桜ドレス
はじめに見た彼女は、フリルとレースいっぱいの
桜のような淡いピンクのドレスを着ていた
ドレスには小さなリボンが、たくさんついていて
フリルも、ドレスの色んなところに
これでもかというくらい縫いつけられていて…
彼女は私に、なんだか違う世界から来たような
まだ私の知らない外国からでも来たような
ちょっと、浮いているものを感じさせた
彼女は髪に、大きな紅薔薇のついた、髪かざりをつけてた
小さいころ読んだ童話から、抜けだしてきたような
これから、どこかの お城のパーティーにでも出かけるような
そんな雰囲気の彼女
紅薔薇の髪かざりが、まっすぐな黒髪に
引きたてられていた
よく見ると、顔は お人形のように整っていて…
とても美しくて、かわいいと思った
私は勇気を出して話しかけてみることに…
「あの、すみません。こんにちは…」
彼女は、いっしゅんフシギそうな顔をして
こちらをキツめの目で見たかと思ったけれど
ふつうに返事をしてくれた
『はい』
「そのドレス、とてもカワイイですね」
人見知りで内気な私にしては、
いきなり町で、
初めて見たばかりの人に声をかけるなんて
そんなことが、よくできたなぁと思う
でもあの時は本当に寂しくて
だれかに話をしたくて仕方なかったんだ
彼女は
『あぁ…どうも、ありがとう。ちょっと派手かな?
って気にしてたから、とてもうれしい。
このドレスを着て歩いたのは、今日が初めてなの』
そう返事をしてくれた…
「そうなんですか」
『このドレスは、私のお気に入りなの。
でも汚したくないから、なかなか着れなくって…
まさか道で、ほめてくれる人がいるなんて思わなかった』
「あ…ごめんなさい。なんか、いきなり話しかけて…」
『ううん、いいよ。ちょっと、ビックリしたけど
ドレスをほめてくれて嬉しいし…』
私は、このフシギなドレスを着た彼女と
もう少し話したいと思った
「あの、あなたの名前を聞いてもいいですか?」