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7.召喚者、冒険者ギルドのテストを受ける

 冒険者ギルドの裏庭に行くと、そこは石造りの闘技場になっていた。


「うわー、すごいな」


 まるで映画で見たコロッセオみたいだ。

 日本からやってきたアキトには、見るもの全てが珍しく面白い。


「あ、アキトさん。こっちです!」


 受付嬢のお姉さんが手を振ってくれる。

 グラウンドになっている闘技場には、様々な練習用の武器が並んでいた。


「お前ら、ここから好きな得物を取って並べ!」


 実技試験を担当する試験官の中でも、一際体格が大きくて偉そうな剣士が叫ぶ。

 ギルドの新入りたちは、ざわざわしながら練習用の木製の武器を手に取る。


「うーん、この木刀が良さそうだな」


 アキトは、手持ちのスキル『鑑定』を使ってみることにした。

 端っこに置かれている古ぼけた木刀が、なぜか一本だけ『練達の木刀』という名前だったのだ。


 よくわからないが、凄く良い木刀ってことなのだろう。


「お前。もしかして、トーヨーの武術が使えるのか?」


 さっきの偉そうな剣士に、声をかけられてしまった。


「何のことでしょう」

「ごまかしてもわかるぞ。お前のその黒髪黒目、トーヨーの血を引くものだろう。そして、数ある中からその特別な木刀を手にとったのが何よりの証拠よ!」


「よくわからないですが、武術は経験ないんですけど」

「それは、打ち合って見ればわかる。俺は試験官のリーダーを務めるAランク剣士グラント。人呼んでレムルスの英雄グラント、お前の名は!」


 グラントと名乗った男は、長くて幅の広い重そうな木剣を構える。

 隣で、呆れたように受付嬢のお姉さんが言った。


「グラントさん、貴方はまだBランクですよ。それに、レムルスの英雄とか、誰にも呼ばれてないですよね」

「最終試験がまだクリアできないだけだ! 俺の実力は、ほぼAランクなんだ!」


 なんか変な人に絡まれてしまったなあと、アキトは頭をかく。


「グラントさん。その方はアキトさんといいますが、召喚術師なんですから、Bランク剣士の貴方が本気でやらないでくださいよ」

「嘘を言うな。こいつは強いぞ、限りなくAランク剣士に近い英雄の俺にはわかる! スキル身体強化! 上級剣術!」


「ちょっとグラントさん、聞いてますか! アキトさん逃げてください。グラントさんはいろいろおかしいですけど、剣の実力だけは本物なんです!」


 ブワッと、グラントから感じる圧迫感があがった。

 これが、剣士スキルというやつなのだろうか。


「フハハハッ、アキトよ。レムルスの冒険者ギルドにようこそ! 挨拶代わりに受けてみるがいい、これが俺の瞬殺剣だ!」


 このグラントとかいう人、本気で斬りかかってきた。

 凄まじいスピードで突っ込んでくるその巨体も相まって、疾走するダンプカーを思わせる。


 ブラック企業勤務で鍛えられたアキトのあらゆることに動じない精神力を持ってしても、これには少しだけ驚いてしまう。


 ――とっ、あれ?


 さっきまで凄まじい勢いで迫ってきたグラントが、まるで映画のスローモーションのように見える。

 瞬殺剣という技が、何を指すのかよくわからないが、おそらくスピードアップ系の技なのだろう(ちょっとおかしい人なので、ただ叫んだだけで何の意味もないことも考えられるけど)。


 それがこんなにもゆっくり見えるとは、つまり思考速度が上がったということだろうか。

 車で事故って、世界がスローモーションになったときの感覚を思い出す。


 危機に際して思考速度が上がっても、身体は自由に動かないものだが――


 身体はどうだろうとちょっと動いてみると、このゆっくりした時間のなかでちゃんと動く。


「なるほど、思考速度に加えて身体速度も強化されたか。そうか俺のスキルに『心身強化』というのがあったけど」


 それのことかと、アキトは気がつく。

 とりあえずグラントの斬り込みをどうしたらいいかなと考えて、脇に避けてみることにした。


 すると、アキトの持っていた木刀にグラントの足が引っかかって、そのまま蹴躓いてグルンと回転した。


「ぐぁああああああ!」


 グラントは疾走するダンプカーの勢いで、絶叫しながら大きく一回転して石の壁をドカーンと突き抜けて消えてしまう。

 あたりから人が集まってきて、みんな大騒ぎしている。


「今回の新人すげーやつがいるな。グラントのバカが頭からいったけど、これ死んでるんじゃないか?」

「救護係早く来てー!」


 自分は何もしていないつもりなんだけど、なんだか大変なことになってしまったとアキトは頭をかいた。

さっそくやらかした。

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