『俺と君は相性がいい』
遅くなりすいません
「ん、んんっ?」
目が覚めると知らない天井。
(あぁ。そうだ。異世界転生したんだっけ)
起き上がり、当たりを見渡す。
(箱だっけな・・・?)
「あっ」
箱を見つけた。やけにでかい。
(何かびっくり箱みたいだな・・・)
開けてみるとカード2枚と、服があった。今気付いたが狼竜は全裸になっていた。とりあえず、入っている服に着替えた。
黒を基調とした、動きやすい服装。軽く手を守れる程度の黒革の小手。フードの着いた黒い上着。中には黒に似合う白のシャツ。スボンには剣差しがあった。靴は黒のブーツ。
(なんかほとんど黒だな)
「ん?」
カードを手に取るが特に何も書いていなかった。
(メモ帳とかかな?)
とりあえず、外に行こうと思い立ち上がった。扉を開けて外をみた。
「完全に異世界やわ・・・」
そう。なぜなら目の前にドラゴンがいたからだ。
「こんにちは」
(ドラゴンが話した!?)
「あれ?私達の言葉がわかりますか?」
「え?え、ええまぁ」
「わー。頭がいいんですね。私達はパポリニール語ってのか標準語なんですよ」
「はあ」
「ちなみに貴方は異世界人ですね?」
「え。どうしてそれを」
「はい。私の仕事は異世界人に説明をすることなので。でも最近はあまり来てないんですよー。10年ぶりです」
「そうですか」
とりあえず中に入ってもらい、説明を聞くことにした。
「えっと、来る前にフードの人と戦いましたか?」
「あぁ。はい」
「強かったですよねー」
「いや特には」
「え」
「真剣は怖かったけどそれ以外は別に」
「攻撃当てられました?」
「どっちの意味で?」
「貴方の意味で」
(こいつ・・・。わけわかんねぇ)
「あぁ、貴方は攻撃を当てましたかって意味です」
思い出してみた。あぁ、蹴ったな。
「はい。当てましたね」
「おおー。痛そうでした?」
(頼むぅう。ニコニコしないでくれええ!)
「顔だけなら」
「だから無理矢理なんですねえ」
ドラゴンは水を2口飲んだ。
「では、これからは話が長いですよ?1度しか言わないので耳の穴かっぽじってよおおく聞こえい!」
「あ、はい」
「この世界の名はアルフレッドです。魔法もあります。貴方が持っているカードは、能力や武器などがあります。ですが、何も書いてないですねぇ。それにカードも2枚・・・。ミスですかねえ」
「いや、俺に聞かれても・・・」
「そうですね。えーと。多分本当に必要な時は出てきますよ。能力名とかが。それで、あれ?もう言うことないや。それじゃあファイトです!」
(長くないじゃん!)
立ち上がり、出ていった。外を見ると、翼を広げて飛んでいた。
狼竜が転生された場所は高い高い山。だから、王都がよく見える。
「行ってみるか」
☆
「ザワザワしてるなー」
30分くらい走ってきた。途中道に迷ったが。
露店がたくさん並ぶこの大通りはたくさんの人で賑やかだ。
立ち食いが主だが、外にテーブルなどが用意されている。
(装備してる人が多いなー)
本が露店にあったので読んでみた。
このアルフレッドにはモンスターがいる。種類は様々だが下級から極級まである。極級は未だに倒されたことは無く、現れたのも3回ぐらいという超極レアだ。種族が同じだがフォルムが違うのが3匹いる。アルフレッドに現れたのはこの3匹の1回ずつだ。パワーフォルム、エフェクトフォルム、シールドフォルムの3匹。正確には4匹だが。
このすべてのフォルムが合わさった、パーフェクトフォルムだ。現れたら最後人類が消えると言われている。
(戦いてぇぇ。でも、とりあえず剣を探そう)
剣屋に着いた。
(沢山あるなー)
「んっ?」
剣を眺めていると、刀があった。しかも、日本刀。
(この世界は地球の文化が無いんだと思ってた。まさか地球より高いとは)
「50000K!?」
狼竜が所持しているお金は箱にあった30000K。
(どうするかー)
すると、どこからか声が聞こえた。
「おい!モン駆除のとこ行って金稼ごうぜ!」
(モン駆除?)
歩いている街の人に聞いてみた。
「モン駆除?あぁ、モンスター駆除依頼所かな。そこで依頼を受けて、モンスターのとこに行って、倒す。そうすると、お金やら装備やらが貰えるよ」
「ありがとう」
(武器が無いけど行ってみるか)
数分歩いたら見えてきた。
(掲示板形式か)
「剥がせばいいのかな?」
剥がそうとした時、隣の女の子もこの紙を剥がそうとしていたらしく、同時に引っ張ってしまった。
「あ」
「え」
綺麗に半分に切れた紙を見つめながら交互に見合う。
「えっとー。どうしようかな」
困った顔で聞くと当然のように少女は言った。
「んなん決まってるだろ。依頼書が半分なんだ。ソロプレイがダブルプレイになっただけだろ」
あぁ。どうやら一緒に行くみたいです。
☆
「おいあんた。名前は?」
「狼竜。綾辻狼竜だ」
「変わった名前だなー」
「そう?」
「うん。私はサクラ・アイヴェルクルム」
「サクラね。わかった」
今回倒しに行くのは、草原の白栄王[レッザー・バルム]。
難易度は上級。
「狼竜。武器無いの?」
「ないよ」
「殴るのか?」
「それしかないかなー」
(武器買うために受けるんだけどね)
「報酬は山分けなー」
「うん。えっと、25000!?これ、元々難しいんじゃない?」
「上級は20000から30000の間だぞ?」
「ソロプレイで余裕ならめっちゃ貰えるじゃん」
「そだな」
もう少し歩いたあと、草原の白栄王を見つけたので、奇襲をかけることにした。
「どうする?」
「狼竜が走り込んでちょっと足止めして、私が魔法と剣で倒す」
「わかった」
草原の白栄王が真反対を向いた時、勢い良く駆け出した。
かなり接近した時に、狼竜の存在に気付き、攻撃の構えをとる。
しかし、もう助走と蹴りの構えはしていた。
(俺の方が速い!)
助走した蹴りは強力だったらしく、8mぐらいの草原の白栄王を軽く吹っ飛ばした。
着地と同時に腰に回転を入れ、もう一度飛ぶ。それを3回やり、草原の白栄王の元まで行く。1度も止まることのないこの移動は、右足に威力が増すのがわかった。
「そい!」
頭を上げた草原の白栄王の鼻に、思いっきり叩き蹴った。
そして、左からサクラが出てきて手を切り落とす。
反撃をしてきた草原の白栄王の攻撃を余裕で避け、殴る。
「そろそろ・・・」
「終わりだ!」
もはや瀕死の草原の白栄王にサクラの剣と狼竜の蹴りが注ぐ。
「終わり・・・だ!」
サクラの斬撃が草原の白栄王をバラバラに切り刻んだ。
「終わったー」
「なんかさ、私達って相性いいね♪」
可愛らしい笑顔で依頼は幕を閉じた。
早く出せるようにします。やはり狼竜強い。