採集クエストは腰に響く。その2
僕らは換金窓口で報酬を受け取り、次の予定も決まった所だし、どうしようかと考えているとアリアさんが、
「ミシェルこの後どうする?折角報酬も入ってちょっとホクホク気分だし、ご飯でも食べに行く?お姉さんが奢ってあげるわよ。」
アリアさんは先程の報酬で上機嫌だ。
「折角のお誘いですけど、今日は止めておきます。流石にアチコチ痛いので、今日は宿に帰って寝ますよ。」
それを聞いたアリアさんの眉間に皺が寄る。
「何よミシェル!私が珍しく奢るって言ってるんだから付き合いなさいよ!」
「そんな無茶苦茶な・・・・・・第一僕は怪我人ですよ?ゆっくり休みたいじゃないですか?」
「問答無用!!」
「そんなぁ~」
抵抗虚しくアリアさんに襟首を掴まれ僕は又も引き摺られていった。
・・・・・・。
朝、小鳥の囀ずりと共に目を醒ますと、そこは
いつもと見慣れた安宿の硬いベッドの上だった。
あれ?昨日僕はどうやって此処に帰ってきたんだ?うぅ・・・頭がガンガンするぅ・・・。
おかしいなぁ、僕は昨日お酒の類いは一切口にしてない筈なんだけど・・・・・・。
そんな事を考えていると足元側がもぞもぞと動いている。恐る恐る掛けものを捲るとそこには気持ち良さそうに寝ているアリアさんの姿が其処にはあった。
「ひっ!ア、アリアさん!?」
何で!?何でアリアさんが僕の布団の中にいるの!?
怯え狼狽えていると、寝ていたアリアさんが眠い目を擦りながらむくりと起き上がる。
「う・・・ん・・・もうっ・・・うるさいわね・・・ミシェル・・・まだ眠いだから静かにしてよね。」
「ごめんなさい。って違いますよ!何でアリアさんが僕のベッドで寝てるんですか!」
「覚えてないの!?あんたが潰れたから私が宿まで連れて来たのよ、で、ベッドまで連れて行ったら私も眠くなったから寝たわけ。お分かり?」
「あぁ~成る程ありがとうございます。って潰れたって僕、お酒の類いは一切飲んでない筈ですよ?あ・・・痛っ・・・頭がガンガンする。」
「あぁ~それはね、あんたが私の果実酒を間違って飲んだからよ。ミシェルが席を外した時に私のグラスとあんたのグラスを交換したからね
私だけ飲んでも面白くないからちょっとした悪戯ね。ごめんね。」
そう言ってアリアさんは手を合わせて舌を出して笑いながら謝るポーズをしている。
お前かぁ!!!
「酷いですよ!でも僕そんなに記憶無くす程飲んだんですか?」
「ううん。あんた一口飲んだだけで潰れたのよ。お酒弱いわねミシェル。」
あんたが飲ませたからだろうが!!!
「もういいです・・・・・・。取り合えず朝食を食べに行きましょう。その後、今日の予定を決めましょう。」
「そうね。早く行きましょっ!ご飯!ご飯!」
僕らは朝食を食べに行きこの後の予定を相談する事にした。
・・・・・・。
「ふぅ・・・食べた食べたぁ。満足満足。」
アリアさんはお腹の辺りをポンポンと叩きながらご機嫌な様子だ。
「朝ご飯も食べた事ですし、この後どうします?僕らは昨日ソフィーさんに3日間は討伐クエストの禁止を言われてますから、必然的に採集クエストのみの受注しか出来ないですけど。」
「そうね。昨日も言ったけど、私とミシェル、二人の採集スキルを上げる為にもこの3日間は重点的に採集クエストをするわよ!良い?」
「わかりました。僕はこれから仕度してギルドに向かいますね。」
「そうしてくれる?私も1度自分の家に帰って準備してから行くわね。」
「じゃあギルドの前に申の刻待ち合わせで良いですか?」
「良いわよ。急いで準備してくるわね。じゃあまた後でね。」
アリアさんはそう言って席を立ち食堂を後にした。
さてと、僕も一服してから仕度しようかな。
「すみませーん。グリーンティー下さーい。」
「はいよ~!」
宿の女将さんが返事をする。
「はいよ!グリーンティーお待ち。」
僕はずずずッとグリーンティーをすすり飲み、
ほっと一息ついてから席を立ち自分の部屋へ準備へと向かった。