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-A10-  作者: 二旅 書簡
夜を照らす
1/2

exit-イグジット-

風を切る音がする。走り続けなければいけない。あとどれ程この暗い道を走り続けるのだろう。コンクリート4面のトンネルのような道。湿って冷えた空気が肌を滑る。


轟音が追ってくる。あれは金属の柱をなぎ倒す音だ。まだ視認範囲には居ない。


汗で耳あての無線機が蒸れている。息を切らす中、無線が回復する。

「エルカ訓練生、次の角を右だ。…へと繋がっている。外で落ち合おう。速度は落とすな。」無線は途切れ返事をする間もなかった。


角を曲がる。光。胸が強い鼓動を打ったのを感じた。

「見えた!あの穴なら私だけ出られる!」

光は大きくなり、義足型ランニングブースターの勢いそのままに光に抱かれた。


「え?」


足元は地面よりおよそ20メートル。地上7階程度。減速しようにも足場がない!


「ばああぁぁかああああぁぁぁぁ!!!!」


無線で何か声が聞こえたが、背後からの金属をねじる音に気付き胴体だけ振り向く。


途端、自分の飛び出た出口を巨体が推し通り打ち砕いた。落下軌道は自分とほぼ同じ。手の平はまっすぐに自分を目指し広げられている。捕まればたちまち肉片に変わるだろう。人形の重機は錆び付いてきしみ、うなり声のような音を立てる。ブサイク…。

今肌で感じている意思は殺意、なのだろう。私は知らない。


頭上に大きな星が浮いている。振り向きざまに視界に入ったソレ。そう、あれは地球と呼ぶらしい。


最期の瞬間を予期していたが、心の隙に押し入るように突如別の何かに捕らえられ、私は90度進行方向をかえたのである。

風圧で乙女がしちゃいけない顔してるわ、たぶん…。

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