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恋占いの少女  作者: 井戸端 礼
6/7

告白とその先の道

(言わなきゃ・・・!早く言わなきゃ!!)

彼女の焦る気持ちは、時間が経つにつれ大きくなる。

せっかく、二人きりになれたのだ。こういう機会はもう二度と来ないか

もしれない。それでも彼女は前に踏み出せずにいた。あれだけ頑張って

恋占いをしたにも関わらず、やはり最後の勇気が出ないのだ・・。

「おい、どうかしたのか?顔が赤いようだけど・・」

彼は、何気なく、しかし少し心配そうに彼女を見つめながら、声をかけ

てきた。

「いや、なんでもないの・・」

「そっか・・・・・」

そのあと、また会話が途切れてしまった。

目の前には自然が醸し出す、緑と黄色のグラデーションが鮮やかに、

彩っている。そこを爽やかな風が、二人を包み込むように流れていた。

「あのね・・・」

彼女は、そこまで言って言葉が途切れてしまった。

彼女はうつ向いたまま、彼を見ることはできなかった。

しかし、ここで言わないと一生後悔する。そんな気持ちに駆られた彼女

は、(勇気をだすのよ、頑張れ!!自分)と思い返し、告白をする。

「私は・・・」

「??????」聞き取れないような声でいうものだから、彼は最初

何を言っているかわからないようだ。

「あの時・・・・。あなたが、私のことを好きだと言ってくれた・・」

「あ、ああ・・・」

「あの時から・・・・・」彼女はまだうつむいたままだった。

しかし、次の瞬間、スッと立ち上がると彼に向って、目をつぶりながら

だが、大きな声で叫んでいた。

「あ、あ、あなたのことが大好きでした!!これからもずっとあなたの

事が大好きです!!わ、私と・・付き合ってください!!!」

彼女は、そう言い終わると、その場に座り込んでしまった。

全ての力が抜けたかのように。そして目から溢れるものが止まらなかっ

た。それは今までの彼女が彼に対して思い続けていたものを、洗い流し

てくれるかの如く、清らかに頬を伝っていた。

彼は黙っていた。膝から崩れ落ち、その後泣いている彼女を見つめてい

た。彼の表情は特に変わったところはない。彼は泣いている彼女の手を

取ると、起きるように促した。

「私・・・私・・」彼女はまだ涙声だ。彼女にとっては、それこそ

清水の舞台から飛び降りるような心境だったのかもしれない。

さすがに、時間がたったので、少しは力が入るが、まだ膝がガクガク

している。あとは答えを聞くだけなのだが、頭の思考がそこまで回って

いないらしく、次の言葉が出ない。

「ありがとう」

彼は、優しく一言いった。

「俺もうれしいよ。君がそう思ってくれていたなんて」

彼が、そういうと彼女は、不思議そうな顔をして、彼を見つめた。

彼はそのあと意外なことを言った。

「俺、待ってたんだよ。君がそう言ってくれるのを。あの後、俺が声

かけても、君は無視したり、知らんぷりしたりして避けてたじゃないか

。てっきり嫌われていたのかな?って思ってたんだ。でもそうじゃなか

ったんだな。こっちから付き合おうと言いたくても、言えないまま、

ここまで来ちゃったけど・・・・。こっちから改めて言わせてもらう。

俺と付き合わないか?」

「!!!!!!!!!!」

彼女は、気が動転してどうかなりそうだった。彼は私のことをずっと、

好きでいてくれたのだ。それを私は自分の性格から、言う出す勇気もな

く、避け続けていた。なんて遠回りなことをしてしまったのだろうか?

そう思うと、今までの自分の行動がとても無駄にも思えてきた・・。

そしてそんな気持ちからまたしても、涙が溢れてきた。悔恨の思いを

乗せたその滴は、先程の涙と違い、灰色のように見える。

顔を震わせて泣いている彼女を横目に、彼は歩きだすと一輪の花を抜き

、彼女の前に持ってきた。

「これ、俺の気持ち」

その花を彼女に手渡した。

その花は黄色いマーガレット。

彼女は、それを見ると涙をぬぐい、微笑んだ。

「・・うれしい・・。ありがとう」

彼女は、幸せだった。好きだった人が、実は自分のことを好きであり、

愛していると言ってくれたことに。彼女は今迄生きてきてよかったと

心から思えた。そして二人で新たな道を歩めることがうれしくて仕方

なかった。風に揺れて、花々が揺れている。花達も彼等二人の姿を見て

「よかったね」

と囁いているかのようだった。彼は言った。

「さあ、いこう。二人であの道へ」

「うん。私幸せだよ。」

「俺もさ。これからもずっとあの輝く道を二人で歩んでいこう」

「これからもよろしくね」

彼女の顔には、もう涙はない。今の彼女の顔は天使のような美しい笑み

を浮かべていた。二人は顔を合わせて微笑みあうと、前を向き、

その先にある黄金に輝く道を二人で手をつなぎ歩き始めた・・。

永遠の幸せがまっているであろう、その道を・・・。



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