鍛冶仕事の手伝い
会話部分の『』の部分が読みづらいとのご意見をいただきましたので、
言葉にしている会話を「」。
思念や念話での会話を『』。
に変更いたしました。
自身では読みづらさに気づきづらい物ですね。
気づいていなかったのでご指摘いただき助かりました。
今後ともよろしくお願いいたします。
グレースとエミリーから俺に関係する情報を教えてもらった後、また今度日付を合わせて集まる約束をして解散になった。
グレースもエミリーもそれなりの地位にいる人や組織にかかわっているようで、ある程度状況が落ち着くまでは二人と会う事も気を付けた方が良いみたいだ。
二人に教えてもらった情報によって自分が置かれている状況が思ったよりも面倒な事になっているのが判明したが、俺自身が対応できる手段は無いからこれ以上問題を増やさないように気を付けるように念を押された…
エミリーが去り際に自分の雇用主が接触してくれば、状況は落ち着くだろうからそれまでの辛抱だと言ってきた。
それ自体も面倒な気がするがエミリーのいう事を信じよう。
そんな感じで暇になってしまったのだがどうしようかな…
問題を増やさないようにって念を押されたけど、いつもと違う事をしなければ問題は増えないよな…
普段毎週休息日には冒険者ギルドの仕事をこなしているし普段通りの依頼を受ける分には問題ないだろう。
それに街中の仕事は皆なかなか受けないから、すぐにたまっちゃうんだよね…
てことで早速冒険者ギルドにやってきて依頼を確認していたらギルドの職員に声をかけられた。
「あ!クリスさんちょうど良かった。
鍛冶師のアイザックさんから依頼が来たんですけど受けてくれませんか?」
「アイザックさんからですか?依頼内容はどのような感じですか?」
アイザックさんというのは最近依頼で鍛冶仕事の手伝いに行った時に知り合った人で。
王都でも有名な鍛冶師だ。
「いつも通りです。鍛冶の手伝いを一通りお願いしたいとのことです。」
丁度良かった。今日は朝からいろいろと考えなきゃいけなかったから、余計な事を考えずに鍛冶仕事に没頭しよう。
「わかりました。お受けします。」
「ありがとうございます。助かりました…
アイザックさんにはクリスさんは指名依頼を受けれるギルドランクでは無いと伝えてはいるんですが、クリスさんに頼むって言ってきかないし…
アイザックさんが今まで出してきた依頼ってクリスさん以外は追い返されて帰って来ていたから、他の人に回すことも出来なくて…」
「いえ。気にしないでください。俺も受けたくて受けてますので。
なかなかあれほどの設備で鍛冶を体験できる機会は無いですからね。
では行ってきます。」
そう言ってギルドを出てアイザックさんの工房に向かう。
「すみませーん。冒険者ギルドから依頼を受けてきたクリスです!」
工房について挨拶をする。
中で作業をしていると大声を出さないと聞こえない事があるので声を張り上げる。
「おー。来たかクリス。感謝するぜ。
出来れば学業と冒険者らしい仕事に集中させてやりたいんだけどな。
急に国から大量の長剣の発注が来てな…
国からの依頼は国全体の安全にかかわる事になるから断れなくてな…」
「いえ。気にしないでくださいアイザックさん。
俺は鍛冶仕事も好きですから。それに国中で一番の設備で作業できるので凄く嬉しいんですよ。」
アイザックさんが少し申し訳なさそうにするので俺は正直に答える。
「そうか。嬉しい事言ってくれるじゃねえか。なんてったって大事な仕事道具だからな。
それじゃあ目標数を達成したら、その後はいつも通り自由に使ってくれ。」
「ありがとうございます。国からの大量の注文って事はこの前と同じで品質を調節すれば良いって事ですか?」
「ああそうだ。兵士に支給する物になるから、性能に偏りが無いように作らないといかん。
出来が良くても、出来が悪くても売り物にならん。ちょうどいい出来の物を作る必要がある。」
「了解です。早速取り掛かりますね。」
そう言って長剣を製作していく。
「アイザックさん品質はこれで大丈夫ですか?」
1本制作した所でアイザックさんに出来栄えを確認する。
「うむ。完璧だ。この品質で作ってくれれば問題ない。」
「わかりました。ではどんどん続けますね。」
そう言って俺は長剣製作に集中する。
「これだけの腕があるのは俺の弟子にも何人いることやら…
クリスが鍛冶師を目指してくれれば安心できるんだがな…」
アイザックさんのつぶやきは鍛冶仕事に集中している俺には届かずに消えていった…




