あたしは混じりたい
シチュー好き。
どぶねずみ色と飼いねずみ色のまだらになるまで
あたしは混じりたい
トマトの酸味をバナナの甘みがひきたてる
とびっきりのケチャップになるまで
あたしは混じりたい
シュー生地のなかで二世帯住宅をやめた
生クリームとカスタードクリームの六畳一間のように
あたしは混じりたい
しっかりと色の染まった牛乳の底で
まだとけのこったココアの粉が
厚く泥をはったりしないように
あたしは混じりたい
光と闇 炎と氷 風と壁 翼と鎖
あたしに在る 相反するものを
内包して外装して
拒みあいつつも愛しあえるようになるまででいいんだ
鍵をあけたシチュー鍋の重い蓋を持ちあげたら
鉤のついたかき混ぜ棒でぐるぐるしてやるから
あたしば混じりたい
だれかと なにかとじゃなく
あたしは あたしと混じりたい
どちらかといえば、クリームシチュー派。