魔闘剣士アリア誕生。その4
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「もうっ!何度言えば分かるのよっ!本当ど下手なんだから!」
「分かってるわよっ!これでもやってるつもりなのっ!師匠みたいにホイホイ簡単に出来ないわよっ!」
ギルド地下1階のギルド長専用室では今日も女性二人の騒がしい声が響き渡っている。
「だからそうじゃないって言っているでしょう?そんな属性オーラだだ漏れじゃなくて薄皮1枚、肌に薄い膜を纏う様にするのよ。魔闘法は自分の属性を纏って闘う闘法なのよ。属性は魔法と違って使い過ぎて精神枯渇になる心配は無いけれど、その分体力を消費するからオーラを出し過ぎると直ぐに体力を消費して動けなくなるわよ?」
「んん~っ!!これでも薄くしているつもりなのっ!」
アリアは息みながら必死に属性のオーラを抑え込もうとしている。
「本当不器用ね~アリアは。息んで抑え込もうとしたって安定する訳無いでしょう?」
アリアは体力の限界からか纏っていたオーラが霞んで消えていった。
「はぁ・・・はぁ・・・これ・・・でも・・・やってる・・・つもり・・・なの・・・。」
アリアは息を切らし、額に汗を滲ませながらその場でへたりこんだ。
「あのね~。普通は此処まで丁寧に教えたりはしないものなのよ?本当だったら自分で考えて感じて何ヵ月、何年も掛けて自分の力だけで修得していくものなのよ?分かってる?」
師匠であるマギーさんは溜め息を吐きながらやれやれと言った表情をしていた。
「もう1度だけ手本を見せてあげるから、後は自分で何とかなさい。ヒントは与えてあげてるんだから少しは自分で考えて、自分なりに色々試して見なさい。」
そう言って師匠は小さく息を吐き神経を集中させると、師匠の周りの空気が震える感じがした。次の瞬間、師匠の全身にはオーラが放出され、次第にそのオーラは全身を薄い絹の布を纏うかの様に全身を覆っていた。
因みに師匠の属性は【水】である。だが、この人の凄いと言うか、おかしい所は属性である【水】を変化させて【氷】にするのだ。だから皆は師匠の事を世にも珍しい属性の【2種持ち】だと思っているらしい。
それを聞いた師匠曰く、
「えっ?こんなの同じ【水】属性なら誰でも出来るわよ?」だ。
ね?おかしいでしょ?普通はそんな事出来ないんですよ!師匠!
そんな事言っても仕方ないか、師匠は天才で、そして天然だから。突っ込んだ所で私が疲れるだけだし。今も物凄く疲れているのだけれど。
体力が回復次第、もう1度チャレンジしてみよう。寧ろ出来る迄何度だってチャレンジしようじゃないの!
「それじゃあアリア、体力が戻ったらもう1度やってみて。」
そう言うと師匠は纏っていたオーラを解いた。
「もう少しだけ休ませて・・・。まだ疲れて・・・。」
「何言ってるのよ?時間は無限ではなく有限なのよ?ほらっ!さっさと立つ!」
「んん~師匠の鬼~っ!」
「失礼ね!あんなオーガや鬼人と一緒にするなんて心外だわ。今日中に出来なかったら今日のご飯は抜きね!」
「んん~やっぱり師匠の鬼~っ!」
地下1階の訓練室で私の悲痛な叫びだけが響き渡っていたのだった。
もう少しだけアリアさんのお話しに付き合って下さいませm(_ _)m




