ダンジョン攻略再開
ここしばらくの鍛錬の成果で2人ともスキルのランクが上昇した。
ソフィアさんは並列思考スキルが特級に上がった事で戦闘時の手数も増えたし、いざという時の合成魔法や魔眼への魔法の上乗せなどをより強力な状態で発動できるようになった。
エレノアさんは並列思考スキルと傀儡操作スキルが特級に上がった事で操作できる手数が増えたうえに、再現させる事が出来るスキルのランクが上昇したことで、操作する傀儡それぞれの強さも上がって対応力や戦闘力が上昇した。
「よし。それじゃあ。今の階層での鍛錬のおかげで戦闘も安定して来たからダンジョン攻略をしながらの実戦形式の鍛錬に切り替えよう。」
「ええ。前とは違って私もここで出てくる魔物に通用する攻撃を出来るようになったしエレノアもさらに万能感が増したよね。」
「確かに今の階層では鍛錬も作業の様になってしまっているので私も賛成なのですが、ダンジョンの中には1階層違うだけで難易度が大きく変わる所も存在していると聞きました。
この階層ではかなり余裕が持てるようになりましたが、索敵や緊急回避用の傀儡を多めの構成で行かせてもらいますね。」
俺がダンジョンの攻略を再開する事を宣言すると2人ともそれぞれの反応で賛成する。
やはりエレノアさんは戦闘などを傀儡操作の質と量のバランスや種類の構成を常に考えながら行わなければいけない為か不測の事態が起きないように、または起きても対応できるように用心深く行動するようになってきている。
司令塔やリーダに向いた考え方が身につきつつあるように感じるな。
ソフィアさんはその辺りの考え方は豊富な魔力量による魔法や合成魔法と使用時に自身の制御能力にしか負担がかからない魔眼での戦闘方法の為かなかなか意識する機会が無いのかなかなか身について来ていないみたいだが、戦闘に関しての感覚は成長しているのか、敵対する魔物を倒しきる為の威力調整などが絶妙にうまくなってきている。
聞いたところによると攻撃した時の感覚から相手の耐久がどれくらいかがなんとなくわかるようになってきたのだとか…
何というか天才肌って感じだな…
そんな事を考えつつさっそくダンジョンの攻略を再開する。
「何だか。鍛錬での戦闘能力の上昇よりも、エレノアの新しい傀儡による影響の方が大きい気がしてきたのだけど…」
ダンジョン攻略を再開してしばらく索敵と戦闘を繰り返していたのだが、その結果にソフィアさんがそんな事を言い始めた。
実はダンジョン攻略を再開するのに合わせてエレノアさんに新しく索敵に特化した傀儡を作成したのだが、少し性能を盛りすぎたかもしれない…
今まででも索敵用のスキルを再現させた傀儡を複数併用する事で相手に気づかれる前にこちらから発見して先制攻撃をおこなったりしてきたのだが、今回の傀儡を使用する事によって、今まで以上に早期に発見したうえで大まかではあるが相手がどのような存在なのかを把握できるようになった為に予め相手に合わせた事前準備などを済ませたうえで戦闘を開始できたので予想以上に楽な戦いだったのだ。
それだけの成果を生み出せた索敵特化の傀儡というのがどういうものかというと、複数の索敵方法を傀儡自身で元々行う事が出来るようにいろいろな素材と製造系スキルを使って作り上げたのだ。
音源感知・熱源感知・振動感知・魔力源感知を行う事が出来る梟型の傀儡になっている。
作るのに張り切りすぎてそれぞれの感知方法の精度と範囲がかなり広くなってしまっていたようで、現在の階層では不意打ちを受ける事は心配しなくて良さそうだ。
こうしてダンジョン攻略の再開は幸先よく進んで行くのだった。