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異世界無双の召喚者 ~無限に使える召喚術が普通に異世界最強でした~  作者: 風来山


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17.召喚者、新しい依頼を受ける

 次の日、アキトはまた冒険者ギルドに姿を見せる。


「おいあいつが、竜殺しだぞ」

「ほう、あれがワイルドドラゴンを一人で倒したって男か」


「報奨をもらいに窓口に行くつもりか。ギルドマスターが呼ばれてきてるぜ」

「勇者パーティーも失敗したというワイルドドラゴン討伐を一人でとは、大したものですね」


 なんか冒険者たちがざわついてるが、アキトはいつもどおり意に介さないで、ギルドの受付の方に行く。


「あ、アキトさん。報奨ですよね。前日の買い取り金額は、総額で百三十八万ゴールドと決まったのですが、よろしいでしょうか」

「構わないです」


 もともと相場などわからないから頷くしかない。

 使う金といえば、宿賃と食事代ぐらいなので百万ゴールドもあったら、それ以上は使いみちがないということもある。


「それで、ギルドカードには貯めておけるシステムもあるんですが、残りの金額も引き出されますか」

「えっと……」


「その引き出し可能なんですが、昨日の今日なのでまだ銀行からお金が届いてないんですよ」

「ああ、なるほど。カードに貯めておいてください」


 クレアさんはホッとため息を付いた。

 無理すれば払えないこともないが、これ以上報奨を払うと現預金がなくなってしまうということなのだろう。


「それで、今日はアキトさんにビッグニュースがあるんです」

「なんでしょうか」


「お城からお呼びがかかったんですよ。勇者パーティーに協力して欲しいという依頼なんです」

「お断りします」


「はい、かしこまりました。お断り……ええ、断っちゃうんですか!」


 アキトは頷く。

 国の期待を背負って無理やり戦わされるなんて御免こうむる。


 それをやりたくないから、今ここで自由に冒険者をやっているのだ。


「でもでも、凄い名誉なことなんですよ!」

「クレア」


 後ろから、ギルドマスターが声をかけた。


「お父さんはちょっと黙っててよ!」

「ギルドマスターと言いなさい。コホン、アキト。依頼を受けるかどうかは自由だ。受けたくないならもちろん受けなくていい」


 振り返って、驚いた顔をするクレア。


「でもお父、じゃなかったギルドマスター。国から依頼が来てるんですよ、断っちゃっていいんですか」

「冒険者ギルドは、冒険者の互助会だ。国の依頼だろうが、嫌なら断ってもいい」


 ギルドマスターもそう言ってくれるので、アキトはもう一度はっきりと「お断りします」と言った。

 意気消沈するクレア。


「ああじゃあ、それは受けないにしても、ワイルドの谷でワイルドドラゴンの討伐はいかがですか。アキトさんなら、きっと達成できると思うんですが」


 そうクレアに言われて、依頼の張ってある掲示板を眺めてちょっと考え込むアキト。


「そういえば、ゴブリンの依頼が見当たらないですね」

「ゴブリン!」


 驚くクレアの代わりに、ギルドマスターが苦笑して応える。


「馴染みの森のゴブリンは、どうやら居なくなってしまったみたいなんだ」

「なるほど、狩りすぎて全滅したんですか」


 群れごとボスを倒してしまったので、そういうこともあるだろう。


「代わりに、オーク退治なんかどうだ。馴染みの森の向こうに、ミスリルの丘という土地がある」

「ミスリルの丘?」


「うむ、いい機会だからこの付近の地図を渡しておこう。地理を把握しておくのは大事なことだからな」

「ありがとうございます!」


 アキトは大喜びで受け取った。

 羊皮紙に手書きで書かれた地図は、なかなか味わい深くて心が浮き立つ。


「地図だとこの辺りだな。モンスターが攻めてくる前は丘の上に採掘所があって、結構な量の銅と一緒に希少なミスリルが取れたからそう言われたんだよ」

「なるほど、場所も近いから悪くないですね」


 ミスリルの採掘所か。

 ゴブリンロードが持っていたミスリルは、もともとそこの物だったのかもしれない。


「それも大量のオークが出て台無しになってしまってな。今必死に退治してるというわけだ。アキトが引き受けてくれると助かるよ」


 ゴブリンの次にオーク。

 アキトが思う堅実な冒険にピッタリである。


「じゃあ、オーク退治の依頼を受けますね」


 そう言うと、アキトは手続きしていってしまった。

 それを、ギルドの受付嬢のクレアは、あーあと言った顔で見送った後に、父親であるギルドマスターに文句を言った。


「お父さん。なんで、よりにもよってアキトさんにオーク退治なんてつまらない依頼を引き受けさせたのよ」

「クレア、お前もまだまだだな」


「なにがよ」


 不機嫌そうに口を尖らせるクレア。


「考えても見ろ、馴染みの森のゴブリンがいなくなったのはいいが、その縄張りを狙ってオークが流れ込んできたら今度はそっちの被害が出るだろうが」

「ああ、そっかそういうことか。アキトさんなら、オークも全滅させるかもしれないものね」


 馴染みの森のゴブリンに比べれば、オークは強くさらに数が十倍をはるかに超える規模だ。

 どれほどアキトが強くても、一人で全部退治するのは物理的に考えて不可能。


 面白い冗談を聞いたというように、ギルドマスターは笑う。


「ハハッ、ある程度やってくれるとは思ってるが、いくらなんでも全滅はないだろう。いや、無理なはずだが……」


 ミスリルの丘を根城にしているオークの群れは、もはや軍隊レベルなのだ。

 丘の上にあったいくつかの村は、すでに壊滅しているほどの大きな被害がでている。


 これまでずっと退治を続けているが、王国軍の騎士隊や冒険者パーティーがいくら戦っても焼け石に水の状態だった。

 しかし、まさかそんなことはないだろうと思いつつ、もしかしてアキトなら一日で全滅させて帰ってくるんじゃないかと期待してしまう部分がある。


「お父さん、銀行からお金たくさん引き出す手続きをしておくね」

「ああ、念のために頼む」


 もしもの時のために用心をしておくのは、冒険者にとって大事なことであった。

何事も用心は必要ですね。

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