第五話 彼の名は 緑龍回
フロッガの祭り二日目──
「で、改めてだが話を聞かせてくれ」
「ッ…………」
子を怒る感覚とはこういう感じなのか……と分かってしまいそうな程、緊迫してかつ、説教臭い立ち位置にあるクエリと俺。なんかプレッシャー掛けてるみたいだな……。
それにも負けずクエリは、『ここ』に、と言うか『俺の元』に来た理由を、ゆっくりと、凄くゆっくりと話してくる。
「……簡潔……にしちゃ……ダメ……?」
「出来ればそのまま話してほしいなぁ。隠された後で問題になっても困るし……」
「……うぅ……分かった……」
クエリはそう言うと、決意を固めたように語り始めた。
「えっと、ね? まず、私……が、お父さんとお母さんに……封印されてたの……」
「……はぁ。それで?」
「あ、うぅ……それで、ずっと閉じ込められてたんだけど、昨日の朝に、お父さんとお母さんに出されたの……これから祭りがあるから、娘のお前も外に出なさい、って……、それで、一時的に解放されたんだ……」
「……長くなりそうだな」
「うぅ……ご、ごめんなさい……」
そして結局、クエリの長し恥ずかしな説明のみで1日が潰れた。まぁ、説明してもらう以外には特に予定無しだったからいいんだけど。
クエリの説明は要約するとこうだ。
・両親に、自分の作った箱庭の中に長い間封印されていた
・たまには外に出してやろうと言う感じで封印を一時的に解かれた
・会いたければ会ってこい、みたいなノリで紹介されたのが俺の顔写真で、その名前は何故か伏せられていた
・俺の元に来てみたら、自分と似たような魔力を感じて、間違いないと確信した→先日の突撃お宅訪問に至る
・やることは特に無い
・出来ればこの世界の物事を体験したい
・猶予は祭りの3日間
・その3日間によっては、この世界で封印されずに過ごすことも許される
・人間に利用されないように、自分の能力の出力を20パーセントに押さえられている
簡単かつ分かりやすい説明なのに、『……』とか読点が多くてメチャクチャ長かった……。
クエリ……流石は神様、と言った感じか……。話の長さが別格すぎる……。そのまま話してほしい、なんて言った自分が馬鹿らしい……。過去の自分を殴りたい……。
「……わかった?」
「ちょ、ちょい待ってくれ……。今、整理したから……疲れた……。クエリも何回も聞いたのに根気よく話してくれてありがとな……」
「……うん」
クエリには悪いが話の展開が遅すぎたため、何回も聞き返してしまった、が、クエリは俺に伝えようと必死で、俺がクエリの状況を理解できるまでしっかりと話し続けてくれた。ありがたやクエリの寛容さ……。
お礼として頭を撫でてみたが、なかなか好評価な様で、気持ち良さそうに目をつぶっている。
何回も同じやり取りを繰り広げたせいか、気づけばそれなりにクエリとは打ち解けていた。クエリもなかなかに良い子だなぁ……。
「……そういえば、あなたの名前……まだ、聞いてない……」
「あれ、名乗ってなかったっけ?」
まだクエリに俺の名前を言ってなかったらしい。自分でも全く気付かなかった。
とりあえず適当に名乗る。
「白白ナクって言う。白2つにナク、だ。ちょい遅かったけどもヨロシク、クエリ」
「……うん、こちらこそ」




