なんだ?黄泉の国に来てしまったぞ?
=序章=
肌寒さが感じられる、中秋の夜が更けて来た頃。
包まれるような闇夜の天を、焦がすような勢いで炎が立ち昇る複数のかがり火。
長方体に切り揃えられた石材が積み重ねられて出来た、ピラミッドと呼ぶに相応しい建造物が建っている。
ぱちぱちと揺れる炎による明かりが照らされている、その先にはうっすらと青白く光り輝く石の壁が見える。
「 幾多数多の彷徨える魂よ
我の声を聞き届け
今ここに碑より
定められし魂を導かん 」
一人の白装束で身を包んだ巫女が両手を天に掲げて叫ぶ。
ギィィイイ……と重厚な音を響かせながら、青白い石の壁がせり出してくる。
割れ目の跡形も無い石の壁が縦半分に分かれて、扉のように開かれていく。
「ぉぉおおおおお…………」
開かれた石の扉から青白く光る人型の物体が浮かんだまま、巫女のかざす手からつかず離れず石の扉前の祭壇上に運ばれていった。
聞き取れない呪文のような言葉と共に召喚されたのだ。
「……ここ……は?」
俺は薄い肌着一枚しか纏っていない様子だった。
(何が起きて……いる?)
あまりにも現実離れし過ぎていて何が起きているのか、その片鱗すら把握できなかった俺は不安になっている。
「な……なんだよ……これは……?」
仰向けに宙に浮かんでいる男の不安を察するように、巫女が近付いてきた。
「もう大丈夫じゃ。今は無理せずゆっくりしているがいい」
気が付けば、俺は巫女の心を包まれるような言葉で目から一筋の水滴が流れ落ちていた。
「碑より導かれし者よ……」
何者かが横たわる男の脳内に直接語り掛けてきた。
「羽島論よ……そなたは生ける世とあの世を結ぶ、黄泉比良坂と呼ばれる世界の狭間に来ておる」
「……生ける世とあの世!?」
「その通り。生と死の世界の狭間の世界。そなたは生ける世で心停止したのだ」
「なんだと!?」
驚愕の事実を伝えられて、冷静さなど吹っ飛んだ俺は叫んだ。
「……正確には、心停止はしたものの、そなたの魂は強く輝いている。よって、心停止した体に戻れずにこちらの世界に彷徨ってきたのだよ」
「……」
「信じられないのは無理もない。現世と呼ばれる、生ける世界での羽島論なる人物の肉体の様子をお見せする事は出来るが、どうかね?」
すぐに返答できなかった俺は一息入れて、思考してみる事にした。
自分の安否を見せてくれるというのだ。見せてもらう事で覚悟を決められるかもしれない。
これが嘘であれば、自分の様子など映せるわけがない。仮に本当に映せたとして、酷い状態になっていたとしたら、それはそれで覚悟を決めるしかないだろう。迷っていても仕方ない。そう考えた自分自身の答えは一つしかなかった。
「……見せてください。お願いします」
羽島諭の覚悟をみてとれたのか、声の主は話を続ける。
「よく決心された。それでは現世の肉体の様子を映してしんぜよう」
すると羽島諭の目前の空間に靄が渦巻き、次第に水膜が張られてモニターのように映像が浮かんできた。
「これは……俺!?」
この人物は紛れもない自分自身の姿であった。その周りには涙を流して、途方に暮れている家族たちの姿があった。
自分自身ではあったが、その姿はかつて鏡で見ていたいつもの姿ではなかった。
眼球は破裂しそうなほどに肥大して、飛び出そうになっている。
身体もまるで風船を膨らませたかのように、3倍以上に膨れ上がっているのだ。
この姿は見るに堪えられない。
「この化け物が……俺かよ……」
おまけに、たくさんのチューブやら機械に囲まれて繋がれていたのだ。
まるで人造人間でも作りそうな雰囲気である。
現に、心臓が一時停止している訳なのだから、あの体は借り物の体といってもおかしくない。
肉体とは魂が納まる器なのだから……
様子を見ている限り、完全に死んだ訳ではなさそうだ。完全に死んでいたらチューブなどは全て外すはずだ。それより今はこれからどうするべきか?考えよう。
怒りに全てを任せても良いが、ここでは意味が無い気がするのだ。
羽島諭はここが元居た世界ではない、という事を理解した。そうなれば早い話で、目の前に起きている非現実的かつ、非科学的な現象を素直に受け入れる事にしたのである。
脳内に響いてくる声を素直に聞く事にも慣れてきた。
「飲み込みが早くて助かる。ここからが本題なのだが……
羽島諭には、今後この生と死の狭間の世界で生き抜く為の術を整えて頂く」
声の主は映像にしていた靄を消去させ、羽島諭の目前に画面を投影させた。
「これ……は?(まるで、ゲームのキャラクターメイキングの設定画面のようだが……?」
羽島諭の思考を読み取った声の主は説明を続ける。
「さよう。現世の世界にあるゲーム機とかいう娯楽と似たような考えでよい。但し、この世界では痛覚もあるし、死んだらそのまま黄泉の国に送る事となるだろう」
「ようはゲームと同じように設定は出来るが、本物の世界を生きるという事か……」
「少々違うな。正確には、生きているのか死んでいるのかハッキリしない状態なのだ。生きているとわかれば現世の世界へ、死んでいるとわかれば黄泉の国送りなのだ。そのどちらにも行けない者がこうして狭間の世界に留まって選択を迫られているという事なのだ」
「……確かに生きているかどうかもわからないが、俺は……死ねない。それだけだ」
羽島諭は改めて、生に対して強い意思を持ち始めたのだった。
「その画面で指定して頂く。それから確認をしたうえで、奪胎換骨の儀式を行うものとする。」
「奪胎換骨?」
「この世界で存在し続ける為に、適応した体を生成していく為に必要な事だ」
「今の状態で居続けたらどうなる?」
「そこにある周囲のロウソクが全部消えたら、たちまち黄泉の国へ飛ばされる事だろう」
気が付けば、自分の周りを囲むようにロウソクが立っていた。それも点灯しているロウソクが半分ほどに減っていたのだ。これが全て消えた時、声の主の言うように黄泉の国とやらに飛ばされてしまうのだろう。腹を決めるしかないな。
「どちらにしても、奪胎換骨とやらを受けなきゃいけないんだろ?……やってやるよ」
「よろしい。これより羽島諭の、「奪胎換骨」の為の儀式を執り行う」
ロウソクの火がまた一つ消えた。のんびり考えている暇はないという事だろう。
<この世界での名前を決めて頂く>
「羽島諭」
<警告>この名前は真名にあたる為使用できません
本名が使えない?そうか。何か不具合があるという事だな。それなら……思い入れのある名前でやってみるか……
「ロン」
<承認しました。ロン様。次に身体設定をして頂きます>
この設定だが、自分が入院する前にプレイしていたネットゲームに近いな。それなら思い入れのあるキャラの設定でやってみようか。思い立ったら迷う事は無い。羽島諭は思い入れのあるネットゲームでのキャラ名を使用し、キャラクター設定もそれに近い物にする気持ちを固めていった。
この男(羽島 諭)はネトゲー廃人で、上位ランカーを数年維持していたのだった。
会社の作業と当時に並行していたので、レベル上げ作業はもはや作業であった。
いつしか、仕事よりもネトゲーの方が本当の世界のような錯覚をおぼえていったのだ。
週末になると、5000人くらいのキャラクターが敵味方入り交じって、陣地を攻防していくというギルドウォーズというイベントで命という名の花をたくさん散らせる。
羽島諭が操作するキャラクターである、「ロン」の役割はかなり重要なポジションにいた。この為、作戦会議を行う所だったのである。
明るい昼過ぎの良い時間。インしている者はまだ少なく、チャットルームという名の会議室では女性ギルマスである「うらん」と二人きりであった。
「う~ん?なんか身体の調子悪いなぁ」
「大丈夫?ここ最近疲れ気味だったでしょう? 横になってて」
「うらんさん……すまない。そうさせてもらうよ」
……
……
主はPCモニターをすぐにでも見られるように、近くで横になった。
自身が設定したプレイヤーキャラクター「ロン」はどこか寂しげで、遠い目をした雰囲気を醸し出している。
ストレートで肩にかかるほどの長い黒髪、やや濃い目の黒い瞳。一見優男そうだが、その眼光は鋭く「信念」の元に闘う男そのものであった。
得物は槍。身の丈をゆうに超える長柄の先には、十文字をかたどった切れ味鋭そうな矛先が付いている。
ネットゲームの中でのロンは槍使いとして名を馳せていた。
確か、仲間に切り抜いて教えてもらった2ちゃんの記事では……
(チートしているかと思ったらただの廃人バカ)
(ひたすらレベリングにストイックな野郎だよな)
(……)
だの、こんな記事が随所に書き込まれている。
俺自身、2ちゃんねるは見ない人間なのでどうでも良かった。
同じギルドの仲間が読むに堪えられず知らせてくる。情報源としては早くて助かるだろうが、妬みなどの汚い言葉も多い様子なので見る気にはなれない。それが、この羽島諭という男であった。肉体がほぼ死んでいる状態で未練たらしくも、ここに来てネトゲーの続きをしようというのだ。いいじゃねぇか。魂がまだ続行するって言うんだろ?魂が消滅するまで、とことん出来る所までやってやるよ!
羽島諭はネトゲーでの自キャラを思い浮かべながら、身長から体格、顔輪郭など細部にわたって設定の操作で再現してみた。
<キャラ外見はこれでよろしいですか?>
「ああ。これでいい」
<承認しました。次にはスキルなどを設定して頂きます>
こっちにもかつてのネトゲーにあったスキルがいくつかあるな。羽島諭は、しばらくスキル表を物色していた。
うん??見慣れないスキルがあるな。
成長促進、成長補正、成長ボーナスの3つが目に留まった。ネトゲーでこんなのがあったらチートだろ。確か、謝罪措置とか周年記念とかの時にやったな。これは外せないだろう。
「成長促進、成長補正、成長ボーナスの3つ均等に数値を全振りしたいです」
<確かにそなたは生に強い意思を持っている。その影響で割り振れるスキル数値が高めだが、その3つに振り分けるのか?>
「はい」
<付け加えておくが、そのスキルは誰もが持てるユニークスキルではない。良く見たまえ。成長遅延、成長補正無し、種族制限とあるが、問題は無いかね?>
はっとして羽島諭はユニークスキルを改めて見直してみた。
確かに、注釈がついている。成長促進(遅延)、成長補正(無し)、成長ボーナス(種族制限)。
ここで疑問を感じた。なぜこの様に回りくどく「成長遅延」ではなく、「成長促進(遅延)」とあるのだろうか?声の主は「成長促進(遅延)」と言わなかった。単に略しただけなのだろうか?
気になるのは「種族制限」の部分だ。人間で無くなれば制限は解除される!?
「人間以外の選択肢もあるという事でしょうか?」
<うむ。スキルが決まってからの選択になるが、決まりましたか?>
ロウソクの火も残り少ないな。ここで迷っても埒が明かない。腹を決めてやるか!
ここまできて怖気つく訳にはいかないのだ。
「スキルは先ほども伝えたように、成長促進、成長補正、成長ボーナスの3つ均等に数値を全振りでお願いします」
<後悔はしないのだな?>
「はい」
<承認しました。次は最後に、種族を決めて頂きます>
羽島諭はざっと種族一覧と種族についての特性、ボーナスなどを確認している。
鬼族、水棲族、獣人族など、生と死の狭間の世界で人間より遥かに適応している生物たちだ。
「その種族選択について、現世に影響はするかな?」
<多少はあるかもしれないだろう>
「でしたら、人間でお願いします」
<良いのか?設定を終えれば、確かにロウソクが全部消えても人間の姿でも黄泉の国に送られてしまう事は無くなる。だが、最弱の人間を選択するとはな……>
「迷いはありません」
自分は一度は死んだようなものだ。現世にある肉体も無事でいられるとは限らない。ならば、人間らしく生きて最期を迎えたい。確かに、人外を選択すれば能力や生存率は上がるだろう。それでも人間としての愛着がある。人間の可能性を試してみたい気持ちの方が強かったのだ。
<承認しました。これで選択はやり直せなくなるが、間違いないのだな?>
どこかのクイズ番組のような口調で脳内に響いてくる。
(ア……アンサー……?)
「ア……アンサ……」と言いかけた所で、ジロリと見つめられた気がしたのです。
(心の中まで見透かされている事なのね……)
羽島諭は気を取り直して、力強く答える事にする。
「人間で問題ないのでどうかよろしくお願いします!」
<以上、これでロン様の設定は確認された。この後、魂の手術を受けて頂く>
「しっ……手術!?」
現世で酷い目に遭ったばかりなのがトラウマになって、素っ頓狂な声をあげてしまった。
自分の目前に映っていた画面が消え、操作前に響いてきた声が脳内に響いてきた。
どうやら最初に聞こえた声の主とウィンドウ操作の主は別人のようだ。確かにウィンドウ操作の声の主はどこか、機械的であった。
「どうやら設定を終えたようだな。羽島諭よ……不安になる気持ちはわかるが、他に道は無いのだ。暫く眠るが良い」
「……」
羽島諭は言われるままに目を閉じる。羽島諭の意識に呼応したように、一部を残して点灯していたロウソクが全て点灯した。再びその体が青白く光り出す。
その周りをどこからやって来たのか、全身白フードを被った者たちが6人で囲みだす。
うっすらと瞼を開けてみると、モニター腰にこちらを呼ぶ声があった。
「ロンさん!ロンさん! …… 大丈夫?」
時計は18時を過ぎ、外は暗くなってきていた。
「もうこんな時間か……」
主は体調チェックするも、違和感が収まりそうにない。
急に背中の方に強い違和感と痛みが出て来た!
痛みと連動するように嘔吐し始める。
(な……なんだよこれ……?俺は死ぬのか?)
見た事も無い色の嘔吐物が吐き出されていたのだ。(決して変なものを食べた類ではない)
一気に「死」への不安が頭をよぎる。
ブルブル震える自分の体を抑えながら、視線をPCのモニターに向けると……
チャットではあるが、羽島諭を呼ぶ声がそこにあった。
「ロンさん!気が付いたら返事して!」
「あ……うらんさん……ダメかもしれない…… やばいやばい……」
「ロンさん!ロンさん!救急車呼ぼうか…?」
「連絡先は……xxx-xxxx xx-x」
「ちょっと待って! ホントに大丈夫?」
「ごめん……」
「ロンさんーー‼ 大丈夫ー? 返事できる?」
……
「ロンさんーー‼」
……
「ロンさんーー‼」
……
……
このままギルマスのチャット叫びがこだまとなっていく……
(ああ……オレもうダメなのかな?)
羽島諭は激痛のあまり、気を失ったようにこのまま机上に伏すように倒れる。
羽島諭はこの後うらんさんの機転で救急車を呼んでもらえて、救急車がやって来たので運ばれていったのだった。
救急車の中で途切れ途切れになる意識。
「ああ……これでオレも救急車のお世話になったんだなぁ」
ガタガタ揺れる救急ベッドの上で酸素マスクを当てられている。
病院の救急診察室にて。
「あなた。今こうして話が出来ているのが不思議な状態ですよ」
呆れ顔で担当医がエコーをお腹の患部に当てていた。
羽島諭は担当医から言われた事を意に介していないかのように、怪訝そうな顔で返事する。
「まぁちょっと気持ち悪くなっただけだし、大丈夫だと思うんだが……」
「とんでもない。今すぐにオペを受けないと行けない状態です。こちらに入院手続きのサインをお願いします」
こうして入院の同意書にサインした羽島諭はそのままベッドに寝かされ、オペの日を待つこととなる。
病院の入院生活が退屈で、1日で音を上げたものですからベッドから起き上がろうとしたら……ナースさんにめっちゃ叱られた。
「あなた!酸素マスク外したら死にますよ!」
この時にはマスクを外しても死なないだろう、位にしか考えていなかったのだ。
自分で自身の状態をちゃんと把握できていないほどに衰弱していたのだ。
渋々ベッドで大人しく寝る事にしたが、退屈この上なく時間もあるので余計な事を考えてしまう。
そんな日が3日ほど経過していく。
やがて、主治医がみえたのでガッツポーズをとる。
(やっと帰れる!こんな所なんで早い所おサラバしてぇわ!)
そう思ったのもつかの間、羽島諭はベッドを移されどこかに運ばれていく。
(ちょっと待てよ。この先は確かオペ室じゃないか!何するっていうんだよ?)
主は叫びたかったが、酸素マスクによる呼気を受けていたので何も話せずにいた。
「これより患者、羽島諭の手術準備を始めます」
手術着に着替えさせられた主は手術室でお馴染のライトが備えられている台の上に寝かされていた。
するといきなり(がしっ‼)
周囲にいた助手たちが群がってきて、身体の全身を押さえつけてくるじゃないですか!
足首から脚、腰、肩、腕、頭……おまけに酸素マスクまで強引に押さえつけて来やがって‼
(どけーーーーっ‼ 苦しい‼)
乱暴に押さえつけられた主は怒りのあまり、アドレナリンが最高潮に分泌される。
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい‼
(もう許せん許せん許せん!全員殺してやる殺してやる‼)
我慢の限度を遥かに通り越した羽島諭は頭の中の何かが「ぷっつり」切れた音がした。
目をカッと見光らせ、吠える。
「うがぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああwwwwwwwwwwwwwwwww‼」
このままバイクや車を持ち上げようかという勢いで10人くらいの人の押さえつけて来る力に打ち勝つ。
それから術台の上に立ち上がって全員に向かって虎のような声で怒鳴り散らす。
「このクソ野郎めが‼ 全員ぶっ殺す‼」
この姿はまるで大魔神か、仁王像のよう……
羽島諭の予想外の力に大目玉喰らった主治医と助手たちはたいそう驚き、何とか対処しようと距離を取っていた。
だが……
日本人である俺。そこまで傷害をする気など無かった。
本気でどうしたら良いのかわからず困り果てた周囲の人たちを見て、何故か冷静になれてしまったのだ。
自分の全力を「起き上がる事」に全てを使ったのだから、しおしおに萎んでいく。
「ぜぇぜぇ……」
重病なうえに酸素マスクもしていないので、息苦しくなってきた。
怯えたように手を出せずにいた周囲の人たちの予想に反して、羽島諭はゆっくりとベッドで仰向けになる。
「今度は乱暴にやらないでくれ。ムカつくんだよ!」
「すみません。すみません。優しくします」
暴力を振るわないと発言して、安心した?助手たちが再び群がり、処置を始めていく。
羽島諭は周囲の人たちを信用できず、右手で酸素マスクを自分の口に当てている。
「大人しく寝てやるから乱暴するな!でなきゃ……ここにいる全員殺す!」
酸素マスクとチューブを通して強めの麻酔ガスが注入される。視界から思考すべてが渦まいていき、羽島諭は現世との意識を切り離していった……
こんにちは、雪燕です。こちら「小説家になろう」では2作目になります。
この作品は、私自身の実体験と夢の中で見て来たものを流用しての執筆になります。
フィクション作品なのですが、ノンフィクションの要素を幾らか混ぜています。夢の世界、魂の世界とは何なのだろう?人は魂では繋がっていたりするとも言われています。非科学的な分野ですので、証明する手立てはありませんが、読んで頂ける読者たちを楽しませられるよう、日々精進してまいります!