破壊心
部活の小説として書くつもりだったんですが、これは ダメですね。
昔から 気に入らないものは 消すという性格だった。
暴力的な奴はよくいるが、俺ほどのは珍しいと思う。
幼い頃から暴力を奮っても注意されないような環境で育った。
気に入らないことがあれば直ぐに手を出し、それを潰すということが 俺の日常だった。
気に入らないものは目の前から消す。
とりあえず消さないと気が済まない、そんな性格だった。
しかし、環境は 俺を正すことを強いらなかった。おかげで 充実した 不良人生だったと思う。
中学時代にはフタツナが つき、指を指してくるようなやつには2度と目の前に現れないような怪我を負わせた。
気に入らないことがあったら 例え同じ不良グループの仲間でも例外でなかった。少しでも気に入らないことがあれば それなりの仕打ちを した。
そして俺はリーダーに あることないことを告げ口しそのメンバーを除名させた。
これで 仲間でも消せた。
その時のグループのリーダーは 無国籍のハーフだった。ハーフだから力が強くリーダーをやってた。
しかしある日俺は誰かの|告げ口|<チクリ>によってリーダーから 除名の命令が 出された。その日は 怒りに震えたが 俺は素直に命令に従った。
その晩 リーダーの寝床に入り込みリーダーを殺した。殺人は初めてだったが、自分の性格のおかげですんなり殺れた。
次の日、リーダーは俺に代替わりした。
15歳になってからも高校には行かず、そのまま前リーダーのような生活をおくる事となる。
生活費は 仲間から巻上げ、気に入らなければ除名し、ただし先代と同じように務めたはずだった。
しかし、俺は 先代と違い 気に入らないことがあれば後先考えず行動する性格だった。
そのおかげ、ほかのグループの抗争は しょっちゅうだった。
俺自身のケンカの強さはそれなりにはあったが ずっとケンカばっかの生活は飽き飽きしていた。
ある日俺はその生活を消すことを決めた。
グループは 副リーダーに任せ、そのまま抗争させた。
俺は別行動をとり、敵対グループのリーダーの殺害を試みた。
もともと不良グループのリーダーというものは立派な家庭環境で過ごしてないことが多い。隙は多いものだ。
基本は事故死に見せかけるように殺害していった。
急アル、転落、電車の巻き込み…
殺害対象の寝込みを襲うので殺ること自体は簡単ではあった。
問題は警察である。
事故死に見せかけているが完全犯罪とは 言えない、いつかはバレるだろう。
だが リーダー連続殺害の噂が広まって わざわざ俺のグループに突っかかってくる輩は いなくなった。
俺は18になった。
昔から運が良いせいか、前科は俺がやったとはバレてないようだ。
俺は小学時代に 硫酸で遊んでた時、自分の指紋を溶かした。
それ以来いつもグローブをつけている。
それだけでは 理由でない気がするが ぱっと思いつくのはそんなもんだ。
万引き、器物損害、殺人…
もうやる事に怖いものはなくなった。
19になった初め頃、
グループのメンバーの目の前で仲間を殺した。
刃向かうとこうなるという見せしめのつもりであった。
しかし何週間かした後、仲間全員から刃向かわれた。そして全員が俺の追放を提示した。
刃向かうとどうなるかを教えたばっかだったのだが しょうがないなと思った。俺は 素直に追放された。
それから 俺のグループのメンバーを一人一人殺害していった。
最初に副リーダー、次に親友…
メンバーは全員で16人だ。
約週一ペースで殺していったが、時間がかかるものだった。
途中からひきこもりに、なるやつが出てきて 殺害に苦労し始めた。
殺害を開始してから二ヶ月ほどで 誰かが警察にチクったらしい。グループの溜まり場と俺の先代のリーダーを遺棄した場所に警察が なにやら検証していた。
顔がバレてる可能性がある。
俺は一旦殺害を中断し、盗んだ金で整形を繰り返した。
顔が何回も変わった頃 メンバー全員の殺害が完了した。
俺は21になった。
ある時 ちょっとしたことから自分に好きな人ができたことに気づいた。その人は 俺と付き合ってもいいと言ってくれた。
その人は若かったが 親から受け継いだというバーで切り盛りしていた。俺はそこでしばらく働くこととなる。
彼女は 俺の性格をわかってくれたので裏で接客に関しない いわば雑用的なことを やらせてくれた。
その時は、彼女が言うことは、すんなり受け入れることが出来た。
俺は22になったぐらいの時、整形を繰り返してきたせいで 俺の顔が崩れてきた。
それを見て、彼女は俺に対して顔が怖いと言った。
俺は これに対してカッと血が上った。
その晩 俺は彼女を殺した。
次の日に俺は気づいた。
彼女は 殺してはいけなかったのだと。
冷たくなった彼女を目の前にして俺はそう思った。
死体になった彼女を見ながら、初めて涙が出てきた。
なんで原因である自分の顔の方を潰さなかったのかを 後悔した。
だんだん、目から出てくる涙が鬱陶しいと感じるようになった。
俺は 近くにあったハサミで自分の目を潰した。
目の前が真っ暗になり、激痛だけが残った。
俺は大声で喚いた。
しばらくすると俺の悲鳴から誰かが通報したのだろう、パトカーのサイレンが鳴り響き、近くで止まった。
そして インターホンがなる。
俺は警察だと思い、習慣的に慌てて立ち上がった。もう終わりにしようかという気持ちもあったが、警察から逃げるという気持ちの方が強かった。
無論 目は見えてないので転倒した。そして 何かに頭を強打した。
意識があったのは そこまでだった。
俺は23になった。
意識を失ったあと さらに背中を強打したらしい。麻痺して立ち上がることが出来なくなった。
警察には前科がバレ、裁判をうけることとなっている。
俺は寝たきりだった。
捕まることなんて、よく考えてなかったから よく知らないが、確か2人以上殺した場合は無期懲役だろう。
ただし俺は寝たきりで盲目なので 禁固刑となる。
何も出来なく 何も見れず、ただ期限のない刑が訪れる。
気に食わない。
どうすればこの刑が消せるか…
俺は考えたが 妙案は浮かばなかった。
考えるのが鬱陶しい。
俺はベットの上、手を動かすことも出来ない…
そう思ったが最後、俺は俺自身の心を|閉ざ|<け>した。
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「彼は 病院から出す事は出来ません。」
医者が デスクトップのカルテを弄りながら言った。
「そうだと思いました。3年が経った今でもやはり彼は全身麻痺なんですか?」
きちんと身なりが整えられた男は医者の前で立ちながら聞いた。
「彼は ご存知の通り三年前に植物状態になっています。連れ出せたとしても自分で排泄にも行けないのです。例え裁判でも植物状態の被告人を裁判の中央に立たせるのも如何なものかと。」
医者は手を止め 彼を訪ねに来た検察官に向かって言った。
検察官は 医者と目の高さを合わせるため目の前の椅子に腰掛ける。
「彼は どうも自分の親まで殺害しているようです。わかる限りで25人。起訴された当時22だったので かなりのペースです。 無罪になることはまず無いでしょう。」
検察官は 顔をしかめながら続ける。
医者は 黙ったままだ。
「そうなると あとは罪の重さを決めるだけになるのですが、我々としては 極刑である死刑を狙っています。証拠も充分揃っていますし、少年時代も含めると数え切れない前科持ちでしょう。」
そういうと検察官は 席を立った。
「裁判は 本人不在の形である 鑑定留置でやらせていただきます。それでは失礼。」
検察官は 軽く会釈して 踵を返し 診察室をあとにした。
すれ違う看護師に 自分の身分を見せ、渡邊 聡の病室を聞く。
看護師は 少々納得したような 顔をし、私に待っているよう言った。
しばらくすると彼女は戻ってきて 案内してくれた。歩いているあいだは 沈黙だった。
案内が終わると 彼女は自分の持ち場へ戻っていった。
513号室 渡邊 聡
そう書かれた病室の扉を開ける。
中は 小ぢんまりとしていて 物は中央のベットと点滴ぐらいしかなかった。
彼の目はサングラスのようなもので隠されていて見えない。体は寝ているため、目が覚めているかどうかもわからない。顔は 傷が多く、髭は伸びっぱなしだった。
私は 彼の顔のところに行って、サングラスを外してみる。
目があるべき場所が塞がっていた。
私は サングラスを 元の位置に戻す。
「安心しろ、俺達がお前の呪縛を消してやる。」
それだけ言うと、私は 自分の職場へと向かった。
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