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Artemis Online   作者: 氷結トマト
第一章「箱庭の中」
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第19話「試験とソース」

短めです


現在俺は食材を見て回っている。


朝方早くに孤児院を出て学校へ向かっていたのだが、その途中人で賑わっている朝市を発見したのでソースの材料を探しているのだ。後今晩の食材もな。


「この紫のは…玉ねぎか?へー、アルオーンって言うのか。こっちの黒っぽいのは……うわこれ人参だ。…ニンニクはそのままか」


覚えている限りの材料を手当たり次第に買い、ポーチへ収納する。


「うわー香辛料高いな。まぁいいや、これももらっとこ。お、これ醤油っぽいぞ。それも買うわ」


「こいつを買うなんてお客さん珍しいね。ヒイヅルで仕入れたんだが誰も買ってくれないから困ってんだよ、いやー助かったよ」


ま、慣れない人からしたらしょっぱいし、辛いし、使い道が分からなかったりとかで敬遠しそうだしな。


さて、買えるものは買ったし学校に行きますか。





で学校に着いたわけだが。


「はー、なかなかどうして立派な学校じゃないか」


少なくとも俺の母校よりは遥かに趣深い立派な建物だ。


校内を進み受け付けらしき人に試験について尋ねる。


「すみません。試験を受けたいのですが…」


一瞬何かを考えるように間を開けてその女性は口を開いた。上に確認を取るので待っていて欲しいとの事だ。魔道具らしきもので会話した後、こちらへ戻ってきた。


「大丈夫だそうですよ。えーと、それでは貴方のギルドカードをお出しください」


「どうぞ」


「はい。えーと、お名前はアマトウさんですねー。現在の職業は重装士…お若いのに凄いですねー。それでー、職業レベルは25で種族レベルが40と……。はい、ではこの紙を持ってそちらの奥へ進んでくださいねー」





「お、来たか」


奥へ進むと試験会場と言うよりは闘技場のような場所に到着した。中央にはなんか強そうな人が待ち構えていた。とりあえず先程渡された紙を手渡す。


「俺はアレス。お前の試験を担当する者だ、よろしくな。 それと、そこの武器から好きなのを選んでくれ。自前のは無しだ」


俺は手頃なロングソードとスモールシールドを選ぶことにした。


「あのー、筆記試験とかは無いんですか?」


試験官の男はニヤリと笑い答える。


「無い。お前に求められるものは、ただ1つーーー実力だ」


お互いに武器を構え、試験開始の笛が鳴り響いた。それと同時に距離を積めるべく駆ける。


「【スラッシュ】!」


速い。しかし、この程度ならば。


「【ガード】!【シールドバッシュ】!」


容易く防げる。土手っ腹にもろにシールドバッシュを受け吹き飛ぶアレス。


「やる、じゃねぇか…。シールド、バッシュで…うぐっ、ここまでとはな」


ゆらりとアレスは立ち上がり、再び剣を構える。


「けどな、こいつで終いだ。【バスターエッジ】ッ!」


魔力が集まり、アレスの体が輝き始める。溜め技か、スローイングシールドで止めても良いがその後が心配だ。ろくなスキルも無いロングソードじゃ無理だろうし。


「はあああああっ!喰らえっ!!」


アレスが凄まじい勢いで此方へ迫る。よし、正面から叩き潰そう。


「【シールドチャージ】ッ!!」


ガァンッ!!


鈍い音と共に剣と盾がぶつかり合う。そして、甲高い音が鳴り響きアレスの剣が折れた。


俺は唖然としているアレスの喉元にロングソードの切っ先を突きつけた。


「俺の勝ちってことで」


アレスは笑いながら立ち上がり俺の手を握った。


「ははは!良い戦いだった、おめでとうこれでお前は晴れて我が校のーーーーー臨時教師だ」


「へ?」


やばい、また何かやらかしたっぽいぞ。






アレスに事情を説明した。


「お前、生徒希望だったのか」


ガハハと笑うアレス。話を聞くと俺の年で入学試験を受ける人は殆ど居ないらしく、募集していた臨時教師の方だと勘違いしたんだとさ。おまけに俺のレベルも相まって今更入学するとは思わなかったんだと。仕方無いね、確認しなかった俺が悪いし。


「まぁ、教師でも図書室で書物を調べられるし、なんなら他の教師に教えてもらえば良い。どうだ、教師やってみないか?」


んー、それなら……良いかな?


「因みに俺の仕事は?」


「午後からの実技の監督だな」


ふむ…一日中拘束されるわけでもないし、とりあえず引き受けるか。


承諾の旨を伝え、闘技場を後にする。仕事は明日からだ、今日は帰ってソース作りに専念しよう。今日の献立を頭に浮かべつつスキップで帰路に着いた。





キッチンで黙々と鍋をかき回し続ける男。なんか職人っぽくてかっこよくね?


ひょこっと隣から顔を出し、何を作っているんですかと尋ねる少女ーーー名をリリと言うらしい。


「ソース作りですよ」


「へー、アマトウさんはなんでも作れるんですね~」


いやー照れるな。もっと誉めても良いんですよ?





あ、やばい疲れてきた。汗だくになりながら延々とかき混ぜてたせいかフラフラしてきた。戦闘中はこんなこと無いんだけどなー。


「ご、ごめんリリさん、少し変わってもらえませんか?一分程休ませて下さい」


リリさんに少し変わってもらい、水を飲み息を整える。うし、シャキッとしたしそろそろ作業再開だ。


その後もひたすら煮詰め続け、なんとかソースを完成させた。


「ふいーっ!完成っ完成っと!」


メニューを開き時計を確認するとまだまだ飯時まで時間がある。もう一品仕込むか。


と言うことでケチャップ完成!!


ふふふ、チビ共待ってろよ!今宵はハンバーグじゃい!!




途中、トーカ達が帰ってきたのでハンバーグ作りを手伝って貰うことにした。ユキカゲはミンチ作り、トーカには玉ねぎの微塵切り、シロさんはこねる係、俺はハンバーグを焼きつつ簡単なソースを作る。ケチャップとソースと酒とかで作る簡単なやつだ。………ノエル?勿論味見係だ。何故か俺の直感がノエルを料理をさせてはならないと警鐘を鳴らしたからな。



皿に盛り付け、テーブルへ並べて行く。ハンバーグを見るチビ共の目が輝いてるぜ。良い笑顔だなー、料理人冥利に尽きるってもんだ。冒険者だけど。


「お兄さんお兄さん!こ、これなに?」


「こいつはな、ハンバーグってんだ!ほらほら冷めねえ内に食え食え!」




その日も孤児院からは賑やかな声が溢れていた。美味い飯ってのは偉大なもんでみーんな笑顔にしちまう。……うん、良いなこう言うの。誰かを幸せしている、役に立っているってのが実感できる。


(……向こうに帰りたくねぇって気持ちが日増しに強くならぁ)


現実に比べれば比較ならんほどの充実した毎日。これはいかんな、クリアする意欲を削ぐAIの策略か?




…まいったねこりゃ。







次回、甘党アマトウ先生頑張る



ユキカゲ「次はプリンを所望するでゴザル」


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