授業の事前準備
今年の学園の授業が始まる日までそれほど間が無いので、冒険者ギルドでの依頼を受ける割合を減らして授業に向けた準備などを始める。
特別授業という扱いらしいから通常の授業と違うので去年の俺たちが受けた授業をそのまま参考にするわけにはいかないけど、授業を受けに来る人達の技量に大きな差があるのは毎年変わらないそうなのでそれぞれの技量に合わせた授業の内容を考えておかないとな。
魔力感知を取得済みの人達は去年のグループ授業での方法で何とかなるだろう。
しかし魔力感知を未取得な生徒たちに対して何かいい方法を考えないといけないだろう。
去年はトビーに対して、魔力の活性化の魔法を使用して無事に魔力感知を取得したけど、4種類のスキルの取得が一緒について来てしまう。
魔法学科に集まるのは魔法関係の天恵スキルを授かった人たちなので魔法に関係するスキルの取得速度や成長速度がもともと高いがそれでも高確率で騒ぎになるだろう。
なので他の手段を考えなければならない。
魔力感知の取得で時間がかかる場合に問題になっているのは、見えないものを感じ取れというのが難しいのが原因の1つだと思うなので、もしも魔力を見る事が出来たら魔力感知を取得しやすいのではないかと思う。
魔力感知が無いと魔力を見る事が出来ないのに、見えれば魔力感知を取得しやすくなるっていうのは矛盾していて普通に考えて無理だろう。
しかし俺は最近冒険者ギルドの依頼で魔物の討伐なども行うようになって魔物から魔石という物が取れるのを知った。
この魔石は込められている魔力の量によって色を変える性質があるのだ。
なのでこれをうまく使えば魔力を見る事が出来る道具を作る事が出来ないかを転生者スキルに聞いてみる。
すると案の定、魔石を特殊な加工の仕方をすることによって魔力を視認する事の出来るレンズを作る事が出来るそうだ。
後はそれを眼鏡にすればいいだけだ。
という事で早速製作に取り掛かる。
そんな感じで準備を進めていたら、ついに俺が授業を受け持つ日がやって来た…
最初の生徒たちは今年入学したばかりの生徒たちだ。
セオさんの意見で去年のグループ授業の様子から問題ないと判断されて入学したばかりの子達を指導する事になった。
セオさんに確認すると今回集まったのは貴族以外の子達だそうだ。
去年の魔法学科には貴族至上主義の生徒はいなく、貴族であっても気さくな人達だったので問題なく接する事が出来た。
しかし今年新しく入学した者の中には貴族至上主義の生徒がいるらしい。
その生徒が俺の授業に他の貴族が行くことが無いように働きかけているそうだ。
まあ。もともと俺の授業は希望者のみで、無理に参加させるようなものでは無いので、むしろそんな面倒そうなやつらがやって来なくて助かったな…
やる気のある人たちの邪魔をされたら困るもんな。
今までララやソフィアさんとエレノアさんやグループ授業でのクラスメイト達にいろいろ教える事はあったけど仕事として教えるのは何だか緊張するな…
俺は少し表情を硬くしながら特別授業の為に割り振られた教室に入っていくのだった…