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王様は用意周到。

ある日いつも通りに冒険者ギルドに行こうとしたらエミリーが寮の前で待っていた。


「あれ?平日に珍しいね。どうかしたの?」


「うん。ちょっと用事があってね。

雇い主からクリスを連れてくるように指示されたから一緒に来てほしいんだけど…

エレノア様もそちらで待っているし、ソフィア公爵令嬢にも使いをやっているので安心してついて来て。」


来てほしいって言いつつ、すでに他のメンバーにも連絡済みなのか。

エレノアさんが指示に従っている以上はやっぱりエミリーの雇い主は王様かそれに近しい人物だよな…


「わかった。一緒に行くよ。」


エミリーの後についていくとやはり王城が目的地だった。


「お客様をお連れしたので、主様に報告をお願いします」


王城に到着してそうそうにエミリーは兵士に伝えると兵士の1人がどこかに報告に向かった。


少ししたら先ほど報告に向かった兵士が男性を1人を連れてきた。


「エミリー殿ご苦労様です。そちらの方がクリス殿ですね?

初めまして。私はアーク王国に仕えて居るエリオットと申します。

それではご案内いたしますのでついて来てください。」


エリオットさんに連れられてとある部屋まで案内された。


「失礼いたします。陛下お客様をお連れいたしました。」


エリオットさんに続いて部屋に入ると見知らぬ男性と他にソフィアさんとエレノアさんがいた。


「おお。エリオット、エミリーご苦労であった。

私はアルバート・アークこの国の王を務めている者だ。」


見知らぬ男性がそう挨拶してきた。

やっぱり王様なのか…


「初めまして。私はクリスと申します。」


王様に対しての挨拶の仕方なんてわからないので、無難な挨拶を心がける。


「ああ。よろしく。いつも娘がお世話になっているようだね。

その事で今回君を呼び出させてもらったんだ」


ん?どういう事だろう…やはり王女様に対して馴れ馴れしいとかそういう事なのかな…


「まずはお礼を言わせてほしい。

君のおかげで娘は毎日が楽しそうにしている。

クラーク公爵家からもソフィア嬢について感謝の言葉を貰っている。」


「いえ。自分はただ少し鍛錬の手伝いをしただけで、努力したのは本人たちですから。」


確かに転生者スキルから教えてもらった情報をもとに解決策を2人に教えて鍛錬の手伝いもしたけど、いかに教導スキルを使用したとはいえ2人が努力をしなければこれほどの速度での成長は無理だっただろう。


「ああ。確かに2人が努力をしたのも理解している。

しかしクリス君の協力が無ければ、これほどの急成長は無かったと私たちは確信している。

君たちの学年の魔法科のセオ教師からも情報が上がっている。

学園内においてもクリス君が関わった者達の成長が著しく例年の授業ではありえない結果が出ていると。」


そんなはずは…

教導スキルを使用しているのは、ソフィアさんとエレノアさんだけで他の生徒たちには一度も使用したことが無いのに…

他の生徒には少し気になったことを助言したり、コツを教えてあげたくらいで全然大したことはしていないのにな…


「セオ教師からの報告ではおそらくはクリス君は学園での授業で教えれる事はすでに無く、このまま学園に通わせても、周囲の者たちにとってはともかく本人にとっては時間の浪費でしかないだろうと聞いている。

また集めた情報ではクリス君は冒険者として生活していくつもりらしいね。


そこで提案なんだけど、本来学園は4年間通う事になっている。

しかし特例としてクリス君の卒業を早める。

そしてクリス君が望むように冒険者として活動してもらって構わない。

またソフィア嬢とエレノアも望むならクリス君と共に冒険者として活動してくれて構わない。

ただし週のうちで何日かだけでも学園で臨時の教師として働いてもらうわけにはいかないだろうか?」


アルバート王がそんな提案をしてくる。


「しかし王様。

貴族様の中には平民から教わるのを快く思わない方もどうしてもいらっしゃるのではないでしょか?

私が教師をすることでいらぬ問題が起こる可能性があるのではないでしょうか?」


俺は新たな厄介ごとを回避するためにそう進言してみるが…


「それについても問題ない。

確かにそのような者達もいる。

なのでクリス君の授業は希望者のみの参加する特別授業として考えている。」


俺はどうにか辞退したかったのでその後もいろいろな意見を出したが王様がかなり乗り気なのかこちらの意見をそのたびに解決策を提示して潰してくる…

そのままなし崩し的に引き受ける事になってしまった。


王様がかなり押してくるので何だか断り切れなかった…


「ごめんなさいお父様が…いつもこうと決めるとかなり強引なんです…」


「災難でしたね。王様は悪い人ではないですけど、ああいう所はどうにかならないでしょうか…」


王様の話になるべく横から口を出さないようにしていたのか、一段落ついてからソフィアさんとエレノアさんがそう声をかけてくる。


まあ、厄介ごとでもあるけど、学園に拘束される時間が少なくなるし、目的だった冒険者として王様のお墨付きで活動を広げる事が出来るのだから良しとしよう。


というかそう思わなければやってられない…


こうして俺は学園で新たに教師の立場として授業をすることになるのだった…

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