6話 隠し部屋のひみつ
そして。
はい。
やっぱり、気になってしまい、階段を降りてきちゃいました。
地下だから暗いはずなんだけど、魔法がかけてあるらしく降りていく度に壁の蝋燭の火が灯っていくので大丈夫だった。
そしてたどり着いたのは大きな扉。
その中には…。
「美術館…?」
扉を開けた先は、美術館でした。
もしくは、武器屋。
美術館と武器屋じゃ全然違うじゃん!と思うだろうけど、本当にその中間のような感じだ。
私の予想は、当たっていたようです。ここはきっとお宝たくさんの秘密の部屋だ!!
まず目に飛び込んできたのは、様々な大きさと形の剣や、槍や、弓、刀、杖、銃、斧、盾、飛び道具といった武器だ。
たくさんの武器がガラスケースに並べられていたり、壁に掛けられたりしている。
武器の他にも筆や懐中時計、傘、本、様々な楽器、扇子や髪飾り、ネックレスやブレスレットなどの装飾品も展示されている。
あと…これ、セーラー服?
学ランにブレザーなど、様々な制服をたくさんのマネキンのような人形が着ている。
あと携帯やスマホ、ノートパソコンなど明らかにこの世界のものじゃない、地球のものも飾ってあった。
あ、あれ…?
なんかおかしくない、ここ?
何で異世界の国の地下室っぽいところに、明らかに地球のものがあるの?
初めはお宝たくさんでワクワクしてたけど…もう、気味の悪さが上回ってるよ。わけが分からないよ。
そして、ガラスケースの中の物にも壁に掛けられている物にも、全てにそれぞれ名称が書いたプレートが添えられているのに気づく。
「ゆ、勇者の…?これ、全部!?」
『勇者の刀』『勇者の斧』『勇者の短剣』『勇者の槍』『勇者の杖』『勇者の銃』『勇者の盾』『勇者の扇子』『勇者の傘』『勇者のスマートフォン』『勇者の着ていた装束』エトセトラ。
つまり。
これは全て、伝説の武器、ということになる。
少なくとも100種類以上あるんだけど、これが全部、伝説の武器…?
なんでこんなにあるの?
え?
じゃあ、少なくとも100人以上、過去に勇者として召喚されてるってこと?
全員が伝説の武器の所有権を手放した?
その勇者たちの行方は?
無事に地球に帰れたの?
マネキンが着てる制服についてる黒っぽいシミは、何?
駄目だ。分からん。
分からんが、何かめっちゃ怖くなってきた。
この場所のことも。この国のことも。この世界のことも。
そして。私は見つけてしまったのである。
空白のガラスケース。
中には、プレートが2枚。
『勇者の剣』『勇者の弓矢』
これは、ユウキ君とアイリちゃんの武器を入れる場所…なんて、想像をしてしまう。
そして隣には、黄金に輝く巨大な鳥かごのようなもの。ちょうど人が1人入れるような大きさだ。
その鳥かごに掛けられたプレートには。
『宮田 サキ』
何だろう、これ。
いや、巨大な鳥かごだということは分かる。分からないのは、意味だ。
何、『宮田サキ』って。
いや、私の名前だってことは分かる。分からないのは、何で鳥かごに私の名前がくっつけられてるのかっていうことだ。
…私へのプレゼント。
な、わけないよね。
…この鳥かごに入れる予定のペットに私の名前をつけてる。
これもないよね。
もう、最悪な想像が頭に浮かんできちゃうんですが!
「あら、サキ様ではありませんこと?…このようなところまで来てしまうなんて、いけない方…。」
「あ……」
鈴のなるような可愛らしい声音に、振り返ることが出来ない。
でも振り返らなくても分かる。
私の後ろには今………フィオーナ王女がいる。
しかも多分、笑顔で。