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Artemis Online   作者: 氷結トマト
第一章「箱庭の中」
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第24話「ドキッ不安だらけの野外授業そのに」


「うわああぁぁっ!!」


鬱蒼と生い茂る森の中で突如として悲鳴が響き渡った。ビリビリと空気を震わせるその声により木々に隠れていた鳥や動物達が慌て飛び出し静かな森が騒がしくなる。


「アグォ!!ちぃっ!野郎こっちに来やがれ!」


ブルボアに追われ逃げ惑うアグォを庇うため挑発スキルで注意を引く。


しくじった。ディノは心の中で自分に毒づく。


当初は先生の教えに従い、ガードで動きを無理矢理止めてからアースバインドで動きを鈍らせ一気に叩き込む。これで上手くいくはずだった。


しかし、アースバインドを無理矢理破壊しブルボアは暴れた。予想外の行動により攻撃を仕掛けようとしていた奴等は牙の振り回しにより吹き飛ばされた。


この中で無事だったのは先程追われていたアグォとディノの二名のみ。アグォはアースバインドを放った後に再び詠唱に入っていたため無事であり、ディノはバスターエッジの構えに入っていたため無事であった。


突っ込んでくる獲物に対し右足を後ろに引きーーー弾く。


「【パリィ】!!ふんぬぐおおおおっ!!!」


流石にその勢いを止めることは敵わないが、足を地面へとめり込ませ踏ん張る。そして、かろうじてその向きを反らすように弾く。


「今だああぁっ!!足を射ぬけえええぇ!!!」


視線を横に流せばアグォを取り囲むように展開している光の紋様ーー即ち魔方陣が完全に形成されているのを確認できる。


「地べた這いつくばれ!【クレイニードル】!」


ブルボアの足元にある土の形が槍状に変化し足を貫いた。そのダメージによりブルボアは動きを鈍らせる。


体制を立て直した吹っ飛ばされ組が即座にブルボアを抑えにかかり、後ろ足を切り落とすべくスキルを放つ。同時にディノはバスターエッジの構えをとる。


一人が声を飛ばす。


「今だディノ!!バスターエッジを放てええええぇっ!!」


ディノは闘気を解放し地を駆ける。


「我が体を持って刃と成す!バスター…うぐああぁっ!」


が、そこはディノ。ブルボアの悪あがきで振り回した牙により吹き飛ばされ、太い木の幹に叩きつけられる。


ディノは思う。いや、違うだろ。ここはこう俺がバスターエッジでさ……ねぇ?こう…ね、あるぇーおかしいな。


そんな考えも虚しくブルボアはディノが倒れている間に討伐された。ディノ、哀れなり。


とぼとぼと野営地へ向かうディノ一向。


「ディノ元気出せって…。次はぜってー成功するって!」


「…うん」


ディノの受難は始まったばかりである。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


野営地からおよそ50mの地点。アマトウ、トーカ、ユキカゲは合流していた。


「お、ノルマ達成か?」


「もちのロンでゴザル!拙者の広範囲探知によれば拙者達の班で丁度最後だったようでゴザルな。もう全員野営地点へ向かっている模様でゴザル」


「結構ヒヤッヒヤしましたけどねー。まあそこは流石先輩の生徒ってとこですね、結果的にあのレベルでブルボアを討伐してますし」


「当然、もし出来ないなら更なるトレーニングを考えていたけどな」


その言葉に生徒一同はゾッと背筋を凍らせる。あれより地獄って一体…。


「…ところでさ、何教えてんだユキカゲ?」


見ると先程からユキカゲは特殊な動きを生徒達に何度もやらせている。


「十傑衆走りを教えているでゴザル!」


「何それ」


「上体を殆ど動かさない走行方法でゴザル。投擲等の飛び道具を使う際にも相性の良い走り方、と忍十傑衆に入った当初メンバーから教えてもらったでゴザルよ」


へぇー、よくある忍者走りみたいなやつか。確かに弓とかとも相性良さそうだ。



そんなこんなで野営地に到着、点呼をとり欠員が居ないことを確認し野営の準備を進める。


「先生!薪が足りないでありますー!」


「薪はこっちでなんとかするからお前らは他の手伝いでもしといてくれ!」


さて、こう言うときはーーー


「ノエル先生、お願いします!」


「うむ、任せておけアマト!せぇいっ!」


小枝でも払うかのように手頃な木を切り落とし、割っていく。


「あ、余った木材は孤児院で使うからよろしく」


「ならこれくらいで良いだろう。」


「ありがとうノエル。そんじゃ【ドライブリーゼ】」


んー乾かないな。新鮮な生木だしなー、威力が足りないか。


「よし、詠唱最大チャージだ。えーと…風の精霊シルフよ?我が命に従い渇きの風を、……よし!【ドライブリーゼ】!」


湿っていた生木がみるみるうちに締まっていく。今度は大丈夫そうだ。


「んじゃ飯作るから、お前らは休んでて良いぞー。おーい!トーカ、シロさん手伝ってー!」


獣人系の生徒達と談笑しているトーカ達を呼び寄せる。


「そ、そんなに凄いんですか?」


「それはもう!香水のランクで言えばパルファム……更に上かも、…先輩の寝シャツをはむはむしたときなんか特濃先輩フレーバーで辛抱たまらんっ!てなってね。いやー先輩の匂いは最高級ですねー」


「アマトウさんの香りは私も好きです!なんかフワフワした気持ちになるんですよねー」


「へぇー」


なんちゅう話を。いや、もしかして獣人にとっては普通の会話なのか?ここで根っから否定するのは不味いかもなー、…よし、この際それは置いておこう。まずは料理だ。


「お!先輩、今日はもしかして豚汁なの?」


その通り。いやはや、大変だったよ。大豆と塩と麹、特に麹作りと味噌への完成は長かった。味噌なんて一回しか作ったことないし、麹なんて店で買ってたしで本当に苦労した。しかしそこは日本人、味噌汁飲みたさに作りましたとも。そして今日、ようやく味噌っぽくなったので初使用だ。


「あれ、玉ねぎともやし無いんですか?」


「あれはお前のために入れてようなもんだしな。あれは好き嫌いが分かれるだろうから、普通の豚汁にしてみた」


「えー残念だなー」


ブーブーと文句をたれつつ人参を切っていく。


「ふえぇ…このペースト状の茶色いの変な臭いがします」


あぁ、慣れない人からしたら異臭だよなぁ。慣れても臭いもんは臭いけど。獣人だし、そこら辺は厳しいのかも。


「でもね、これを使った料理は中々美味いんだ」


「えー」


信じてないな、こやつめ。後で驚く顔が目に浮かぶぜ。


大鍋をかき回しつつ、味噌を溶かしてゆく。


んー良い香りだ。味噌と野菜、豚…ブルボア肉からでた旨みが混ざりあい食欲をそそる。


米がほしい。ねこまんまーってな。


「むむっなにやら美味しそうな香りがするでゴザル!」


どうやら我がパーティーの腹ペコ大将軍が豚汁の存在に気がついたようだ。とてとてと走ってくる、十傑衆走りで。


「おお!これがお婆ちゃんが言っていたミソペーストのスープでゴザルか!ええと確かお袋の味とか言っていたでゴザル。ふわーこれがそうなのでゴザルなー」


ミソペーストって言い方初めて聞いたぞ。怪しい外国人が言ってそうだよなミソペースト。


「なあ、ユキカゲって日本人だよな?」


その問いにユキカゲは人差し指を口にそっと当て、


「忍者は秘密主義でゴザル」


と何も答えなかった。


さて、スープは完成だ。メインはサーロインバーガーにする予定で既にシロさんに焼いてもらっている。となると後はパンの断面を鉄板で炙ろうかな。


しかし、手持ちのパンが足りるかな。


「おーい!この中でアイテムポーチにパンがあるやつ挙手!」


お、皆持ってるな。それなら足りるか。


で、そのパンにサーロインステーキをのせ特製ステーキソースとガーリックチップの粉末、粗びき胡椒を少々。サーロインバーガーと豚汁の完成っと。


「そいじゃ、いただきます」


「先生それはなんですか?」


「正を分け与えて(以下略」


で、食べた感想は。


「う、美味いであります!しあわせー!」


「お、俺が実家で出される一流コックの味が霞むようだ!」


いや、それは流石に無いだろう。コックさんに失礼だ。


「す、スープに具材がこんなにありますわ!ど、どうやって頂けばよろしいのかしら」


「そりゃこう、ズズッと吸いながら一緒に食べればいいっすよ」


「き、貴族の私がそのようなはしたない食べ方…!」


「ウマイっ!ウマ過ぎるっす!ありゃ、エリー食べないんすか?ほいじゃ私が貰うっすよー」


「だ、誰があなたに!た、食べますわ!食べればよろしいのでしょう!」


激しく頬を朱に染め上げながら、豚汁を掻き込むその姿は貴族にとても見えない。だがそれも良い。


「美味しい…!本当に美味しいですわ!先生、よろしかったら我が家の専属コックとして働きませんこと?」


「丁重にお断りだ。食いたきゃ今度オープンの食堂【腹ペコカルテット】に来な」


酷いネーミングだと一同は思った。


「豚汁のおかわりはまだまだあるから遠慮はいらねぇ!食え食え!」


「ねこまんましたいなー。先輩お米探しましょうよー。おーこーめー」


「オコメってなんですか?」


シロさんか首をかしげる。


「あー、こう麦みたいな植物で。その粒をお湯で炊くとこの豚汁とかとこれがよく合うんだわ」


「へぇー、ここら辺では見たことないですね。貿易が盛んな港町ならありそうですけど」


港町か、余裕が出来たら行ってみたいな。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

簡易キャラ紹介




ディノ:ヒューマン

職業:剣士

性別:男


貴族で自分の腕とバスターエッジにより自信家になり典型的な才能に溺れた貴族のテンプレ性格だったがアマトウの熱血指導により男らしい好青年に変わった。なぜかバスターエッジが成功しない症候群にかかっている。学園内では指折りの実力者。


アグォ:ヒューマン

職業:魔法使い

性別:男


モブ。顎が鋭い。土魔法を得意とする。


フェイ:ヒューマン

職業:盾使い

性別:女


アマトウを師と仰ぐ盾使い。アマトウとは違い盾に執着した戦闘はしない、盾により確実に相手の隙を作り剣で仕留める。パリィの腕もよく対人戦では無類の強さを誇る。エリー、ティルテとは昔からのパーティー仲間。休日はアマトウの手伝いをしたりしている。


エリシエーナ:ヒューマン

職業:剣士

性別:女


典型的なお嬢様だが友人に恵まれ性格はかなり丸くなっている。剣の腕、魔法共に高い才能を持つプレイヤーには真似のできないガチ魔法剣士としての高い能力を持つ。。闇と光以外の属性を扱えるが得意なのは雷と氷。アマトウの作る料理を気に入っている様子。


ティルテ:ヒューマン

職業:剣士

性別:女


かなり軽い性格。こう見えて貴族令嬢。剣の腕は確かで嗜む程度の魔法も使える。弓の腕も悪くないのでサブウェポンとして携行している。

次回、ブルボアのおやびん


アマトウ「米食いてぇ」


ユキカゲ「拙者ライスボールが食べてみたいでゴザル!」


アマトウ「本当に日本人か怪しくなってきたな…。エセ忍者の演技とか……ないな」


ユキカゲ「?」

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