第17話「パルン~大樹のある町8~」挿絵有
ドット絵ですがアマトウとシロさん描いてみました。
どこのパワードスーツかと思いましたが、まあ鬼っぽいし大丈夫ですかね。パワードスーツも全身鎧の内ってことで一つ。
視界を土煙で覆い尽くされた、ロックドラゴンが尾を振るったのだ。辺りを一面が衝撃により吹き飛ばされる。幸い直撃した者は居ないようだ。
ロックドラゴンは暴れ狂った、おそらく自らの命が残り少ない事を理解しているのだろう。せめて、その命の灯火が消え失せるまでに一人でも多くの敵を屠らんと 。
「ちぃっ!距離を取れ!!巻き込まれるぞ!!」
なんて奴だ…死ぬ間際になって恐ろしく強くなりやがった!鼬の最後っ屁てやつか…。
「トーカ殿!あれを使うでゴザルよ!」
ユキカゲ、トーカ、シロさんが何かを仕掛ける様だ。
「ええ、良いですよ!ほらそこの泥棒犬もです!!」
「ふぇ?は、はい!
ザッ
「受けよ!【串刺し】!!」
ユキカゲがロックドラゴンの目へ小刀を突き刺す。ああ、あの連携技か!
「サンダースマッシュ用意!!」
「はい!」
シロさんとトーカが詠唱しつつ距離を詰める。雷の唸りが腕を包み迸り、そして弾けた。
「あの小刀を狙いますよ!」
その小刀へと掌を向ける、サンダースマッシュのダメージを無駄なく与える現状最もロックドラゴンに対し有効だと思われる方法。ただではすまないはずだ。
「「【サンダースマッシュ】ッ!!」」
バァンッ!!
小刀を雷撃が伝わりその眼を焼き尽くした。ブスブスと黒く焼きただれたその様子はかなり痛々しい。
「もう一撃っ!追撃のぉ【ファイア スマッシュ】ッ!」
シロさんが魔法でさらに追撃をする。
「ひゅー!面白い使い方をしますねー、なるほどスマッシュ系はそんな使い方もできるのですか!」
トーカがシロさんの魔法に感心しているようだ、てかひゅーって自分で言うなよ。
辺りを見れば皆疲労困憊の様子。それもそうだろうな、なにせ一撃喰らえば即死か瀕死だ。精神的にも肉体的にも余裕がないから動きにも無駄がでる、それがスタミナ切れの原因となってるんだろうよ。
かく言う俺も余裕がない。鎧の破損箇所に攻撃を受ければまた腕が飛びかねないからな、まじで怖いわ。 ガードをする度に腕が軋むし。
ロックドラゴンのHPが残りわずかとなった。
その時奴の首がシロさんへと向けられ、その巨大な顎で食いちぎらんと開く。
「マズイッ!!クソやろう!間に合いやがれぇぇっっ!!」
俺は間に割り込みそれを防ぐために走る。だが俺のAGI では間に合わないだろう。どうすればーー
「アマト!私が奴の頭をハルバードで狙い弾き飛ばす!!その隙に奴を仕留めろっ!!でなければ間に合わんぞ!」
ノエルの言う通りだ。ここからでは間に合わない、ならば奴が喰らいつくまえに倒すしか方法はないだろう。
ノエルがハルバードを投げ、奴の動きを僅かではあるが封じた。
「行くぞ!【ロストパイル】!!」
俺はロックドラゴンではなく背の方へ向けロストパイルを放った。パイルランサーがロストパイル発射形態へと展開する、内側に新たに取り付けられた黄金に輝くパーツは放熱板のようなものだ、これによりロストパイル使用時の損傷度を抑えることに成功したのだ。と言っても2回使っても壊れない程度だが。
赤き燐光が辺りを舞い、そして爆炎が大地を焼いた。
俺はその勢いを利用してステップをする、これなら凄まじい加速ができるだろう。
ロックドラゴンは目前だ、だが加速の勢いに衰えが見えた。ここでもう一度加速する。
「【ロストパイル】!!かーらーのぉっっ!!【シールドチャージ】ィッ!!!」
ズドンッ
奴の頭は外皮ごと砕け散った。
そして、その巨体は光りとなり散っていった。
「凄まじい強さだった…。ゴブリンキングの比ではないな」
「ロックドラゴンよ、お主もまた強敵でゴザった…」
「アマトウさん!私達勝ったんですね!」
皆思い思いに言葉を掛け合う。
「…無茶させちまったな」
今回の戦いが祟って赫炎ノ楯は完全に壊れてしまった。いわゆる大破だ。鎧も壊れてるし、踏んだり蹴ったりだ。
とてとてとシロさんが此方へ歩いてくる。
「アマトウさん!」
「?」
俺の手を取りにこにこと微笑む。
「一緒に帰りましょう!」
あぁ…この笑顔が守れたんだ、それだけでおつりがくるぜ。
「ちょ~~~~っと待ってください!!」
「どうしたトーカ?」
「ずっと我慢してましたがもう我慢の限界です!なんですかこの娘は!なんか私とキャラ被ってますし!」
どこが被ってんだ、全然違うだろう。匂いフェチじゃないし。
「いいえ!この娘だって純情そうにみえて心の内では…ぐへへ、今日もアマトウさんのにほひご馳走さまでした、とか思ってますよ!」
にほひってなんだよ、にほひって。
「ふーん、お前みたいに?」
「私みたいに!」
そこは否定しろよ。
「いいですか先輩?獣人は感覚が鋭敏です、つまり乙女の柔肌より鋭敏なセンサーなのです!そんな獣人がフェチでないなんておかしい!そんなのおかしいですよカ〇ジナさん!」
「まて、その理屈はおかしい」
つか誰だよ、カ〇ジナさんって。しかし相変わらずテンション高いなおい。
「アマトウ殿ー!アイテム分配について話し合いがあるでゴザルからして、急ぐでゴザルよ!」
ちょ!次から次へと、俺の耳も体と一つしかねえんだからな!
色々有ったがその日討伐隊は無事帰還した。それも死人ゼロで、だ。町は歓喜で溢れ一種のお祭り騒ぎとなった。
その日もシロさんの家で寝た。無論、俺専用ベッドでだ…自腹で購入したやつだぞ?流石に毎日同じベッドで寝るのはよろしくないのでそうした。
婚前前の娘がどこの馬の骨ともわからん男と一緒に寝るなんてはしたない!お父さん許しませんよ!と言ったら、
「じゃ、じゃあ…お父さん。あの…一緒に寝てもいい?」
ズッキューンときたね!俺だって男だ、悲しませないためにもその日は一緒に寝ましたとも。次の日からは駄目だぞっと念を押したがな。
まあそのマイベッドで寝てたわけだが、シロさんが俺に話しかけてきた。
「アマトウさんはツリフ…いえパルンから出ていくつもりですか?」
んーシロさんと別れるのは心苦しいけど、パルンでのビッグイベントはこなしたっぽいし、なにより他のプレイヤーが来てるから俺はいらんだろう。聞いた話によればパルンのダンジョンは一つしかないようだしな。
「んー…そのつもり、かな。他にも守護者に困ってる国が有るかもしれないしね」
「そ、そうです…か」
シロさんに悪いと思いつつもその日はもう寝た。あんまり考えすぎると暗い気持ちになるしな。
二日後俺は馬車に乗り町を出た。
さて次はどんな国かなと、考えていると隣の馬車から声がかかった。
振り向くとシロさんとトーカ、ユキカゲが居た。
「私、アマトウさんに着いていくことにしました!」
なんと無茶な、いやでも俺が居た方が危険から守れる…か?
シロさんは無邪気な笑みを向け、
「これからもよろしくお願いします!アマトウさん!」
まあいいか、この笑顔が守れるなら。
次回、槍使いの閑話




