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異世界に来たら伝説の武器になってしまったようです  作者: 栗たろう
フェルラーン王国脱出編
12/12

12話 馬車に揺られて




「サキ様、もう目を開けて頂いてもよろしいですよ。」


私がドキドキと戦っている間に気がつくと辺りは静まり、ベルーカの凛とした声だけが響いていた。恐る恐る目を開けると、綺麗に飾り付けられていた伝説の武器の数々は床にばら撒かれ制服はススだらけになっていた。ここここれやばい王女様が見たら発狂するやつ…。


武器に埋もれるようにしてシアンさんが倒れているのが見える。


そろそろと近づき、指で突っつくと「うう…」と唸っていたので気を失ってるだけみたいだ。イケメンゆるふわヘアがちょっと焦げてアフロっぽくなってて面白い…。


「サキ様、改めて、怖い思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。そして魔族であることも黙っていて申し訳ありません。どのような罰でもお受けいたしますので、どうかお許しを。」


ベルーカが胸に手を当てて跪く。


「やだなあベルーカ。危ないところを助けてもらって、感謝しかないって。あと魔族とか人間とか関係ないよ、ベルーカはベルーカじゃん。むしろ角とか羽とかカッコいいよ!好きです!」


待て、勢いあまって告白みたいになってる。

でも本当に何とも思ってないから仕方ないな。うん。


「…サキ様。貴女という方は。」


ベルーカは酷く嬉しそうな顔で、そっと私の手を取り両手で包み込む。


……私は当然、心臓を押さえその場に倒れこんだのでした。














「サキ様、このままこの国にいては危険です。フィオーナ王女はどんなことをしてでも、サキ様を手に入れようとするでしょう。ここは一度フェルラーンを出て、私の故郷へ共に参りましょう。」


「ベルーカの故郷、というとまさか…」


「はい。北のミルグスレナより海を越えた先にある島国、魔王国ガルガレオンでございます。」


魔王国ガルガレオン。以前、ベルーカの故郷の話を聞いたことがあるけど、まさかそれが魔王国のことだったとは。魔族の国、と聞くとなんか怖そうなイメージだけど、ベルーカの故郷なんだからきっといいところに違いない!


「うん、魔王国に行こう!ベルーカの故郷に行ってみたいって、前話してたのがもう叶って嬉しいよ。」


「はい。私もサキ様をお連れできること、光栄に思います。さあ、一刻の猶予も許されません。今すぐにでも出立いたしましょう。」


「あ……ねえベルーカ。ユウキ君とアイリちゃんも一緒に連れていきたい。このままじゃ二人も危ないよ。」


「…申し訳ありません。今すぐには難しいです。あのお二人は監視が厳しすぎます。フィオーナ王女に気づかれた場合、私一人でお三方を無事魔王国までお連れできるかどうか。あの王女の所有する伝説の武器は底が知れません。きっと、この地下室にあるものが全てではないでしょう。」


たしかに、あの王女は逃げられるくらいならと、ユウキ君とアイリちゃんを殺してでも伝説の武器を奪おうとするかもしれない。二人をそんな危険な目には合わせられないし、今のところ武器のレベルが上がるまではフィオーナ王女も簡単に二人を殺さないだろう。


「お二人を心配なさるお気持ちはよく分かります。ですが今は一旦魔王国へ行き、策を練ることと協力者を得ることが、お二人を助けることにつながると思います。」


「うん、分かった。二人は必ず助けよう。そのために魔王国ガルガレオンへ行こう。」


ベルーカは私の答えにしっかりと頷き、私の手をとって地下室から脱出する。


そこからは、密かに潜入していたベルーカの部下の魔族の方々(普通のメイドさんだと思ってた)が用意してくれた高級そうな馬車に乗り、こっそりと奥宮殿を出た私たち。


王女様たちにバレないか追ってきていないかとヒヤヒヤしたけど、わりとあっさりと脱出できて良かった。


「私の部下がサキ様に擬態し地下室に入っているので時間稼ぎになるはずです。」


「えっ、それ、大丈夫なの?もしバレたらその部下の人…」


「部下は擬態のエキスパートなので簡単にはバレませんよ。それに、逃げるための用意もありますのでご安心下さい。」


ベルーカの言葉にホッとする。私のために部下の人が大変な目にあうのは避けたいからね。

ちなみに、シアンさんは縛ってどこかに閉じ込めているらしくそっちも時間稼ぎになるそうだ。


馬車が走るにつれ宮殿は遠ざかっていき、姿が見えなくなるくらいまで来たところで、ようやく少し気持ちが落ち着いてきた。


先ほどまでは余裕がなかったけど、だいぶ落ち着いたので車窓から外を見ようかなと思っているとベルーカに追っ手が出ていたらこちらの姿を見られてはいけないということで止められ、断念。代わりに、ベルーカや魔王国についての話を道中説明してくれることになった。


いっぺんに情報が公開出来て良い、というのとベルーカがどうしても隠し事をするのはもう嫌だからどうか本当の自分を鑑定してほしいというので、そうすることにした。本当の自分を鑑定してって言い方なんかちょっといかがわしくない?


そして勇者のメガネでのベルーカの鑑定結果がこちら。










―――――――――――――――





ルベールカ・レア・ガルガレオン L v79


【性別】なし(女性体)


【種族】魔族


【職業】傲慢の悪魔・七大罪序列第3位


【属性】闇属性・風属性


【状態】良好


HP:309/315(+10)

MP:141/290


物理攻撃力:292

物理防御力:180

魔法攻撃力:380

魔法防御力:215

素早さ:191(+20)

運:55


【スキル】

闇魔法 Lv10

風魔法 Lv10

擬態Lv10

隠蔽Lv10

気配遮断Lv10



【装備】魔槍クランクラン

▽所有者:ルベールカ・レア・ガルガレオン

▽スキル:HP補正(+10)・素早さ補正(+20)




―――――――――――――――









いや、鬼のように強いですやん!ステータス大体全部200近くありますやん。

ついさっきシアンさんと死闘を繰り広げてたはずなのにHP全く減ってないですやん。


ていうか性別なし(女性体)って何…そして何が序列第3位だって?どこから聞けばええんや?混乱しすぎて心の声の口調もおかしくなるってもんよ。






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