結界内の探索と襲撃
結界について調べた所どうやらある一定の波長の魔力には結界の効果が発動しないように設定されているようだとわかった。
そこでレギュレートの周囲の環境の調節という能力で俺の体の周りをその魔力波長と同じ状態で覆ってもらって結界に触れてみた。
すると結界が作動する様子が無かったのでその状態を維持して内部の偵察を行う事にする。
結界内に入って少し進むと植物で構成された城壁のような物が見える。
魔力が大量に込められている事から何者かの魔法によって生み出された城壁のようだ…
少し調べてみるとこの城壁には先ほどの結界とは別の侵入者対策がされているようで、この植物に触れた存在を感知して何者かに伝える仕掛けになっている。
この様子だと城壁の内部にも何かしらの仕掛けがありそうだしこれ以上の探索はやめておいたほうが良いのだろうが…
しかし気になるのは先ほどの結界やこの城壁はいったい何を想定して作られているのかだ?
先ほどの結界だけでも充分に外敵に対して対処出来ていると思う。
その上でこの城壁となるとかなり厳重に警戒を行っている。
これほどの警戒を必要とする理由が何かあると思うんだけど…
しばらく考えてみても検討が付かなかったので、転生者スキルに質問してみる事にした。
『この結界と植物による城壁を作った存在について聞きたいのだけど?』
『はい。クリス様の質問にお答えする前にこの場からの退避を推奨します。
戦闘になってもクリス様が遅れを取る事は無いですが、事態がややこしくなる事は避けれないでしょう。』
え?どういうことだ?
俺が今までに無かった転生者スキルの返答に対してどうしたものか考えている時だった。
「見つけた!どうやって侵入したかはわからないけど拘束させてもらう!」
そう声をかけられたと思ったら周りの地面から次々と植物が生えてきて俺を拘束しようと迫ってくる。
「リムーバル!」
俺がとっさにリムーバルに声をかけると俺の意図した通りに転移を発動させてくれた。
危うく植物につかまる前に転移によって自室に移動できた。
リムーバルに緊急時の転移先に自室を指定していて良かった。
しかし先ほどの襲撃者があの場を作った者なのだろうか…
姿を確認できなかったのでどのような人物かはわからなかったけど、先ほどの植物からは城壁と同じように魔力が込められていた。
しかも城壁とは違って何か嫌な予感がしたのだが…
とにかく転生者スキルに改めて聞いてみよう。
『先ほどの質問の続きを頼む。それと転生者スキルが警告してくれた通りに戦闘というか襲撃されたのだけどなぜこちらが特定されたんだ?』
『はい。まずは先ほどの存在ですが、あれはエルフです。』
転生者スキルが俺の質問に対して伝説や物語に出てくる存在の名を上げるのだった…