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現実と夢
都内の綺麗なビルが立ち並ぶ会社に俺は居た。
そこにはいつも通りの光景があった。
「すいません、すいません」
今日も部長にヘコヘコと頭を下げる、俺【山田則夫】23歳会社員。
入社した頃はバリバリと働けそうなこの大きなオフィスに魅力を感じていた。
だがしかし、入社2年目にしてこの会社にはなにも魅力を感じなくなっていた。
ブラック企業って訳でもない。
普通に良い会社なのかもしれない。
原因はただ一つ。
俺の呆れるほどダメな仕事ぶりだ。
仕事での失敗は日常茶飯事。
きっと同僚や部下の間でも使えないやつと思われてるに違いない。
少し前にトイレで、『あほの則夫』なんてあだ名をつけられて噂されているのを聞いたこともある。
自分でも思う。
あほの則夫だなって。