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侍女いわく私は悪役令嬢らしい  作者: 日華
第1章 悪役令嬢への分岐点は幼少期にあり
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アクアスの誕生日

またまた、アクアス視点。

ちょっぴり伏線回収

公爵家の養子となってから数日が過ぎ2月22日になった。

今日は僕の12歳の誕生日。

まだ家族となって日が浅いのに屋敷のみんな総出でお祝いしてくれた。


お義父様からは僕の髪と同じネイビーブルーの万年筆をいただいた。持ち手のところに金色の文字で「アクアス・アレキサンドライト」刻印されていた。

家族として愛されていることを改めて感じ、温かい気持ちのなった。


お義母様からは緑と赤の魔法石が埋め込まれたコサージュだった。

この義両親は瞳も、なにもかも受け入れてくれているのだと思うと嬉しくて仕方なかった。


使用人たちからはダークグレーのイブニング・コートをプレゼントしてもらった。


いただいた万年筆で「ありがとう」と綴ったメッセージカードをみんなに配った後、夕食の時間に合わせて着替え、コサージュを胸につけた。


少しは大人びて見えるだろうかと考えつつ僕の姿を見たスティアがどう思ってくれるかが気になった。


ただ、何故か夕方からスティアの姿が見えない。

朝一番に「お誕生日おめでとうございます!」と言ってネイビーブルーの中に銀色の星々がちりばめられたしおりをプレゼントしてくれたのだが、すぐにどこかに行ってしまったのだ。


みんなに彼女の居場所を聞いてもはぐらかされるので一番最初に祝ってくれたのにスティアにはメッセージカードを渡せていない。


夕食の席でようやく現れなんとか渡すことができたが、デザートの時間になる前に再び席を外してしまった。


しばらくすると、なんとスコーンをのせたプレートをもって給仕たちとともに現れた。このスコーンは彼女の手作りらしい。

姿が見えなかったのはこれを作っていたからのようだ。


「ありがとう」と笑顔でお礼を言いつつ、なぜスコーンなのかと聞くと

「お義兄様の好物そうだったから」といたずらっぽい笑顔を向けてきた。


僕は思わず涙が溢れてしまった。

スコーンは母がよく作ってくれていた、だから好きだったのだ。


何年たってもどうして彼女は僕の一番欲しいものをくれるのだろうか…

新しい家族たちに急に泣き出したことで心配そうに見守られる中、僕はそんなことを思っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


僕がまだ5歳の頃一度だけ茶会に参加したことがあった。

ちょうど従兄弟たちから瞳の色でいじめられていた時期だったこともあり乗り気でなかった僕は、茶会にもかかわらず人気のない方へと進んでいった。


そのまま庭にあったベンチに一人座っていると「ひとりでなにしてるの?」と可愛らしい声が後ろから聞こえた。驚いて後ろを見ると妖精がいた。落ちてしまうのではないかと言うほど大きく鮮やかな緑の瞳に陽の光に照らされて輝く銀色の髪、ほんのりピンク色に染まった頬と雪のように白い肌を見て妖精と思わないほうが無理というものだろう。


僕は瞳を見られたくなくて返事もせずに顔を覆ってしまった。すると彼女はぴょんと隣に座り「おかおみせてくれないとおはなししにくいわ」と幼い割にしっかりとした言葉遣いで言った。


僕は妖精になら話してもいいかと思って

「りょうしんとちがうひとみの色がきらいなんだ」と言ってしまった。

我ながら何を言っているんだと思ったけど、

「おとうさまとおかあさまがじぶんの子じゃないっていったの?」彼女は真剣に話を聞いてくれるつもりのようで


「ううん、ぼくはちゃんとおとうさんとおかあさんの子どもだっていわれた」と答えた。


すると「かぞくとひどいことをいう子たちどっちをあなたはしんじるの?」

なんでもないように彼女は言った。


はっ!その言葉を聞いて気がついた、僕が信じるべきなのは家族だ。

でもどうしても…


その時、彼女が急に僕の手をつかんで顔をのぞきこみ

「あなたがじぶんのひとみの色をきらうならわたしが好きでいてあげる!わたしの大好きなイチゴと同じ赤色!」

満面の笑みで告げられた。


その後の記憶はおぼろげだけどあの言葉は、あの妖精に抱いた気持ちは一生忘れない。


この屋敷で出会った可愛い妖精(スティア)

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