ヴァンフール家
俺が学園で授業をしているのは王様からの指示で行っているので、貴族に何を言われようと何も問題は無いはずだが、とりあえず先ほどの人物について情報を集めてみた。
彼が名乗っていたヴァンフール家だが有名な貴族至上主義者の貴族でそれ以外の良識ある貴族や平民からの評判が悪い。
平民たちの事を貴族に従うのが当たり前の存在だと考えていて普段から横暴に振舞っている。
税も国の定めている範囲内ではあるものの通常の貴族が納める領地と比べるとかなり多くとっている。
そしてそんな貴族なので集めた税も平民に還元されるような事は無く自身の私利私欲の為に使ってしまうので領地内の整備や魔物討伐による安全確保なども必要最低限の範囲でしか行われていない。
そのような領地の為商人も寄り付かなくなってきておりさらに経済が悪化し続けている。
今は税の高さで何とかしているようだが、もうじき破綻するのが目に見えてきている。
しかし法律などは最低限守っているようで、問題があるけれど介入できるほどではないらしい。
彼はそこの長男でフィン・ヴァンフールという名前らしい。
そんな領地で育ったので、貴族至上主義の考え方に染まってしまうのはしょうがない事だと思う…
しかしそれがこちらに害を及ぼすのであれば何とかしなければ…
こちらが取れる対応だがいくつか考えつく。
まずは王様からの依頼だからと放置する。
一番偉い人物が認めているのだから問題無いと断じて無視をする。
あまりにしつこくちょっかいをかけてくるようであれば王様の決めたことに逆らうって事だし何かしら対応してもらおう。
次は敵対者として排除する方向で動く事だ。
やはりちょこまかとちょっかいをかけられるのが面倒なのでこちらから積極的に行動して叩き潰す。
後腐れなく行動できるので気分よくその後を過ごせそうだ。
最後は彼を改心させて貴族至上主義を取りやめて真っ当な貴族にさせる方法だ。
改心させる事が出来たら俺への嫌がらせをどうにかできるし、彼の領地で過ごしている国民たちも今後の待遇が改善される事になるんだから、これが一番皆が幸せになれる方法だろう。
得られる結果を考えると最後の改心させるのが一番良いのだが、かかる労力も一番大変そうなんだよな…
しばらく考えてみたが一応は教師をしているのだから、これも仕事だと思って彼を改心させる為の方法を考えてみる…
うーん。俺に考えつくのはそれぞれの領地での違い。
貴族至上主義者達の統治方法としっかりとした統治をした時の差を実地で学ばせるくらいしか思いつかないけど…
とりあえずは年齢が低いうちの方が考え方とかを柔軟に変えることが出来るって聞いた事があるし、ダメ元で試してみよう…
そう判断して学園などに根回しを始めるのだった。