3/56
恋の矢印
私はとにかくタナカに夢中だった。
今思えば、なんでそんなに好きだったかわからない。
本当に純粋に顔だったような気がする。
恋に恋してるような女の子だった。
ただ、恋をしていると相手に好きな人がいるかどうかが良くわかるもので。
タナカに好きな人がいるのもすぐに分かった。
今はクラスが違うけれど、
同じ小学校の子をずっと思い続けているらしい。
彼女には勝てない。
何もかも勝てないと思った。
でも、奇跡が起こるかも。
そんな風に思ってた。
横で見てたヤマト君は
タナカに同じ思いを抱いていたらしい。
私を好きになってくれたヤマト君。
タナカを好きになってしまった私。
私が敵わない女の子が好きなタナカ。
恋の矢印は一方通行だった。