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夜、女子の中に男子が1人いたらこうなる

作者: ゼロ

念のために言っておくが、これは野次馬目線である。

そして、くどい。

夜、合宿中の女子がするものとは何か。



それは多々あれど、1番有名かつ定番な話は『恋バナ』である。



重要だから2回言おう。


『恋バナ』である。



特に仲間内で1人でもカップルがいれば、お相手の愚痴にしろ、惚気にしろ、何がしかを語るのがもはや鉄板である。



『特別親しい友人たち』という条項が盛り込まれてくるので、その様子を見るためには少々手間暇がかかるのだが、やはり見ていて飽きない。



好きな相手のことでキャーキャー盛り上がるその女子たちは大変可愛らしく、いかにも年頃の女の子といった若々しさを感じる。


かくいう自分も年齢だけは若いのであるが、精神は実年齢を超えている。よくある「転成しちゃった!」などということではない。中身がおばさ・・・・・・・・・ゲフンゲフン、お姉さんらしいのである。なので恋人もいないという事実が明らかになることを恐れ、恋バナに堂々と混じることはしないのである。




しかし、人は自分に無いものに憧れるものだ。


したがって、素知らぬふりをして野次馬は野次馬らしく、スマートフォンでケータイ小説を読むという演技をしつつ、彼女たちの話に耳を傾けるとしよう。


前置きが長いって?いいではないか、別に。




夜、合宿中の学生たちには、夏休みの宿題を終わらせるために勉強部屋が与えられていた。この合宿には、学生は親しい人同士でしか参加していない。また、大人たちの部屋から離れたところに位置しているため、よほど大声で騒がない限り、何をしていても気づかれることがないという、学生たちの治外法権の場となったのである。



おのおので宿題を持ち寄り、最初のうちは真面目にやっていたのだ。だが、女子が2人以上集まれば、その場所が静まったままでいるのは難しい。口を開くのは簡単であるし、喋り続けるのはもっと簡単だ。


あっという間にマンガの話が始まり、そこから恋バナへと話題が変わっていった。時間にして15分かかっていなかったのではなかろうか。皆、そんなに恋バナが好きか。野次馬には理解できない話である。じゃあなんで聞き耳たててんだとか言ってはいけない。野次馬はガラスのハートの持ち主である。




ちなみに語られていたのは、某話題の少女マンガだった。映画化され、アニメ化され、今人気絶好調のものだ。恋する乙女(?)と少女マンガ。最強タッグである。盛り上がるのは必然と言えるかもしれない。




さて、くどいようだが、もう一度ここで繰り返しておく。これは姉とその友人たちにおもちゃにされる弟の話である。興味がない人、私の喋りが嫌いもしくは苦手な人、うっかり間違えた方は即引き返したほうが良い。後から苦情は受け付けない。





「髪はロング?ショート?ミディアム?」


おっと注意を促している間に、もう始まっているようだ。


まずは髪型の話からだ。どういうわけで彼女の弟に意中の人がいることがバレたのかはわからないが。女子の性質からいってお相手を突き止めようとするのは自明の理である。1人でも厄介なのに複数集まると・・・・・・・もはや言うまでもないだろう。


哀れ、弟君はたちまちにして姉とその友達に囲まれ、出入り口を塞がれて脱出もできない。



全くもって同情する。まあ、見ている分には支障はないから別に構わないだろう。多分。


とりあえず、こっそり合掌しておいた。

ご愁傷様です。



「で、どれ?」


姉の泉が弟の真斗に尋ねる。



「いや、答えるわけないやん!」


その顔は若干焦ってるように見えなくもない。



「ふーん。まあいいわ。」



泉はつまらなさそうな顔で横を向いた。

ちょっと真斗が一息つく。



甘いぞ、真斗くん。

泉の横には友梨がいるじゃないか。2人が素早く目配せをしていたのが見えなかったのか。ほら、友梨が携帯をいじってる。



ムード作りのためかラブソングが流れだした。




「片っ端から女の子の名前挙げてったらいいだけやし!!」



ガクッと真斗くんがうなだれる。バカだなあ、泉が諦めるわけないじゃないか。あんなキラキラした楽しそうな目をしている時は何を言っても無駄なのに。



友梨を含めた周りの女子たちがこぞって名前を挙げ始める。



「あや!」

「ゆき!」

「かずえ!」

「ゆりか!」

「ゆうこ!」

「かすみ!」

「かよ!」

「きらら!」

「なみ!」

「なぎ!」

「ちひろ!」

「さや!」

「さやか!」

「あやか!」

「ゆうな!」

「ゆいな!」

「あかり!」

「さやか!」

「ちか!」

「りか!」

「りょうこ!」

「まりも!」

「ゆりえ!」

「さゆり!」

「さゆら!」

「あゆみ!」

「あゆ!」

「すみれ!」

「かな!」

「ゆい!」

「はるか!」

「はな!」

「かなえ!」

「まゆ!」

「まゆみ!」

「あやね!」

「あやの!」

「みゆき!」

「みと!」

「みか!」

「みき!」

「ももか!」

「ももこ!」

「すぐは!」

「ゆいか!」

「ゆうか!」

「ゆう!」

「なつみ!」

「ひろね!」

「みどり!」

「しずか!」

「みやこ!」

「あかね!」

「いずみ!」

「みさき!」

「もえこ!」

「しおり!」

「すずか!」

「すずね!」

「すずは!」

「さき!」

「みや!」

「ゆうひ!」



だが、真斗は体育座りで顔を抱えこんで携帯をいじってる。つまり顔色はうかがえない。



「あーもう!!誰よ、いったい!!!!!」


遂に泉が切れた。

女子たちも言うのをやめる。少々疲れたらしい。



「だから最近格好よくなったんか?」


「は?そんな!?」



いきなりの姉のセリフに真斗は驚いて顔をガバッとあげる。若干てれが混じってたのは気のせいだろうか?



再び恋愛ソングが流れる。

笑いながら問い詰める泉。ところどころ彼女自身の恋愛話という名ののろけも混ぜ、緩急をつけて話している。



合宿の夜は長いので気長に問い詰めるつもりであるのだろう。




「ウィーハブボーイフレンド、ユウハブ・・・?」


なぜか泉が片言になる。




「知らんわ。ボケ!」



あ、部屋を出てった。宿題とか置いてったからもっかい戻ってくるな。ってゆうか嫌でも戻ってこんなん。






それまでにちょっと休憩。




結局、真斗くんは戻ってこなかった。

宿題は翌日の朝早くにとりにきたらしい。


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