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侍女いわく私は悪役令嬢らしい  作者: 日華
第1章 悪役令嬢への分岐点は幼少期にあり
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変化

この仮説が正しいという確証はないけど、善は急げだ。(まぁ、かなり嫌ではあるが自信はある)


とりあえず、彼女の両親にスティア様の公爵家当主に対しての意識について相談しよう。

お二人はご自身が優秀かつスティア様自身が勉学に積極的だから気にしていないのかもしれないが、彼女は子供らしい欲を義務感から隠しているだけだと思う。

それを伝えればあのお二人ならスティア様もためになる行動をしてくださるだろう。(公務の際は切れ者と名高い2人そろって愛娘の前では甘いじゃ形容しきれない態度になられるし)


あれではストレスが溜まるだろうし、なにより今のままでは義兄が登場したら確実にゲームの悪役令嬢(スコーティア)になってしまう。


あとはスティア様自身の考え方を改めさせよう。子供らしくあることは当然で隠すべきではない、子どもは遊んでなんぼである。


そしてなにより彼女自身も周りの人に幸せを与えようとするだけでなく、幸せを享受すべき人なのだから。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


最近、私の周りは少しずつ変化してきた。歴史学や経営学といった次期当主として必要な授業が減り、芸術や植物観察などについての授業が始まった。

授業の一環だと言ってディーに庭を連れまわされたのは困惑したけど我が家の庭がこれほど多種多様な花が咲き誇る美しい場所だといまさらながらに知った。また、庭師がたった3人でこの屋敷のすべての植物を管理していることも、一番高齢の庭師が一見頑固そうだが子ども好きな優しいおじいちゃんであるということも。


いまでは、私が会いに行くと彼は必ず素敵な小さい花束をくれる。お返しがしたいと思いディーをはじめとした侍女たちとポプリやしおりを作ったり、みんなに日頃の感謝を込めて料理人たちに教えてもらいながらお菓子を作ってみたりたくさんの初めての経験をした。


実は私、お料理はあまり得意ではなかったみたいでクッキーでさえ完璧になるまで何日もかかったけれどとても楽しかった。(初めて焼いた大失敗のクッキーはなぜか料理長が笑顔でもらってくれたし、初めて成功したクッキーは料理人のみんなにあげたら泣かれてしまった、そんなに迷惑かけていたのかしら…)


得意でなくても楽しめると知ったのも、上達することの達成感を感じたのも全部が初めてだった。


また、私は一週間に2回ほど両親と一緒に眠ることになった。

はじめは子どもっぽくて抵抗があったけど、実は学生時代に父と母が学校で周りが止めにかかるほどの大喧嘩をしたこと、お父様が家庭教師の授業をさぼって木登りし、庭師のおじいちゃんに捕まえられた後おじいさまに激怒されたこと、お母様が男装してご実家の警備隊の訓練に紛れて剣術の練習をしていたことなどを教えてもらった。

意外過ぎて驚いたけど「私たちも結構やんちゃだったんだよ、子どもだったのだから」と笑いながらお話ししてくださる様子のほうが好きだと思った。

普段の両親ももちろんカッコよくて好きだけど…(この後お母様大好きなお父様と一緒に男装姿のお母様の絵姿を見た、なぜあるのかしら?)


そして最後には決まって「私たちの幸せはあなたが好きなことをして笑顔で過ごしてくれることだよ」と抱きしめてくれた。

3人で寝る日はなんだか心までポカポカしてとてもよく眠れた。


確かに私は貴族の娘としての責任にとらわれすぎていたのかもしれない。


いろいろなものに触れていくうちに気が付いたのだけど、私は歌が好きみたい。先生にも大変褒めていただき、両親や使用人のみんなの前で披露したらとても喜んでもらえた。(ただ、ディーが誰よりも感動して涙まで流していたのは少し引いてしまったのだけど…)


私のしたいと思うことは子どもらしいことだとしてもちゃんと大切なことで、我慢しなくてもいいのかもしれない。


努力することと我慢することは別物なのだ。


魔法学では相変わらずディーが嬉々として授業を受けている。

実は好奇心に負けて内緒で魔法石を用いて4属性魔法をためしてみたらふたりそろってうまく発動できてしまい大人たちにひどく怒られてしまった。(ディーが噴水をイメージしてなんて言うから2人そろってびちゃびちゃになってしまったわ)

けれど、おかげで本来12歳から学ぶはずの魔法の実践練習をはやくから始められるかもしれないみたい。

さらに、ディーが言うには「イメージが発動効果にかかわるなら黄道12星座の独自魔法も早くから学べば自分の欲しい能力を得られるのかもしれない」とまで言い出した。

私は思わず、なぜそう思ったのか聞いたのだけどそこは濁されてしまった。なぜかしら?


ディーになら効くかなと思い「だめ?」と両手を胸の前で組んで見つめながらきいてみたのだけど彼女は胸を押さえてうずくまってしまっただけだった。

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