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恋占いの少女  作者: 井戸端 礼
3/7

もうひとつの占い

少女は、ほんのひと時だが、恋占いを成就した満足感に浸ることができ

た。しかし、すぐにもう一つの心が湧き上ってくる。

「けど、もし告白して、駄目だって言われたらどうしよう・・。」

本人は先程までの喜びはどこへ行ったのやら、いつもの引っ込み思案な

心が彼女に勇気の一歩を踏み出させることにブレーキをかけてしまう。

確かに、彼女の占いで好きという結果が出たのだが、それはあくまでも

占い。本人がそう思っているとはとても思えなかった。それでは、占い

したことに意味があるのか?と思われるが、少女にとってはそんなこと

は大した意味がないらしい。いざ、その状況になったときに本来の自分

が出たというべきか?

少女は、その場に座り込んで考えこんでしまった。言うべきか、言わな

いべきか。物語の展開からいえば、ここで告白すべきなのだが、少女は

悩んでいた。その時に丘の一群に咲いているある花を見つけた。


ピンク色のマーガレット。


最初に記したが、この花の花言葉は「真実の愛」である。この花が、

悩んでいる少女にひとつの答えを出した。少女は、そこに向かって駆け

出すと、その中から一輪の花を抜き、恋占いを始めた。

「好き、嫌い、好き、嫌い・・・・。」

少女の出した答えは、このピンクのマーガレットで同じように恋占いを

して、同じように「好き」という結果になれば、彼も自分のことを好き

だと思ってくれいるに違いないと。いや、そうに決まっている。一見、

優柔不断にも見えるし、断られる恐怖から逃げてるようにも見えるが、

それが彼女の答えだった。彼女は恋占いを続けた。

「好き、嫌い、好き・・・、嫌い・・・、好き!!」

最後に残った一枚は「嫌い」だった・・・・。

少女はその場で首をがっくりと下げた。

その姿はもう歩くこともできないのではないか?と思える位だった。

この占いをしてしまったことを後悔さえしていた。

なんで、最初の占いのあとに告白に行く勇気が出なかったのかと。

もちろん、占いなど無視していくこともできるだろう。

ただ、それができるなら、今日まで少女は占いなどしていない。

できないから、その勇気を出すべく占いをしていたのだから。

彼女は茫然としながら、丘から見える風景をただただ見つめていた。



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