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恋占いの少女  作者: 井戸端 礼
2/7

続く恋占い。そして・・・

翌週、少女はまたあの丘へ行った。丘には、マーガレットが一面に広が

っていた。少女がこの丘にくるのは、それが理由だった。

彼女は、そのたくさんあるマーガレットの中から、一輪だけを選び、恋

占いをする。何度もやれば、いつかは当たるだろう。だが生真面目な

少女にとって、それは罪悪感を感じるものだった。それにそれは恋する

者として、彼を軽く思っているのでは?という想いもあった。

彼女は、色々と眺めているなか、これはと思う、一輪のマーガレットを

見つけると、それを引き抜き、恋占いを始める。

「好き、嫌い、好き、嫌い・・・・・」

残りが少なくなると、ついつい先読みをしてしまいたくもなるが、少女

はそれを拒んだ。最後の1枚になるまでしっかりと取るのである。変に

先読みして重なっているのを見過ごして後悔するのも嫌だった。

「好き、嫌い、好き・・・・・・。」

またしても最後の一枚は「嫌い」になってしまった。

彼女は肩をがっくりと落としながら、丘を下って行った。

翌週も、その翌週も少女は丘に通い続けた。

毎日行ければいいのだが、事情がありそうもいかない。少女にとって、

週1度の、丘に来る時だけが占いのできるチャンスなのだ。だが、現実

は厳しく、彼女が「好き」で終わることはなかった。

そのまま、時は流れた。

少女も不安になってきた。このまま言うことなく、私は死んでしまうの

だろうか?それなら、いっそのこと占いなんか頼らないで、勇気を出し

て告白すべきではないのか?と。しかしそう考えても、あと一歩が踏み

出せない。少女の引っ込み思案なところと生真面目さが、少女の勇気に

ブレーキをかけるのだ。そこまで思いつめても最後に思うこと、それは

「やっぱり、最初に決めた通り、恋占いで成功してからにしよう」と。

そんな中、いつものように丘に登った少女はもう何度目、いや何十度目

になっただろうか、いつものように恋占いを始めた。

もう、あきらめにも近い気持ちが少しでていた事もあり、淡々とこなす

自分もいたのだが・・・。ついにその時が来た。

「好き、嫌い、好き・・・・・!!!嫌い。」

残りの一枚に残ったのは「好き」、やり続けた甲斐があった。

少女は、残り1枚を勢いよく引き抜くと、その花びらを真上に大きく

投げた。その花びらは、クルクルと回転しながら彼女の頭に触れた。

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