27.召喚者、ジャイアントフロッグとワームを倒す
Bランク剣士グラントと、ホーリーワータイガーのテトラが、向こうから迫りくるジャイアントフロッグの群れに立ち向かう。
戦闘力の強い二人の参加のおかげで、戦う屯田兵たちの士気が一気に上がった。
戦況を冷静に見ているアキトは、賢者スライムのスラインに尋ねる。
「スライン、秘策があると言ったな?」
「はい、あるじさま」
「戦闘をサポートするのに回復スライムを増やそうというのなら俺も考えたぞ。そのために、薬草を採ってきたんだ」
「それもいい手ですが、あるじさま召喚術で、氷を出せませんか」
「氷なら、出せるが。こんなものでいいか」
アキトは金貨と交換に、大量のロックアイスを召喚する。
賢者スライムは器用にロックアイスの袋をあけて、バリバリと食べた。
「冷たいものが食べたかっただけとか言ったら怒るぞ」
「もぐもぐ、ご心配なく」
もぐもぐぷるぷる、賢者スライムは分裂して新たなスライムを生み出した。
なんだかひんやり冷たそうなスライムだ。
「あるじさま、アイススライムです」
「新しい種類のスライムか」
「百聞は一見にしかずと言います。アイススライムよ、攻撃を開始しなさい!」
「ひんやりー!」
アイススライムは、また意味がわかるんだかわからないんだか、それっぽい掛け声を上げながら飛び出していって、ジャイアントフロッグに向かって冷気を吐き出した。
途端に、ジャイアントフロッグの動きが鈍る。
「おお、なるほど。カエルだから、冷気に弱いってことか」
「あるじさま、ご明察です」
もぐもぐぷるぷる。
賢者スライムはどんどんロックアイスを食べてアイススライムを作り出していく。
アイススライムの軍団が、またたく間にジャイアントフロッグの群れを凍りつかせて、その隙にグラントたちがやっつけることに成功した。
グラントは、感動の面持ちで叫ぶ。
「さすがアキトさんだ! 何という鮮やかな戦術の冴えだ。また一つ教えられたな」
グラントの叫びで、屯田兵たちも気がついて「あれは、竜殺しのアキトらしいぞ」、「アキトさんが来てくれたのか、これで勝てる!」と口々に喜びだす。
うーんあんまり目立ちたくなかったんだがなと、アキトは考え込む。
「まあいいか、賢者スライム。怪我人の回復を……」
そう言おうとした、アキトにテトラが叫ぶ。
「あるじ、まだ終わってないぞ。新手がくる!」
目につく敵は倒し終えたと思うのだがと思った瞬間、「ぎゃあああ!」と悲鳴が上がった。
湿地帯の地下から、ワームがズルズルと姿を現し、バサッと大きな口を開いて兵士を呑み込もうとする。
巨大ミミズみたいな生き物だが、口にトゲトゲの牙がたくさんついていて、人を丸呑みにする気持ち悪いモンスターなのだ。
しかも、地中にいると見えないので、柔らかい湿地帯などではいきなり下から襲ってくることもある。厄介な敵だ。
「今助ける!」
グラントは、ワームを大剣でスサッと斬り裂いて、飲まれそうになった兵士を助け出す。
だが、やってきたワームは一匹ではない。
地中よりニョキッと顔を出して、鎌首をもたげるワームにアイススライムたちは、一斉に冷気攻撃を浴びせるが効き目が悪い。
ワームは、両生類ではなく巨大な虫なので冷気では倒せない。
「あるじさま、なにか火の出る道具はありませんか!」
賢者スライムがそう言うので、金貨と交換にライターなどの着火装置を大量に召喚してやる。
ぱくぱくぷるぷる、賢者スライムは今度は真っ赤なスライムを生み出した。
「ファイヤースライム! ワームをやっつけるのだ!」
「ファイヤー!」
賢者スライムが生み出したスライムにしては珍しくわかりやすい叫びとともに、ファイヤーボールを発射するファイヤースライム。
ボンッ! という音ともにワームが燃えると、激しく苦しんでのたうちまわりだした。
「なるほど、ワームの弱点は火か」
「あるじさま、私も加勢に行きます。ここであぶり出して全て殺さないと、安心して湿地を歩けませんから」
生み出したたくさんのファイヤースライムとともに、賢者スライムもファイヤーボールを十連発ずつ炸裂させる。
飛んで火に入る夏の虫だ。
スライムたちの炎に巻かれて、全てのワームはまたたく間に黒焦げになったのだった。





