深紅の瞳
久しぶりにスコーティア視点!ただいまです!
私事ですが〈悪役令嬢への分岐点は幼少期にあり〉書き終えました!
次は〈黄道12星座編〉でいきます!ここからキャラクターが(カップル)が一気に増えるはず!!
実は新章までに本編から少し離れた番外編?みたいなものが1つしかありません…少ないかな~と個人的に思ったんで、26話目あたりで〈悪役令嬢への分岐点は幼少期にあり〉が終わるのでこの話が読みたい!とかあれば教えてくださるとうれしいです!
では本編をお楽しみください!!
お義兄様への誕生日プレゼントは大成功だった。
まさかスコーンがお義兄様のお母様の得意料理だったとは流石にわからなかったわ。
あまりに涙を流していたから眼鏡をはずして拭いてあげようとしたその時
「ダメだ!!」
と急に手を振りはらわれた。
ビクッ!と思わず身を震わせてしまった。私は何か酷いことをしてしまったのか。急に言い表せない不安が募る。
私の顔色の悪さを感じてか、「ごめん!スティア、怒ったわけじゃないんだ。」と、お義兄様はすぐに謝ってくださったけど私は何故かショックで、
いつもなら「全然大丈夫です!こちらこそ急にごめんなさい」と続けられたのに…無言で外に飛び出してしまった。
外を歩きながらどうせヴィーが付いてきてるだろうと思ったが、何故か話しかけてくれない。私はやっぱりお義兄様の家族にはなれないのかしら。
今まで一人っ子だったのに数日お義兄様と過ごしただけでもうそれが当たり前になって…
突き放されたことが耐えられなかった。
どうしたらいいのかしら。
そうして頭を悩ませているうちに庭のベンチまで来てしまい一人座っていると
「スティア!」
と声が聞こえた。
必死で私を探し、追いかけてきてくれたのか少し息があがっているお義兄様。
迷惑をかけたのに必死になってくれたことにうれしくなったのと罪悪感のせいで返事ができないでいると、スッとお義兄様が隣に座った。
ーー「うっかりバレるよりちゃんと自分から話すべきだと思ったんだ。」
お義兄様は急に話しだした。
私はなんのことかわからず黙って聞いていると
「僕の眼鏡はね、魔道具なんだよ。瞳の色を変化させるんだ。」
えっ、思わず驚いて顔を上げると「父がアレキサンドライト公爵家の血筋の人だから母が何色でも緑の瞳になるはずなのに僕の瞳は赤なんだよ、しかも母は黄色の瞳だ」
それは確かに珍しい。そのまま過去のことについて話してくれたが
「でも、それは低い確率とはいえ起こる可能性があるでしょうし、何よりお義兄様のお話を聞く限りご両親はしっかり自分達の子だと宣言し、愛してくださったのでしょう?」
お義兄様にとってなにより大切なのはご両親のはずだ。熱がこもって思わず責めるように言ってしまった。
「本当に変わらない」
「えっ?」
また泣きそうな顔でお義兄様何かおっしゃったけど聞き取れなかった。
「そうだね、だから自分自身はこの色を嫌ってないよ、昔は嫌いだったのだけど大好きだと言ってくれた人がいたからね。この眼鏡を掛けているのは好き好んで周りから面倒な扱いを受けたくないから、いとこたちのような人間や悪気なく質問してくる人も一定数は存在するから…
…そして何より両親の遺品であり最後の誕生日プレゼントなんだ。」
私は納得しつつ、自分がそんな大切なものに触れようとした事をひどく後悔した。お義兄様に拒絶されるのだって当然のことだ。視界が霞み、「ごめんなさい、本当にごめんなさい」としか言葉が続かない。
そんな私の頭をお義兄様はそっと撫でながら
「謝って欲しくて話したんじゃないよ。スティアが優しい子だから。大切な家族だから自分の口から言いたかっただけなんだ。誤解させてごめんね、義兄様の本当の色をスティアがはずして見てくれる?」
お義兄様からお願いするようにおっしゃった。私なんかより優しいのはお義兄様のほうだ。せっかくのお誕生日に勝手に拗ねて勝手に飛び出した私を追いかけて過去を、瞳のことを話してくれた。
家族だと、大切な家族だと言ってくれた。
それが何よりも私を幸せにしてくれる言葉だとお義兄様は気づいていないのでしょうね…
涙をぬぐって息を整えつつ深呼吸をした。そして…
ーーそっと眼鏡に手をかけてはずすと、深紅の瞳が私を優しく見つめていた。
恋愛小説っぽくなってきたでしょうか?