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ハコニハ  作者: 緑猫 龍
第一章
6/8

第五話 彼の名は 緑龍回

 フロッガの祭り二日目──


「で、改めてだが話を聞かせてくれ」

「ッ…………」


 子を怒る感覚とはこういう感じなのか……と分かってしまいそうな程、緊迫してかつ、説教臭い立ち位置にあるクエリと俺。なんかプレッシャー掛けてるみたいだな……。

 それにも負けずクエリは、『ここ』に、と言うか『俺の元』に来た理由を、ゆっくりと、凄くゆっくりと話してくる。


「……簡潔……にしちゃ……ダメ……?」

「出来ればそのまま話してほしいなぁ。隠された後で問題になっても困るし……」

「……うぅ……分かった……」


 クエリはそう言うと、決意を固めたように語り始めた。


「えっと、ね? まず、私……が、お父さんとお母さんに……封印されてたの……」

「……はぁ。それで?」

「あ、うぅ……それで、ずっと閉じ込められてたんだけど、昨日の朝に、お父さんとお母さんに出されたの……これから祭りがあるから、娘のお前も外に出なさい、って……、それで、一時的に解放されたんだ……」

「……長くなりそうだな」

「うぅ……ご、ごめんなさい……」


 そして結局、クエリの長し恥ずかしな説明のみで1日が潰れた。まぁ、説明してもらう以外には特に予定無しだったからいいんだけど。


 クエリの説明は要約するとこうだ。


・両親に、自分の作った箱庭の中に長い間封印されていた


・たまには外に出してやろうと言う感じで封印を一時的に解かれた


・会いたければ会ってこい、みたいなノリで紹介されたのが俺の顔写真で、その名前は何故か伏せられていた


・俺の元に来てみたら、自分と似たような魔力を感じて、間違いないと確信した→先日の突撃お宅訪問に至る


・やることは特に無い


・出来ればこの世界の物事を体験したい


・猶予は祭りの3日間


・その3日間によっては、この世界で封印されずに過ごすことも許される


・人間に利用されないように、自分の能力の出力を20パーセントに押さえられている


 簡単かつ分かりやすい説明なのに、『……』とか読点が多くてメチャクチャ長かった……。

 クエリ……流石は神様、と言った感じか……。話の長さが別格すぎる……。そのまま話してほしい、なんて言った自分が馬鹿らしい……。過去の自分を殴りたい……。


「……わかった?」

「ちょ、ちょい待ってくれ……。今、整理したから……疲れた……。クエリも何回も聞いたのに根気よく話してくれてありがとな……」

「……うん」


 クエリには悪いが話の展開が遅すぎたため、何回も聞き返してしまった、が、クエリは俺に伝えようと必死で、俺がクエリの状況を理解できるまでしっかりと話し続けてくれた。ありがたやクエリの寛容さ……。

 お礼として頭を撫でてみたが、なかなか好評価な様で、気持ち良さそうに目をつぶっている。


 何回も同じやり取りを繰り広げたせいか、気づけばそれなりにクエリとは打ち解けていた。クエリもなかなかに良い子だなぁ……。


「……そういえば、あなたの名前……まだ、聞いてない……」

「あれ、名乗ってなかったっけ?」


 まだクエリに俺の名前を言ってなかったらしい。自分でも全く気付かなかった。


 とりあえず適当に名乗る。


白白びゃくはくナクって言う。白2つにナク、だ。ちょい遅かったけどもヨロシク、クエリ」

「……うん、こちらこそ」

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