エレノアさんの日々の努力
ソフィアさんが新たな攻撃方法を習得した一方で、エレノアさんは鍛錬の時には俺が指示した事をいかにうまく出来るようになるかに集中していた。
しかし自身で何も試していないという事ではなく、俺の指示した鍛錬で確実に成果が出ていると判断して、ソフィアさんの様に新しい攻撃や戦闘方法を模索するよりも現状の能力をより高く・広くする事が有効的だと考えたらしい。
その為に鍛錬以外の時間に読んだ事の無いスキルなどに関する書物を優先的に読み漁り傀儡操作で再現できるスキルの種類を増やす事を目的にしているようだ。
王都内で手に入る書物はほぼ読み切ってしまっていた為に新たに書物を手に入れるには王都以外の場所を探すか、商人が王都へ売りに来た物を手に入れるしかないので、現在彼女が冒険者として入手している稼ぎをほぼ全てつぎ込んでスキル関連の書物を集めている。
それらの方法で新たな書物を読んでも書かれている内容によっては、傀儡によるスキルの再現をするのに満たない内容の物もある為にかかる費用はかなりの額になるにもかかわらず、新たに再現できるようになったスキルの数はそれほど増えていないのが現状だ。
スキルについての本というのはほぼ需要が無いのが現状だ。
世界的に見ても天恵スキルで授かった天恵スキルに合わせて職業などを考えるために、スキルについて書かれている書物などをわざわざ読まなくても自然と仕事をしているうちに関連するスキルの取得などが進む傾向があるのだ。
天恵スキルとは関係無しにスキルの取得を望むのであれば、スキルについての書物があればその助けになるのだろうが、天恵スキルと関係の無いスキルがあっても意味が無いという考え方が広がっているのが現状である。
その為にスキルについての書物をより多く探すためには国やそれに連なる研究機関などに関係する場所に立ち入れるようになる事が重要になりそうだ。
国としては、敵国がどのようなスキルを使用してくるかをいち早く把握して対応できるようにする必要がある。
その為に独自にスキルについての研究を行っている事が多いようだ。
その関係でもしもそれらの研究資料をエレノアさんが読む事が出来たら、より正確な情報によって再現できるスキルの量と質を両方とも高める事が出来るかもしれない。
その手の研究施設などは王族と言えどもそうそう許可が下りる事の無い場所なので、現在では望みが薄いがいつかエレノアさんにそれらの資料を見させて上げれるように頑張っていこう。
ソフィアさんもエレノアさんもそれぞれの方向性はある物の自身に出来る努力をしっかりと行ってきているので、これからも出来る限り手助けをしてあげたいと思うのだった。