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ひどい領地経営

ヒーリエの町とウィーゼルの町での違いは通行許可の時だけではなく様々な所に現れていた。


物の値段が高いにも関わらず品質は悪く。

治安の悪さや経済的な理由からスリなども多く存在していて、生徒たちが盗まれたお金や装飾品などを直ぐに取り返したりする作業で大忙しだった…


更には人気が無い所では人さらいも出る為、守護の魔法をかけているので大丈夫だとはいえあらかじめその手の輩とは接触しないようにリムーバル達に頑張ってもらっている。


そんな感じで何かあった時の為に魔法でいつでも対処できるようにしていたものの、特に出番が無かったヒーリエの町とは違って、このウィーゼルでは俺もなかなか忙しく過ごすことになった。


夕刻になって俺が確保した宿で生徒達の感想を聞いてみる事にした。


「みんなどうだい?

ヒーリエの町とウィーゼルの町の違いについては。

通行許可での違いだけでなくていろいろと違いがあったと思うけど、皆はどう感じた?」


「えっと。物の値段が高かったです。しかもあまり良い物では無かったですし…

物の値段が高いって事は街に住んでいる人たちの稼ぎも多いのかと思って調べたらむしろヒーリエでの住人の稼ぎよりもかなり少ないみたいでした…

ヒーリエでは稼ぎと生活に必要な物の値段から考えて他のもの、趣味や娯楽に使えるお金があったと思います。

でもこのウィーゼルでは必要最低限の物を買うのですら満足に行えていないです。

その為趣味や娯楽に関する仕事も無いのでそれらにかかわる技術などが発展する事も無いだろうと感じました。」


俺の質問に対して思いのほか細かく分析出来た返答が返って来た。


「そうだね。ほぼ満点に近い回答だ。

この町は本来すでに破綻している状況なんだ。

今の状況では町の住人にはまったく余力が無いし、この町に商品を売りに来ても儲けがとても少ないんだ。

高い値段で販売しても、この町には商売をするためには売り上げの50%が税金として持っていかれるんだ。

しかも大量の商品をもっていると通行税を当然の様に多く要求される…

その為この町にわざわざやってくる商人は他の町と比べて圧倒的に少ないんだ。

それでもこの町がやっていけているのは、この町の出身の大手商会の経営者が住人の為を思って儲け度外視で商売を続けているからなんだ…

この町での商売は完璧に赤字だから、他の町での成功もこの町での商売の影響でギリギリの経営状況になっているけどね。」


「そ、そんなにひどい状況だったのですか…

その…町が破綻するっていうのは、とてもまずい事な気がするのですけど大丈夫なのでしょうか?」


町の破綻という言葉に対して漠然とではあるが、思っているよりもこの町の状況がひどい事を察して生徒の中から質問が飛んでくる。


「いや。全然大丈夫では無いね…

ただこの町で行われている事の多くは一つ一つは合法な事柄が多いんだよ。

ただ普通はバランスを取るものなんだけどね。

例えば通行税を多くとっているところでは、その分治安に力を入れて、街中で安心して観光や商売が出来るようにしているとか、商売に関する税金が高い所は、大規模な市場を用意した上で通行税が無料だったりだとか高い金額を取っているけど、それについて利用者側が納得できる理由や運営をしているんだよ。

でもこの町ではそんな事知った事かと言わんばかりに何の保障も無しに高い税金を取っているんだ…

厄介なことが一つ一つは合法な為に外部からの介入が困難だって事だね…

実際に町が破綻するまでは王国からは介入が難しくなってるよ…」


その後も細かい部分で気づいた事や感じた事について質問に答えていき、夕食の時間で切り上げて解散する事になった。


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