2.CBTのお話
今回は医学生におとずれる試験のお話です
こんにちは、森です。第2回目は医師になる上で避けては通れないCBTのお話です。前の解剖のお話と違って、医学系にいないとなじみのない言葉だと思います(私は中身を知るまでClosed β Testのことだと思ってました)。皆さんのイメージだと医師になるまでの壁は医学部への入学試験、そして卒業時の医師国家試験が主だと思います。実際には入学後から毎年ふるいにかけられていくのですがその試験はもちろん大学ごとに違います。ですがこのCBTは全国どの医学生も受けて、そして受からなければならない必須の試験です。今日はそんなCBTの仕組みや実際に受けたときの感想など話していければと思います。
まず、CBTとは何かということですがこれは医学生が実習に出るためにクリアしなければならない2つの試験の1つです。もう1つのOSCEに関してはまた別の機会に話すことにしてCBTのシステムを説明しようと思います。CBTはある意味最新式のテストでコンピュータを用いて行います。そして全大学一斉に行うわけではなく大学ごとに日程を決めて行います。そうすると試験問題が流出してしまうのではないか、と考えるかもしれませんがこれがCBTの面白いところで試験問題が個人個人で全く異なっているのです。実はCBTの出題システムにはプール問題というものが使われています。これは過去に出題した問題をストックしておいてそこから個人に問題を出していくというものになります。そしてプール問題が3万問近くあるので被ることは少ないですし、他の人の答案のカンニングも意味をなさないというものです。気になる成績評価はプール問題ごとに過去の正答率などから難易度が決まっておりそこから計算されて出てきます。まさに最新式といえる試験だと思います。範囲は臨床科目(実際の診療科の分野の問題)以外にも基礎科目(解剖や生理学など)も出てきて忘れているとかなりつらい試験です。
そんなCBTですが我々の強い味方がいます。それがQBと呼ばれる書物です。他にも各予備校がCBT対策の講座などを展開していますがこちらは取っていない方が多いのに対してQBは多くの人が買っています。過去問、つまりプール問題が3000問近く載っているので勉強しているとQBで出た問題を試験中に見ることがあります。その点からも有用なのですが少し勘違いをしてしまっていた友達の話をしようと思います。
ある日のことでした。CBTが近づく中、友人と通話していた時でした。
友人「CBT対策はばっちりだよ、QBも解き終わったし」
私「けどあれプール問題の10分の1しか載ってないよ」
友人「じゃあ本番では知らない問題が9割出てくるの」
私「そうなっちゃうよね~」
実際に受けてみると確かに10分の1くらいは同じ問題を見ました。残り9割も類題が多いので知らない問題で焦る、ということはなかったのですが。この試験は9割以上合格するので大したことないと思われるかもしれません。ただ、9割とはいっても医学部に合格する人たちの中での9割なので、正直なところレベルは高いと思います。そんなこんなで晴れてCBTを合格した私は臨床実習前のもう1つの試練であるOSCEに挑むことになるのでした。
ちなみに医師国家試験は合格率9割といわれますがCBTの比じゃないくらいみんな勉強してくるので本当に難しい試験だと感じました。禁忌肢など特有の合格基準がありますがそれはまた別の機会に。
知りたいことあれば書かせてもらいます