28.私のバぁぁぁカぁぁぁーーー!!!
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そんなこんなで2年、王子様に絡まれながらの学園生活を楽しく忙しく過ごす。
あっという間に最上級生、生徒会の副会長のお務めにも慣れてきた。
えぇ。えぇえぇぇって気分だ。
「なんということ?! 私ったら、学生をめっちゃくちゃエンジョイしちゃったじゃないのぉおぉぉぉ! なにやってるのよ、私ぃぃぃ」
どういうことなの。まるで時間泥棒に遭った気分だ。
王子様に誘われるままに王宮のお茶会に参加したのを手始めに、生徒会に入って、仲良くなれたご令嬢たちと観劇に出かけたり、カフェでお茶したり、おそろいのアクセサリーを買い求めたり。
前の時は、眩しすぎて直視することすらできなかった夢のような学園生活を満喫しまくってしまった。
「時間を無駄遣いしてしまった」
頭を抱えた。でも失った時間は取り戻せない。いや、私、一回取り戻してるけどね。
しかしそうそう何回も気安く死に戻れたりしないだろう。奇跡ってそういうものだと思う。
なにより死ぬときめちゃくちゃ苦しかった。あれはもう嫌だな。うん。
まぁハリケーンの危機を無事切り抜けられて、気が抜けてたのよね。
その後のヴァロー侯爵領は大きな災害に襲われた記憶も無かったのも大きい。実際に何もなかった。ほんの少し、取り巻きになった令嬢たちから相談を受けたりした程度で平穏そのものだった。
前の私はうだうだと精神的引きこもり生活を送っていたから、情報に疎かったのもあるんだけど。この期間は、この国の情報を情けないほど持っていない。
実際に、私の目に映る国の情勢は平穏そのもの。
あのハリケーンの影響自体は今回もあったけれど、我が家で使わずに済んだ備蓄で支援を行ったので被害は最小限で収まったはず。
つまり平和だったの。やり直し学園生活を満喫してしまうほど。
それにあれね、お茶会って怖いところだと思ってたけど、楽しいのね。
話題に上ったカフェや観劇に一緒にいくことになって、一緒におしゃれして、褒め合って、もっとこうしたら似合うとか。前の時はくだらないって思ってたことなのに、やってみたら楽しい。
友人たちと遊びに行くの楽しい。笑顔で会話を交わせて、すっごくすっごく嬉しかった。ほほほうふふあはは。
生徒会の仕事は、実際に領地で行っている経営とはまるで違う。どちらかといえば人間関係が重視される感じだったけれど、でも社交界の縮図といわれるだけあって、勉強になるところがたくさんあった。
「男に金を落とさせる方法とは違うのよねぇ」
頬に手を当てて、ほうっと息をはいた。
……まぁね。私、売れっ子という訳じゃなかったから、そっちだって凄い訳じゃないんだけど。
出したい結果をリストアップして、それを叶えるために必要な段取りを抽出していく。そのために必要な能力を持つ人材を配していく。
そんな風に完璧な計画を立てたつもりでも、人って相性あるからさぁ。この人とこの人は張り合っちゃって空気も企画もぶち壊しちゃうから離さないと駄目だとか、逆に仲良しすぎて遊んでしまって仕事にならなくなるとか。無駄に面倒くさい。
でもその忙しさは、学園生活に充実感を齎してもくれるものであって、決して嫌ではなかった。むしろどんどん仕事も抱えちゃったくらい。
ちょっとくらいいいかなと思っただけだったのに。
今の私は、学園でできた友人たちと過ごすか、生徒会副会長として生徒会長のラインバルト殿下の指示の下、忙しく過ごすかのどちらかだ。
「ラインバルト殿下……」
名前を思い出すだけで、頭が痛くなる。
眼鏡を外した下に、あんなに意地悪な顔を隠していたなんて知らなかった。
「バルとは別人……ってほどでもないけど。私をからかいすぎなのよ」
二度目の学生生活を送る私よりずっと成績も優秀なのもムカつくのよ。
そうは言っても一回目の私って、ほとんど教室にいて授業は聞いているだけだったけど。発言だってしたことなかったし、分からないところがあっても教師へ質問に行くなんてことはできなかったし、教え合えるような友人もいなかった。
成績優秀で、何もしなくても人が周囲に集まってくる人望もある、特別な星の下に生まれた特別な人。
「ずるいのよ。なによあの顔。涼やかで綺麗な琥珀色の瞳なんかしちゃって。鼻筋だって通ってて。頬っぺたとかつるっつるじゃない。私よりきれいなんじゃないの?!」
ぐりぐりとノートに悪口を書き連ねていく。
悪口のつもりだったのに、一つも悪口が書いてなくてムカついた。自分に。
「ああん、もうっ。こっちはせっかく忘れようと思ってるのに」




