生まれる前から育成は始まっている。
精霊の指輪、妖精陣、神獣の卵の3種類を持ち歩くようになったが、これが意外と気を使う事が多かった。
まずは持ち主の魔力を吸収して生み出されるとの事だったが、これらのアイテムの段階から生きていると言えるらしい。
魔力に対する食欲やそれぞれに性格のようなものが存在しているし成長段階によっても魔力の必要量が増減するらしい。
なので与えられる魔力が少なければ、周りにある魔力を吸収しだすことがあるらしい。
ただし常に大量に魔力を与えればいいかというとそういう事でもなく、性格によってはあればあるだけ魔力を吸収しようとする場合もあるらしい。
それらの事を転生者スキルから確認できた。
この段階から生きていると聞いて軽く考えていた気持ちを引き締める事にした。
てっきりそれぞれの種類の存在を生み出すための道具の様に考えていたのだが、生き物の幼体を育てている感覚で考えよう。
そうなると成長に必要な分の魔力量はしっかりと与えたいが、過剰に与えすぎても悪影響があるだろう。
その辺りの調節が難しいな。
後は魔力の質も調節しよう、俺の魔力制御は幻想級なので魔力を凝縮や逆に拡散させる事が可能だ。
魔力の濃い場所では強い個体の動物や魔物などが生まれやすいそうなので、与える魔力は出来るだけ凝縮させた魔力を与える事にした。
それ以外にも1種類の食事って人間で考えると栄養バランスを崩すんでは無いかと思って、魔力に様々な方向性を持たせてみたりもした。
幻想級の魔力感知を取得して初めて気づいた事だが、魔法を発動する寸前の魔力には発動するつもりの魔法に合わせて微妙な魔力の変化があるのだ…
今回試してみたら魔力に変化が出た瞬間に魔法の発動を停止する事でその魔力の状態で留める事が出来たので試しに与えてみた。
そんな感じで初めて生き物を育てる事になって、転生者スキルに確認しつつ念入りに育て方を考えるのだった。
色々考えなくてはいけない事があって大変ではあるが、精霊の指輪、妖精陣、神獣の卵に良質な魔力が宿ったりだとか、1度に吸収する魔力量が増え始めたりと成長を実感できた時に思わず頬が緩んでしまう。
ファームラビット達は自身で長年生きてきたからこういった育てるって感じは無かったからな…
そうして2か月ほど経過した休息日にそれぞれが光輝きだしたのだった。