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侍女いわく私は悪役令嬢らしい  作者: 日華
第1章 悪役令嬢への分岐点は幼少期にあり
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新しい家族

今回もアクアス視点です。

「スコーティアです。よろしくお願いいたします、お義兄様!」


目の前には微笑む妖精がいた。

思わず、目を見開き、「妖精…」とつぶやいてしまったが彼女には聞こえていなかったらしい。冷や汗をかきつつもほっとした。

そのとき何故か後ろの使用人たちに大きくうなずかれたれたのが気になるが。


そのうえ、一人首がはずれそうなほどにうなずいていたので引いてしまったが、おかげで冷静になれた。

彼女は妖精、いやスコーティア様の専属侍女らしい。


スコーティア様は僕が来た経緯を知っているだろうが、何も聞かなかった。

彼女には話すべきとも思ったが少しでも話せば瞳についての話題も避けられない。

はじめに眼鏡で瞳の色を偽ってしまったのは自分の意志だからどうしようもない。彼女が置け入れてくれる人だと僕は知っているはずなのに…


彼女からの提案で常に共に勉強し、お茶をした。


彼女は公爵家を継ぐものとして幼い頃から学んでいたようで非常に優秀だった。自分も養子にしてもらった以上恩を返さなければと必死で学んだが、授業内容から順番に少しずつ変化していった。


生物学の授業の際に「実際に観察してみましょう!」と急に腕を引かれ、庭へと連れていかれた。

しまいには僕の頭に花冠をのせてきたものだから思わず「スコーティア様?」と言ってしまった。


実はこのとき初めて彼女の名前を呼んだということに初めて気づいた。


すると「スティアですよ、お義兄様、髪色に白いお花が映えて妖精さんみたいですね!」と満面の笑みで言われてしまった。


僕は心の内で「それは君のほうだよ」と返すことしかできなかった。


次に彼女が歌が好きだということで一緒に演奏をすることになった。

ピアノは父が得意だったので僕も演奏経験があり、すぐに屋敷のみんなの前で披露することになった。スティアの歌声は鈴の音のように優しく透き通るもので彼女をよりよく見せようと実は寝る前の少しの時間などに内緒で特訓していた。


別に苦手でもないのに少しでも良くしようと努力したのは初めてだった。


2人で披露した後、公爵夫妻に「私たちの息子と娘は音楽の才まであるようだと」と言って抱きしめられた。

僕は既に家族だと息子だと、義兄だと、愛されているのだと知った。


口下手な僕にできることはこれだけだと思い緊張しながらも家族たちへと腕を回したのだった。


その日の夜、そろそろ眠ろうかとベッドへ向かっているとノックがした。

扉を開けるとなんと、スティアが両手に枕を抱いて「一緒に寝ましょう」と入ってきた。

さすがに追い返すのはかわいそうで部屋にいれてしまったけど「今回だけだよ」赤くなった顔を隠しながら約束した。


「子どもっぽくてごめんなさい」と消え言いそうな声で言われた。

ほんとはそういうわけではないのだが、そのほうが都合がいいので訂正しなかった。


唯一話したことは「私もみんなに報いるためにって必死だったから、お義兄様も同じかもしれないと思ったからいろいろ頑張ったんです。」というもの。

彼女のスゥーという可愛らしい寝息が聞こえてから


「ありがとう、スティア。」と起こさないようにつぶやいた。


その後この話を聞いたディーが「私が添い寝させていただきたい!」などと勢いよく言いだした。

ディーとは彼女考案のお菓子を通じて打ち解けたがスティアに関してのことだと信用ならない。


そもそも、お菓子や勉強の際に思うのだが彼女の優秀さは天才でかたづけていいものなのか?


忠誠心とその頭脳がスティアのために注がれているからいいものの、彼女をはじめとした使用人たちのスティアへの態度はいささか熱がすぎるので心配なのだ。


思わず「スティアが危険なので駄目だ。」とキツめに言ってしまった。(いや、ディー、その顔は公爵子息に向けるものではないだろう…)

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