少年ナチュラルの夢
世界は突然、暗黒の闇に閉ざされた。滅びを意味する魔王の降臨である。やがて、世界全土に魔物が大量に召喚され、暗い闇と無数の魔物によって、人間と魔物の果てしない戦乱の時代に入っていった。
あれから、数百年の月日が流れた。
遠い異国の城、グランドマインが魔王軍の攻撃によって滅ぼされかねない状態になっていた。
「お逃げ下さい、我が君。このままでは、全員が亡くなります。予言の子の殿下まで亡くなられては、魔王すら倒せません!」
しかし、王が妃の部屋に辿り着いた時には、大勢の魔物が部屋の前で立ち塞がり、妃はいなく赤子の姿もなかった。
「おのれ、魔王め、2人をどうする気だ!」
王は大軍勢の魔物たちを倒しながら、妃を探す。妃は魔物を魔法で倒しながら逃げていた。
「今助けにいく〜」
王は魔物たちを倒しつつ、妃の下に辿り着く。けれど、魔物たちが少し身を引くのを見て、
『逃がしはしない。喰らえ、闇の恐ろしさを!』
子どもが夢から覚め、ベッドの上から落ちた。
「!!!」
ナチュラルは飛び起き、毛布をベッドに戻す。
「・・・」
また同じ夢。五歳になったナチュラルは、母親エミーシャに連れられ、異国の船に乗っていた。エミーシャの姿がない。
「???」
ナチュラルは部屋から出て、船がどこかの港に向かっているのを知る。
「よっ、坊ちゃん。もうすぐ港だ。お母さんなら、船長と話しているよ」
「!」
少年は頷き、船長のいる部屋へ走る。
「あら、起きたのね。こちら、船長のメルンさんよ」
我ながら子どもでもびっくりする体つきで、胸が大きく母親とも劣らぬ貫禄の持ち主だ。
「坊や、あたしの腕にかかりゃ〜すぐに着くからね」
「ナチュラル。忘れ物がないか部屋に行って準備なさい」
コクリ、と少年ナチュラルは頷き、部屋へまた駆けていく。