第11話「パルン~大樹のある町2~」
またもや短めです。
扉を開け、ギルド内へ脚を進める。何故か他の冒険者から痛い視線を感じるが、気にせずクエストボードへ向かう。
「ここにもゴブリンがいるのか…」
クエストの中にはゴブリン討伐があった。もしゴブリンがこの辺でも強い魔物ならば、イベント的には片付けた方が良いだろう。
「シロさん聞きたいことが1つ、ゴブリンはパルンでも厄介なモンスターですか?」
「はい、少なくともDランク冒険者なら、数と魔法で押しきらないと無理な程度には厄介な魔物…です。特に近接職との相性は最悪ですね」
ここでもゴブリンのパリィは健在らしい。一瞬で連撃を放てるスキルで押しきれないか聞いてみたが、初撃を弾かれるため連撃はできないとのこと。勉強になるなー。
「やけにゴブリン討伐の依頼が多いですね」
「そこにあるクエストは全て巣単位での討伐なのでやりたがる人が居ないんです」
成る程ね、確かに復活無しでゴブリンの巣を殲滅しろって言われたらなー。…俺だって怖じ気づくわ。
「誰も討伐しないのでゴブリンの数が増えて被害がでて、数が増えて誰も討伐しないの悪循環です…」
「…国は、国は討伐隊を出さないのですか?」
シロさんは首をブンブンと振り、否定する。
「…国内どこもこんな感じなんです。回せる人員が足りていません、…討伐隊に対して魔物の数が多すぎるんです」
討伐隊の処理できる容量をモンスターが上回ってる訳か。成る程、こりゃ援軍でも寄越さないと始末に終えないな。
「この間なんてホブゴブリンさん達の村が襲われたんですよ!許せません!」
そうか…ホブゴブリンの村がーーっえ?
「ホブゴブリンってゴブリンの上位種ですよね、ど うして敵対を?」
「ア、アマトウさん!全然違いますよ!ホブゴブリンさんとゴブリンは、名前こそ同じゴブリンですが全然違う種族です!」
「え?本当ですか?」
どうやら大昔に外見的特徴に共通点が多く、住んでいる場所も似ていた為にゴブリンの上位種と勘違いされた種族らしい。しかし、元々種族名が無かったので彼ら自身が【ホブゴブリン】とその場で決めたんだとか。
ゴブリン要らなくね?とか思っては行けない。ネェル・アー〇マのネェルとかディス・アストラ〇ガンのディス的な意味合いがホブには込められてるんだよ!…ホブの語源的には関係ないけど。
「皆凄く好い人達ばかりなんです!」
ぐおぉ、笑顔が眩しすぎるぜ。しかし、このままだとホブゴブトークタイムに突入しそうだ。ここは、ささッと話題を変えて依頼を受けよう。
「じゃあ、ホブゴブさん達の為にこの依頼は全て片付けましょうか。善は急げ、受注してきますね」
完ッ璧だ。それにしても丁寧じみた口調も疲れてきたな…。いつボロがでるか分からんぞ。
「この依頼をお願いします」
「は、はい、参加人数はお一人でよろしいですか?」
「はい、一人でーー」
「私も行きます。元々ゴブリン討伐は請けるつもりでしたから」
シロさんが一緒に行くと言い出した。
駄目と言おうとしたが、彼女の目には強い意志を感じる。これって止めても着いてくるパターンじゃないか?
「……じゃあ二人でお願いします」
まぁ良いだろう。シロさんに近づくゴブリンどもは俺が血祭りに上げてやろう。
俺はシロさんと一緒にギルドを出る。
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「【シールドチャージ】ッ!!」
俺はわらわらと沸いてでるゴブリンの巣目掛け、暴れ猪の如く突っ込む。
イメージするのはあのレッドゴブリン。奴の突進は正に並みいる敵を薙ぎ倒す、俺の理想的な盾スタイルのそれだった。
「違うな…STRかAGIが足りないのか? 」
圧倒的なあの突進力が再現できない。幸いまだまだゴブリンはいる、焦らず少しずつ近づけて行こうか。
あの突進の再現をしようと励んでいたら、いつの間にかゴブリンの巣は壊滅していた。
現場は凄惨だった、狭い洞穴の中にはおびただしい数の死骸が転がっている。
…グロいのは平気だけど、この臭いは嫌だなぁ。
とりあえず入り口付近で待機してもらっているシロさんに
「シロさーん!終わりましたよー!」
入り口の方から勢い良く走る音が聞こえる。
「…凄い。全滅してます」
「イシュテスのと比べれば楽勝d…です」
敬語怠くなってきた。でもここで口調変えたら何か恥ずかしい。
イシュテス近辺のゴブリンと比べれば明らかに打たれ弱い。今の俺なら楽勝だ。この調子なら巣の駆逐は早く終わりそう、バンバン受けて一気に片付けるか。
「それじゃ素材をー「アマトウさん!後ろです!」ーーえ?」
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<シロ視点>
アマトウさんは凄く強い人でした!それはもう押し寄せるゴブリンをドッカーン!でベターン!って感じで吹き飛ばしたんです。
私、近接職の人がゴブリンを蹴散らすなんて初めて見ました。
その時、アマトウさんの後ろでゴブリンが立ち上がりました。アマトウさんは気づいていません。
「アマトウさん!後ろです!」
ガンッ
アマトウさんがゴブリンに殴られて吹き飛ばされました。
私はゴブリン目掛けて走ります。バックラーを握る手に力を込めて投げる。
「【スローイングシールド】!えいっ!」
ゴツッ
バックラーがゴブリンの側頭部へ直撃しました。体勢が崩れた隙に私は距離を詰めます。
ショートソードを構え、左手はグリップ、右手は柄に押しあてます。切っ先はゴブリンのみぞおちを真っ直ぐ見据えーー叩き込みます!
ズグ
ゴブリンに剣が突き刺さります。私はそのままショートソードを振り下ろし、
「【腸裂き】ぃ!」
お腹を引き裂きます。
ゴブリンはボトボトと中身を溢し、絶命しました。その手足は未だに微かながら動いています。
「アマトウさん!」
私はアマトウさんが心配で声をかけます。アマトウさんは確かな声ではっきりと返してくれました。
「シロさん、俺は死んでもポータルから生き返りますが、シロさんは生き返りません。…だからこう言う事故があった時は、迷いなく逃げてください」
アマトウさんから怒られました…。でもとても心配そうな顔をしているので、かなり責任を感じているのかも知れません。
やっぱりアマトウさんは、凄く優しい人です。
その後はアマトウさんに剥ぎ取りかたをレクチャーしたりした後に、ゆっくりお喋りをしながら町へ帰りました。
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<ギルド受付嬢視点>
今日は色んな事がありました。
まず、シロちゃんが男性を連れてきたことです。可愛らしい容姿のシロちゃんは男性陣に人気があります。
そんなシロちゃんが男連れ…。ギルド内が殺気立ちます。
ほら見て下さい、あのシロちゃんの眼差しっ !まるで絵物語に出てくる英雄をみるような眼です。
……クエストボードの前で楽しそうに談笑しています。妬ましい…
あ、あ、此方にやって来ます。ってうわー、近くで見ると凄い迫力です。先ほどは全然気にしてませんでしたが着ている鎧と盾、物凄く迫力があります。圧巻です。
えーとそれで受けるクエストは…ゴブリンの殲滅!?なんて無謀な。しかも単独で、あ、シロちゃんが増えた。
おのれーシロちゃんに何かあったら許しませんよ。えーとえーとそれで、ギルドランクはーーうわ、もう少しでCですよ。しかもレッドゴブリンを討伐していますよ、…化物ですか。
そんな感じでクエストに出掛けました。
でも直ぐに帰ってきました。ゴブリンを殲滅して、です。
シロちゃんには感謝しましょう。腕利きの冒険者を連れてきたことに。
次回、筋トレに励む
因みにシロさんにやられたのがゴブリンリーダーです。名前にリーダーがついただけで通常ゴブリンとの強さに大差はありません。




