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侍女いわく私は悪役令嬢らしい  作者: 日華
第1章 悪役令嬢への分岐点は幼少期にあり
5/75

義兄

初めてブックマーク登録をしてくださった方本当にありがとうございます!

この作品を見つけてくださった方も、ありがとうございます!


私の作戦通り、スティア様の意識は少しずつ変化してきた。

最初は不審がられたり、反対されたりしないように授業内容を変更していった。


そこで庭に連れて行ったのがずいぶん功をなしたらしい。庭師のアクィーラさんとずいぶん仲良くなったようで、花束をもらうたびに満面の笑みを咲かせていた。

彼にお礼がしたいと相談されほかの侍女たちとともに花を生かしたものを作った。

アクィーラさんだけでなく侍女たちにまでそれをプレゼントしてしまうのだから天然たらしもはなはだしい。


ほかにも料理人たちと手作りのお菓子を作るようになっていった。

ほかのものと違い上達に苦戦していたようだが、完璧主義のスティア様らしく、公爵夫妻や我々にプレゼントしてくれたものはもはや売り物レベルだったが。


私もかなり重めなスティア様信者だが最初に作った大失敗作をさらっと自分のものにした料理長を筆頭に使用人たちが全員重症気味なスティア様信者になっていったのだった。


そんな中、スティア様が特に好きだと思われたのは歌らしく、その歌声はもはや神々しい。スティア様は歌の妖精なのかを知れない。私は聴くたびに涙が止まらないのだ。(若干引かれてしまった気がするけど止まらないものは仕方ない)


また、魔法を学びちょっとしたいたずら心で4属性魔法を発動したときに気づいたことがある。


よくよく考えると性質の異なる4属性魔法の元になるのは共通の魔法石だ。

それらの差は魔法を行使するものが抱くイメージに他ならない。


では黄道12星座の独自魔法もそして、二次作用も『術者の願い』によって生み出されたのではないか。


だって、ゲーム内のスコーティアの魔法は【操作】。貴族としての義務にとらわれた彼女が爵位を継げなくなったら目指すのはもちろん政略結婚。

最も高貴な王族と婚約するという目標を持った彼女に最も必要なのは人を惹きつける力…彼女の能力の二次作用として発現し、彼女自身によって乱用されていたのは【魅了】だった。


かなり可能性の高い仮説で思わず口に出してしまったが、思いついたきっかけが「悪役令嬢であるはずのスティア様のおかげです!」なんて言えるわけがない。

実際に試すにも黄道12星座の力を宿しているのはスティア様しか周りにいない。さてどうしたものか…


そうこうしているうちに2年が過ぎ、アレキサンドライト公爵家に新しい家族(アクアス)がやってきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「今日からスティアの義兄になるアクアスだ。仲良くするんだよ。」


まだ外は雪に覆われている1月の終わりごろ、海底のような深い青の髪と私と同じ緑の瞳を持つかっこいいお義兄様ができた。


10歳になった私はディーとの初対面時より上手に挨拶したつもりなのになぜか目を見開かれてしまった。他にも何かつぶやいてらしたけど聞き取れなかった。

なぜ、私が挨拶するとみんな驚くのかしら?本当に謎です。


お義兄様は私の遠縁にあたるそうで2つ年上。ご両親がお買い物から帰る際に事故に遭い亡くなってしまったらしい。大好きな両親が亡くなった悲しみを私が共感できるとは思わないけれど、新しい家族として仲良くなりたい!


私は早速勉強やお茶の時間など常に一緒に過ごすことにした。一人が好きな方だったら迷惑かなと思ったけど、本人が希望してくれたこともあり今では両親よりも長い時間を共にしているかもしれない。(さすがにもう一緒に寝てはいないし…)


ただその様子がかつての私みたいに義務感にとらわれているようだったから、みんなに相談して私の時みたいにすることにした。

あの時のディーみたいに庭に連れ出すところから始めた。いまでは花冠を上手に作れるようになったのでお義兄様に作って被せてあげた。


「スコーティア様?」と目を見開いておっしゃったから、「スティアですよ、お義兄様、髪色に白いお花が映えて妖精さんみたいですね!」と笑ってみせた。


あとはお義兄様はピアノがお上手だったので私がお歌を歌って一緒にみんなの前で披露した。相変わらずディーは号泣していたけど、お父様とお母様も私たち2人を抱きしめて「私たちの息子と娘は音楽の才まであるようだ」と言ってくださった。


そうです、私たち4人はもう家族なのです。

お義兄様も少しためらいがちではあったけど、腕を回してくれた、ようやく気付いてくれたようだ。


本当は一緒に寝るのもやったほうがいいかもしれないと思って、お義兄様の部屋に枕を抱えて突撃したのだけど、「今回だけだよ。」と真っ赤なお顔で言われてしまった。

さすがにもう一緒に寝るのは恥ずかしいことみたい。

今までは子供っぽさをあんなに嫌がっていたのにタカが外れてしまっている自分が恥ずかしくて私のほうも全然話しかけることができず夜が明けてしまった。


「私が添い寝させていただきたい!」とそのあとディーが言うとお義兄様にすごいお顔で「スティアが危険だから駄目だ。」と反対されていた。


実はお義兄様も甘いものが好きらしく、2人とも仲良くなったはずなんだけどこういうときだけなぜか険悪になるのよね。


それと、ディー考案のスイーツではなくスコーンが一番お好きみたい。本人から聞いたわけではないけど見ていたら顔が全然違うもの。

スコーンが出されたときは普段あまり表情が動かないのに少し何かを思い出しているような年相応のお顔になる。


だから、お義兄様の誕生日は2月22日らしいのでお祝いにはスコーンを作ることにした。(また、クレーさんたちに特訓してもらおう!)


私は強い決意を抱き、小さなこぶしを握り締めたのだった。

読んでくださりありがとうございます!

毎日0時に1話すつ投稿予定です!

とりあえず、20話分は書きあげました…


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