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引っ越し

既に書いてる物語の焼き直しです。

完結予定はありません。

 大神翔は住みなれた大上市を引っ越して、車で数時間ほどの距離にある川並市に住むことになった。親友である小林優との別れを終え、父親の運転する車に揺られながら、見慣れた町並みを窓越しに眺める。膝の上に卒業アルバムを乗せて、引越しの荷物に体を預ける。翔の父親の大神学はハンドルを切り大上市を抜ける。



 ――大神翔はごくごく普通の家庭で生まれ育った。父親は警察官、母親は専業主婦で、歳の離れた兄と姉がいた。父親と兄は狼男で、母親と姉は超能力者だったが、それを除いては何一つ他の家庭と変わらなかった。翔自身も狼男として生まれたが、友人にオオカミの姿を見られたことはなく、ごく普通の子供として過ごしていた。唯一、幼少期からの友人である小林優にだけは、雪山での遭難をきっかけに、オオカミの姿を見せるようになる。

 狼男は、姿は一般的に想像されるオオカミの頭と尾を持つ、オオカミの毛皮の生えた人間だが、その性質は大きく異なる。満月の夜に強制的な変身はせず、時を選ばず意思によって狼男になれる。それから、動物全般に言えることだが、本能で見境なく人を襲うようなことはしない。

 だが学は翔に、他人に狼男であることは言わないように言って聞かせた。日本ではオオカミ=悪というイメージが顕著で、言えばいい結果にはならないだろうと考えたからだ。だから学は、翔の友人の優が、翔の正体を知っても変わらずに接してくれたことに、胸を撫で下ろしたものだ。



 車が停車した頃には、日が地平線のあたりまで落ち、夕日が町をオレンジ色に染めていた。

 学の「着いたぞ」という言葉に翔は車を降りて、学の後について高層マンションの中に入る。エレベーターに乗って六階で降りると、学は608と書かれた扉の前に立ち、鍵穴に鍵を差し込む。

 608号室が翔の新しく住む部屋になった――



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