採集クエストは腰に響く。その1
「二人共その格好どうしたんですか!?ボロボロじゃないですか!?」
討伐クエスト受付カウンター前にて受付嬢のソフィーリアさんが、驚いた表情で僕ら二人に話掛ける。
「あはは・・・ちょっとオークに遭遇しまして・・・ボコボコにされました。あっ!も、勿論オークは倒しましたよ!それに本来の討伐クエストであるスライム2体討伐も完了しましたよ!」
それを聞いたソフィーリアさんは口をポカンと開け呆気に取られていた。
「遭遇って・・・オークは少なくても冒険者Cランクからの討伐対象ですから、まだお二人には早すぎるモンスターですよ!それなのに・・・。」
「いやいや!ソフィー私達も最初は逃げたんだよ?だけど森の入口まで追い掛けて来たんだ。
それで仕方無く戦う羽目になったんだよ。」
アリアさんがフォローに入る。
まぁ概ね間違いではない。森の中に入り過ぎた事は内緒だが。
「・・・そうですか。今回は不測の事態なので仕方が無いですけど、今後、無理はしてはダメですよ。」
「はーい。」
「はい。わかりました。」
二人同時に返事をする。
ソフィーリアさんはコホンッと1つ咳払いをしながら、次の話を始めた。
「では、今回の依頼内容の確認をしますね。
依頼はスライム2体の討伐でしたね。お二人共魔石は、回収しましたか?」
魔石とはモンスターから生成され各モンスターの種類によって色や形が様々で、アイテムの原料になったりしており、モンスターの種類の特定にも繋がる物である。
本来は魔晶石と呼ぶのだが、便宜上、魔石と呼んでいる。
討伐クエストの場合、この魔石を提出することにより、討伐完了と見なされる。
今回はスライム討伐なので、水色の小石程度の大きさの魔石2個を提出する。
「はい。魔石2個を回収しましたので、提出しますね。それとオークも1体討伐したので、こちらは追加討伐扱いで報酬頂けませんか?」
そう言って僕はスライムの魔石2個とオークの魔石1個をソフィーさんに提出した。
「もう。ミシェル君たら、ちゃっかりしてますねぇ。今回だけですよ?次回からキチンと追加討伐手続きをして下さいね?」
ソフィーリアさんはメッと子供を諭す様に笑いながら僕に言って魔石を受け取ってくれた。
「では、これで討伐完了の手続きは終了です。お二人共お疲れ様でした。それでは報酬の方は彼方の換金窓口の方へ行って下さい。
それと!お二人共!今回は軽傷で済んだかもしれませんが、次はどうなるか分からないんですから
十分気をつけて下さいね!
後、お二人にはペナルティーとして、3日間は討伐クエストは禁止です。採集クエストのみの受注を認めますからね!」
「えぇ―――――!!!」
「そんなぁ~!!!」
驚愕する二人。
「当たり前じゃないですか!ギルドの職員として
冒険者の管理も仕事の内です。それに怪我をしているとあっては討伐クエストは危険が大きいですからね。」
僕ら二人は思い切りソフィーリアさんにお叱りを受けました。
まぁ心配してくれての忠告と説教なので、何も言えませんが。
「はい。すみませんでした。」
「ごめんなさい。」
しょんぼりとしながら、二人は換金窓口へと報酬を受け取りに行った。
「はい。スライム2体の討伐とオーク1体の討伐で全部で銀貨4枚の報酬ですね。では、こちらに受け取りの署名をお願いします。」
!!!
銀貨4枚ですと!!!
オーク1体で銀貨3枚ですか!?
僕ら二人で銀貨2枚ずつですか!!
ありがとうございます!!ソフィー様!!!
僕達は報酬を受け取りお互いの顔を見ながらニヤニヤしていた。
「アリアさん!銀貨4枚ですよ!4枚!一人銀貨2枚ですよ!」
「ミ、ミシェル~そんな事で喜ぶなんて、まだまだお子様だなぁ~。」
「そういうアリアさんこそニヤニヤしてるじゃないですかぁ~。」
「そ、そんな事ないわよ!私の実力からすれば当然よ!当然!」
興奮醒め止まず。喜ぶ二人。
「でもどうします?3日は採集クエストだけしか受注出来ないですけど・・・?」
「バカねぇ。それはソフィーが私達に気を使って言ってくれてるのよ?気づかないの?」
「はぁ・・・。」
気の無い返事をするとアリアさんが続け様に
「私達に休みなさいって事でしょ!あんたは怪我してるんだし、無理するな!って事でしょ!
それにミシェルも採集の経験積む良いチャンスじゃないかしら。私も丁度採集スキルを上げたいって思ってたしね。」
「それもそうですね。僕も採集の知識と経験を積んでみたいです。」
「じゃあ決まりね!この3日間は体力回復と採集スキルアップを目指して頑張るわよ!」
「はい!頑張ります!」