噂の信憑性
今俺は噂が途中でとんでもない変化をとげていくのを実感している…
まだ学園に通う年齢の子供が幻想級の魔物の討伐に成功したという内容の話は真実だと感じる事が出来なかったのか、噂を広める際にそれぞれが少しずつ話を大きくした結果、現在では原型をとどめていない内容になってしまっている…
噂によると、幻想級の魔物を討伐した人物は、身の丈3メートルの巨漢で全身を禍々しいオーラを発する鎧に身を包み倒した魔物の生肉を食べて生きているらしい…
確かに事実よりも強そうで話題にしやすい内容だけど噂って言うのはこんなに変わっていくんだな…
まあ。事実と噂の間に違いがありすぎて、絡まれる心配をしなくてもよくなったのでむしろ良かったかもしれない。
噂のおかげで思っていたより幻想級の魔物討伐報告による影響を感じることなく新しく未踏破のダンジョンに挑戦したりして過ごしているが、前のダンジョンが特別難易度が高かっただけみたいで、だいたいのダンジョンが特級の守護者で、稀に英雄級の守護者のダンジョンがあるくらいだった…
英雄級まではソフィアさんとエレノアさんだけで問題なく踏破できるし、特に経験になるような事もないので、良い鍛錬になる場所を探すのが最近の目的になっている。
そんなある日グレースから連絡が来て食事をする事になった。
「それで今回はどうしたの?
確か仕事の関係で最近は王都を離れてたんだよね?」
「うん。まあ、時間が取れる時くらい知り合いと雑談でもしたかったのもあるんだけどね。
仕事の関係でクリスに協力をお願いしたいと思って。」
食事を済ませた後に切り出した俺の質問に対してグレースはそう言って俺に協力してほしい内容の説明を始めた。
「私が最近王都を離れていたのはある場所の調査の依頼で本格的な調査の前に周辺の調査して危険が無いか、危険があるとしたらどの程度の脅威が予想できるかを見極める為に動き回っていたのよ。
その結果は私を含めた職場の保有する戦力では目的の場所の調査は断念せざるおえないと判断したのだけど、調査過程で手に入れた情報を考えると放置するわけにもいかないというのが上の判断なの。」
そこまで説明した後、飲み物を飲んで一息入れてから再び口を開く。
「その場所には幻想級以上を想定される何かが封印されているみたいなのよ…」