47.召喚者、ミスリルの丘を守る
アキトたち冒険者が到着した頃、ちょうどギガントサイクロプスの集団が、向こうからやってくるところであった。
身の丈十メートルはありそうな巨大モンスターが数十体もいる。
なんのスペクタクル映画なんだよと言いたくなる、凄まじい迫力だ。
その後ろから、巨大な黒い悪鬼ダイダロスが大きな翼を羽ばたかせながらゆっくりとこちらに近づいてくる。
ギルドマスターの予想通り、ミスリルの丘が一番防御が薄いと見て、ここを起点にして攻めてくるつもりなのだろう。
だが、アキトはそうはさせじとテトラやスライムたちを次々召喚して配置する。
「英雄殿! 来てくれたんじゃな!」
ドワーフたちが手をふってこっちにやってきた。
「ああ、応援にきたよ」
「間に合ってよかったの。これが、オリハルコンの篭手とすね当てじゃ」
ありがたく受け取って、テトラに装備させる。
「さて、あれをどうすべきかだな」
「大丈夫じゃ。ワシらとて、奪還した故郷を二度と奪われるつもりなどない!」
戦場に爆発音が響き渡る。
便利スライムたちが作った柵を利用して、そこから爆発矢を食らわせているようだ。
「みんな! 絶対に村に巨人を近づかせるな!」
マール村の村長の息子、マールが掛け声を上げて、一斉にクロスボウで爆発矢を放つ。
ギガントサイクロプスも、そんな攻撃は受けたことがなかったのか、動揺して片膝を突く個体もいた。
「テトラ、いまだ!」
「わかったのだ!」
片膝を突いたギガントサイクロプスめがけて跳躍し、ミスリルの爪でズサっと弱点である一つ目を切り裂いた。
「ぎゃぁあああああ!」
ギガントサイクロプスが大きな悲鳴を上げてのたうち回る。
一体が倒されると、周りの個体も明らかに動揺した。
スライムたちも後ろから魔法を放ち、そうでないものはギガントサイクロプスの周りを素早く動き回って翻弄する。
「みんないまだ。作戦通り、まず足を潰し、それから目を狙え!」
冒険者のリーダーを務めるグラントが総命令して、Cランク以上の選りすぐりの冒険者数十人が鬨の声を上げてかかっていった。
ギガントサイクロプスは手に持った棍棒を振り回すが、ベテラン冒険者たちはそれを避けて、足をチクチクと攻撃して魔術師たちは一斉に目をめがけて魔法を放つ。
敵は凄まじい膂力を誇り、巨大な棍棒が当たっただけで柵が根こそぎ弾け飛ぶ勢いだが、こちらはスピードで翻弄できている。
ジワジワと敵の数を減らすことはできているようだ。
「さてと」
物陰に隠れたアキトは深呼吸して、空間収納から取り出したスナイパーライフルを構える。
ギガントサイクロプスの目をよく狙って、放つ!
「ぎゃぁあああああ!」
撃たれたギガントサイクロプスは、そのままドカンと倒れて動かなくなった。
目標をよく狙って、放つ!
放つ! 放つ! 放つ! 放つ! 放つ!
「す、すごい……」
冒険者や村人たちも、思わず固唾をのんで見守ってしまう。
村に近付こうとしたギガントサイクロプスが、順番に倒されていく。
何が起こったのか、どうやったのかすらわからない。
音もなく巨人を沈黙させるこれは、アキトの魔法なのか!?
ともかく圧倒的だ。
一体に数十人がかりのギガントサイクロプスを、一瞬で倒し続けているのだ。
アキトは目立ってないつもりなのだが、どうやっても目立ってしまっていた。
戦況は一気に冒険者側の有利に傾く。
これには、後ろから悠然と戦況を見ていた不死身の悪鬼ダイダロスも動き始めた。
――と、そこに。
「あれが、敵のラスボスってわけか!」
光り輝く聖剣クラウ・ソラスを掲げた、異世界勇者、獅子王丸タケヒトが颯爽と登場したのだった。





