課外授業。ウィーゼルの町の場合
翌朝、宿で朝食を取った後に次の領地へと移動を行った。
「さてと。ここが次の課外授業を行う領地です。
基本的な流れは昨日と一緒です。
まずは街への通行確認の列に並びましょう。」
そう説明して昨日と同様に通行確認の列に並ぶことにする。
昨日は生徒達の中に緊張があったが、2度目の事なのでかなり落ち着いているように見える。
しかし実際に通行確認の順番が回ってきた時にはヒーリエとの違いに生徒たちの中に不安が広がっていた。
「次。このウィーゼルに来た目的は何だ?」
「観光目的でやってきました。いろいろな領地の町を巡っている途中なのです。」
「ふーん。観光ねぇ…まあいい。
通行料は大銀貨1枚だ。」
兵士が通行確認を行っているのだが、ヒーリエとは違い粗雑な言葉使いと態度で対応しており、通行料もヒーリエの10倍であった。
「わかりました。こちらで良いですか?」
そう言って人数分の通行料を渡すと…
「ああ。しまった忘れてた。最近通行料が上がって1人につき大銀貨2枚になったんだった。」
お金を受け取った後に顔をニヤニヤさせながらそんな事を言い出した。
「そんな…先ほどは大銀貨1枚とおっしゃっていましたし、我々よりも前の人たちもそれで通行されていましたよね?」
俺が困ったような様子を出しつつそう返答すると。
「ああ?忘れてたって言ってんだろ?
とにかく通行料は1人につき大銀貨2枚出せよ。
文句があるんならこの町以外に行ったらどうだ?
まあ、この辺には他に泊まれるような町は無いし野宿でも何でもするんだな。」
「……。わかりました。これで良いですか?」
「ったく。最初から大人しく出せよな。
終わったんだからとっとと行きやがれ。」
そんなやり取りがありつつ、町の中に入ってからしばらく移動して先ほどの兵士が見えない位置まで進んでから生徒たちに話しかける。
「やっぱり予想通りですね。
先ほどのが昨日説明した話になります。
最初に大銀貨1枚を要求した時にこちらが何の躊躇もなく渡したことで、もっと搾り取れると判断して通行料を引き上げたんです。
しかし大銀貨1枚分引き上げるのはさすがに引き上げすぎだと思いますがね…」
先ほどのやり取りと俺の説明を聞いた生徒達は昨日のヒーリエと今日のウィーゼルでのあまりの違いに対してかなり不安そうにしている。
「それじゃあ。昨日と同様に町の中の観光をしましょう。」
「先生…本当に大丈夫なのでしょうか?
あの…昨日の町とあまりに違いすぎて…
ここでの観光はやめた方がいいのではないでしょうか?」
「大丈夫です。
宿の確保もしてありますし皆にはちゃんと安全の為に守護の魔法もかけてあるので安心してください。」
生徒たちの不安に対してしっかりと安全対策をしてあることを伝えてそれぞれ町を観光しに行くのだった。