エルフ族への説明
「やはりエルフ族にとっては重要な物ですから一目でわかりますか。
とある方法で世界樹の発生条件を知る事が出来たので、持ちうる限りの方法を使って復活させたのです。」
「そうか…信じがたい話だが実際に目の前に世界樹の果実があるのだ、世界樹が復活したのだろう。
しかしそれと人族となれ合うのは別の問題だ。
むしろ我々から世界樹を己の私利私欲の為に奪い取ってその結果枯れさせた人族が敵対したくないから世界樹を用意したなどと言われても何か裏があるとしか思えないな。」
彼女は世界樹が復活したことは間違いないと認識しつつも、話を持ってきた俺が人族だという事が原因で直ぐにでも世界樹をこの目で見に行きたいと判断する事が出来ないようで、どんな理由が隠されているかと考えているらしい。
「それについては安心してもらって大丈夫です。
俺は確かに人族ですが、今回の世界樹についての事は俺以外に知っている人族は存在しません。
世界樹の発生条件は普通の人族には知りえない情報源によって知ったものですし、その方法を実行するのもこの場にいるファームラビット達と妖精達にお願いしたので、他の人族が介入してくることは無いです。
しかもその場所はもともとファームラビット達の縄張りだった為に人間種が近づかない場所であり、世界樹の育成に妖精が関わったからなのか、不可視の結界のようなものが発生しているようなんですよね。
なので他の人族が迷い込んでくることもほぼあり得ない状態なのです。」
「それは…その話が本当なのであれば私をその場所まで案内してもらう事は出来るか?
貴様はどういうわけか転移魔法を使用できるようだし、それほど移動が手間になるという事も無いのだろう?」
俺の説明を聞いて一度ファームラビット達の方に視線をやったかと思うとそう提案してきた。
おそらくは俺の話の信憑性をファームラビット達が俺に付き従っている事から高いと判断したのだろう…
さてここでファームラビット達の習性について説明して、彼らの許可を取ってもらう必要があるのだけど俺が説明してもやはりファームラビット達を従えているだけで都合の良い事を言って何か企んでいると思われても面倒だ…
そこで今回の為に考え付いた魔法を使う事にする。
「今から魔法を使ってファームラビット達と会話を出来るようにしてしますので、彼らから事情を聞いてください。
彼らの許可が下り次第いつでもご案内いたしますので。」
そう言って念話から着想を得た言葉をしゃべれない生き物とも意思の疎通を図る事が出来るようになる魔法を発動せて、ファームラビットに関する話は彼ら自身にしてもらう事にして、俺は最近根を詰めていたのでその光景を眺めながらゆっくりとするのだった。