車のエンジンかけ発進させる。
「ふう…皆ご苦労様。やっぱり人が多いと物資の収集が楽だな。
それで済まないがもう一か所寄るんだが良いか?疲れているだろうが…」
「うんいいよ。」「何処でも寄ってくれ。」「お任せします。」
「ありがとう。多分喜んでもらえると思う。」
@@@@@
俺達は何とか家に帰り着いた。
三人娘も疲れているが表情は明るい。
最後に寄ったのが服装店だったので一気に元気になった。
いくらクーラーが使えていたと云っても一週間近く風呂どころかシャワーも浴びれず着た切り雀で居たのは妙齢の女性にはきつかっただろう。
よく伯父が言っていた。
「俺には出来ない事だが、お前は女の事を考えて行動してやれ。甘やかすとかじゃないぞ?色々教えてやるからそれを普通に実践できる様に、考えれる様な者になれ。」
今なら伯父の言葉の意味が理解できる。
あの時伯父に、
「何でおじちゃんはできないの?」
と、聞いたが、伯父はニヤリと笑い、
「邪魔くさいから。」
と、言って笑声を上げた。
今なら判る。
伯父は他人に手間暇かけるのを嫌がる傾向だった。
まぁ、伯父の話はいいか。
@@@@@
家に帰り着き先ず最初に三人娘に謝る。
「先ず嘘を付いていたのを謝る。済まなかった。」
「えっ?何の事?」
「俺の家では四人以上生活出来ないって言った事。俺の部屋だけなら四人でもキツイが隣りの部屋を入れると十人程なら受け入れるんだ。」
「うん。でも皇、あの時言ったじゃないか。信用のない他人とは一緒に居れないって。
それよりも隣りの部屋も使える事に驚きだよ。」
「偶々鍵が開いたままだったんでね。中に人も居なかったし玄関に鍵もあったから予備の部屋で確保した。だから君達はこっちの部屋を使って。俺の部屋は風呂に入れないから。」
「えっ?何故、皇君?」
「水の確保でだよ。水道が止まればトイレを流せなくなるからね。あと身体を拭くとか用。
だからお風呂入ったら一応水を溜めてて。」
「うん、分かった。」
その後、食事をしながら情報と意見交換する。
特に夜は部屋の行き来は絶対にしない。
電気は外から見られない様に最低限で使用。
早寝早起きの徹底。
でも明日はゆっくりする事で意見を纏める。
「じゃあ明日、昼頃で。ゆっくり寝てくれ。」
俺はそう言って自分の部屋に帰り、
ネットで新しい情報がないか調べてから眠りについた。
次の予定は未定です。
年内は体調を崩した影響で休みが取れないです(T_T)
年明けから多めに休みを取っているので一月中に少しは進めたいのですが…|д゜)
裏は十二月五日までに更新予定です。
ノロノロ更新ですが宜しくお願いします<(_ _)>




