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第1話-1 出会い

 

 神様を信じるか。

 そういう質問をされると、宗教にあまり興味のない大多数の日本人は、信じない、と答えるのではないだろうか。

 俺、佐藤陽平もつい5分前まで神様なんていう存在は信じていなかった。

 もう高校生になり、サンタクロースなんて信じる年齢ではなくなったし、それに初詣のときに、こんな俺にも彼女ができますように、なんて毎年欠かさずお願いしてるけど、俺に彼女ができたことは一度もない。いわゆる彼女いない暦=年齢というやつだ。

 今はそんなことはどうでもいい。問題は、目の前に不思議な物体が転がっているということだ。

 よく見ると、頭があって、胴体があって、手と足は2本ずつで、かわいらしい服を着ていて、人に…それも女に…見えなくも無い。

 話している内容以外は。


「私は神なのだ」


 なんなんだこの女みたいな物体は。綺麗な長い黒髪に、なぜか神社の巫女さんが着てるような巫女服。年齢は…二十歳前後か?俺より少し年上の、お姉さんといった感じだ。身長は170㎝の俺より少し低いぐらい。足も長いし、スタイルもいい。誰かにモデルだと紹介されても信じてしまうようなプロポーションだ。胸は…触れないことにしよう。

 それになんか地べたに寝転がって、ポテトチップスコンソメ味を頬張ほおばっている。

 

「私は神なのだ」


「二回言わなくても聞こえてるから、それとここ俺の部屋だから、そしてそれおれのポテチだから」


 そう、ここは絶対に誰も進入できない、天下のセコム様に守られた神聖な領域…言い換えれば、俺の部屋だ。そんな部屋に入ってくるのはただの人間ではないだろう。いや、本人は神だと主張しているが。


「今日疲れてるんで、もう寝たいんですけど」


 おかしい。しょうもないお笑いのバラエティ番組を居間で見て、眠くなってので自室に引き揚げてきたのだ。

 やはりおかしい。みなさんも想像してほしい。部屋に入り、電気をつけた瞬間、地べたに見知らぬ美女らしき物体が鎮座しているのを。

 部屋の時計は23時を少し過ぎたあたりを指している。高校生が寝る時間帯としては…まあ、早い気もするが、今日は疲れてるんだ。仕方ないだろう。


「私は神なのだ。そして…」


「もういいです。警察呼びますから」


 俺は疲れきった声でそういうと、おもむろにポケットからいま流行はやりのスマートフォンを取り出した。こんな美人なお姉さんが部屋にいたら、男子高校生の俺としては喜ばないはずはない。しかし、実際目の前にいるのは確かに美人だが、神様だ、などと訳の分からないことをいう不審者なのだ。もう通報するしか道はないだろう。


「いち、いち、きゅうううううって痛っ、何すんだよ!?」


 神が佐藤陽平のケータイを持った右手ににダイレクトアタック!

 容赦ない頭突き痛い…折れるかと思ったわ。これは119じゃなくて110だろボケ!、というツッコミですかそうですか!


「高貴で美しい神であるこの私をを警察に通報するとは、この無礼者!呪うよ!?」


 えー、神様って人を呪うの?なんて考えが頭をよぎるが、もちろん口にはださない。ややこしくなるし。面倒臭いし。


「で、その高貴で美しい神様のあなたが、この変態でオタクな高校生の佐藤陽平の部屋に、それもこんな夜遅くにいるのはなぜですかね?」


「よくぞ訊いてくれました!」


 突然、地面に寝転がっていた自称神様が起き上がり、あぐらをかいてふんぞり返る。


「よくわからないんです、てへっ☆」


「てへっ☆、じゃねぇええええ!!!」


 ハリセンが近くにあれば、それでぶん殴りたい気分だ。そんな理由で俺の安息の地に居座られても困る。

 そろそろ追い出すか。


「出て行け」


 俺は短く目の前の神に告げる。

 こういうときは相手になめられちゃいけないって誰かが言ってたな。

 だが、神様は微動だにせず、まったく動く気配が無い。

 これはもうブチ切れるしかないようだな。


「もう一度言うぞ。よく聞けよ」


「嫌です」


「出て…、え?なんだって?」


「出て行きたくない。私は行く場所がないんです…」


 彼女は小さい声で呟いた。俺はその突然の告白に、目の前の彼女に、一体どんなことを言ってあげればいいのか全く分からなかった。


みなさんはじめまして。蒼碧と申します。

これから少しずつ頑張っていこうと思っています。

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