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第6話

 そうしている間にも画面は更に変化していた。


 日本海兵隊の兵による日本人、中国人義勇兵への訓練光景を見ている柴五郎中佐の下に、下士官が駆けつけて報告する。

「24時間以内に国外退去するようにとの最終通告が、清国政府から届きました。退去しない場合、攻撃を加えるとのことです」

「とうとう来たか」

 柴中佐は、そう答える。


 ナレーションが流れた。

「6月19日、清国政府からの最終通告が届いた時、最早、北京城内のみならず北京から天津に至るまで、義和団に賛同する武装した民衆や清国軍の兵士が溢れかえっており、軽く10万を超える事態となっていた。

 こうした中で、欧米諸国の兵を併せても500名に満たない護衛兵で、900名余りの外国人、3000名余りの中国人キリスト教徒を守って国外退去など出来ようはずがない。

 柴中佐らは北京城の一角にある公使館区域に籠城し、救援軍が駆けつけるのを待つしかなかった」


「北白川宮能久親王殿下、本多幸七郎提督、林忠崇提督、斎藤一大佐。今度は救援に来てくれますよね」

 柴中佐は、独り言を思わず呟いた。

 その言葉を聞いた張徳令が、少し顔色を変えた。

 だが、柴中佐は気が付かなかった。


 土方千恵子は、それを見て思い出した。

 村山幸恵が、自分に映画を見に行くように勧める中で言っていたのだ。

「思わぬ人、死んだ筈の人まで出てきたわ。誰が出たかは、興を削ぐから言えないけど」


 考えてみれば、張徳令を演じているのは、大スターもいいところだ。

 普通ならそんな大スターは演じない筈。

 ということは。

 この人は有名人、それも新選組の関係者ではないだろうか。

 千恵子は誰だろうか、と自分の知る新選組関係者を思い起こそうとした。


 千恵子が考えている間にも、画面は更に変わっていた。


「バリケードで身を隠し、よく狙って撃て。無闇に撃っては弾が持たないぞ」

 柴中佐自らが、陣頭指揮を執って、清国軍と義和団との混成部隊の攻撃を迎え撃っていた。

 柴中佐が率いる防御側の兵力は、海兵隊員20名余りと中国人義勇兵40名余りに過ぎない。

 一方、(ナレーションによると)攻撃側は2000名余り、兵力に約30倍の開きがある。

 その脇では、張徳令が銃を撃っているが、思わず独り言を言っている。

「やはり、槍を振るいたいものだ。槍が一番好きだな。いや、この状況だと」

 

 バリケードで隔てられての銃撃戦では、自分達に身を守る物が余りない以上、一方的に損害が出かねないことに気づいた攻撃側は、突撃を掛けてきた。

 防御側は、懸命の射撃を浴びせるが、銃弾よりも人数が多い突撃を阻止しきれない。

「やるしかないか。全員着剣、覚悟を固めろ」

 柴中佐は、白兵戦の決断をする。


 凄まじい白兵戦が始まった。

 柴中佐は、愛用の軍刀を振るい、攻撃側の中国人を2人、3人と斬り捨てる。

 他の海兵隊員も、1人で2人以上を相手取る奮戦ぶりだった。

 そして、張徳令は。


「全く腰が据わって無いぞ、それでは敵を倒せんぞ」

 そう呟きながら、小銃を短槍のように振るい、見事な舞を披露するかのように、義和団員を倒していた。


 柴中佐や海兵隊員、張徳令の奮戦ぶりを見た義和団員は、これまでの銃撃戦で仲間を多く失っていたこともあり、終に意気阻喪してしまって敗走した。

「やれやれだな。本当の歳がばれそうだ」

 それを見送る張徳令は、そう呟いていた。


 千恵子は、その言葉を聞いて、更に考えた。

 本当の歳ということは、どうやら、40代後半に見える張徳令の本当の歳は、50代後半いや60歳になっているのではないだろうか。

 それ位の年齢ということは、実際に土方歳三や斎藤一と共に戦った可能性が高い。

 永倉新八や島田魁は出てきたから除外できる。

 一体、誰なのだろうか。

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